5日、プロ野球日本シリーズ第5戦が東京ドームで行なわれ、巨人が3−2の逆転サヨナラ勝ちで北海道日本ハムを下した。これで対戦成績は巨人の3勝2敗となり、7年ぶり21度目の日本一へ王手をかけた。

◇第5戦
 阿部、サヨナラ弾!(巨人3勝2敗、東京ドーム)
北海道日本ハム   2 = 010000001
巨人           3 = 000000012×
勝利投手 山口(1勝0敗)
敗戦投手 武田久(0勝1敗1S)
本塁打   (日)高橋2号ソロ
        (巨)亀井2号ソロ、阿部2号ソロ
 勝ったほうが王手をかける第5戦、日本ハムは左腕の藤井秀悟が今シリーズ初先発。巨人は第1戦に先発したゴンザレスが中4日でマウンドに上がった。

 序盤から押し気味だったのは日本ハムだ。初回、四球で歩いた2番・糸井嘉男が二盗を決め、続くパスボールで3塁に進塁。先制のチャンスを迎える。しかし、3番・稲葉篤紀はボール球に手を出して空振り三振。4番・高橋信二もショートゴロに倒れ、得点は入らなかった。

 日本ハムはなおも2回、先頭のスレッジが相手のエラーで出塁。小谷野栄一がヒットで続き、チャンスを拡大する。ただ、ゴンザレスも踏ん張って後続を抑え、2死1、3塁となり、迎えるはピッチャーの藤井。ファウルで粘った後の6球目をサードへ打ち返すと、やや強い当たりが3塁手・小笠原道大のグラブをはじき(記録はエラー)、オールセーフ。その間に3塁走者が生還し、日本ハムが1点を先行する。

 反撃したい巨人だが、藤井の丁寧なピッチングの前になかなか連打が出ない。3回は2死1、2塁、5回も2死2塁と得点圏に走者を進めながらタイムリーは出なかった。藤井は3回以降、毎回走者を許しながら、7回85球を投げて無失点。かつてヤクルト時代にGキラーと呼ばれた実力を充分に発揮し、リリーフ陣に後を託した。

 一方、打線はゴンザレスの前に中盤以降、完全に沈黙した。6回からは3イニング連続の三者凡退。1点リードとはいえ、日本ハムにとっては重苦しい雰囲気で試合は終盤に入った。

 そして8回裏、試合が動く。この回から日本ハムは藤井を2番手の建山義紀にスイッチ。ところが先頭の代打・李承ヨプに追いこみながら死球を与えてしまう。代走の鈴木尚広にすかさず二盗を決められ、ピンチが拡大。さらに1死後、代わった3番手の林昌範が牽制悪送球を犯し、鈴木は3塁に進んだ。
 打席には2番・松本哲也の打順で代打・大道典嘉。「22年間やってきて一番緊張した」と本人が振り返った打席は追い込まれながらもファールで粘る。迎えた7球目はインコースのストレート。「追いつけばサヨナラがある。必死でくらいついた」。短く持ったバットではじき返すと、打球はセカンドの頭上を抜けた。貴重な同点タイムリーで1−1。大道は「あれで体重が10キロくらいやせた(笑)」と語るほど、ガッツポーズを何度もみせ、喜びを表現した。

 しかし、この日は両軍ともブルペン陣が痛い失点を許す。直後の9回、巨人2番手の山口鉄也が、4番・高橋に投じたスライダーが甘く入った。高橋が右中間に放った当たりはそのままスタンドイン。同点に追いつかれたイヤな流れを変える勝ち越しソロだった。残す巨人の攻撃は1イニング。日本ハムは守護神・武田久がマウンドに上がり、勝敗はほぼ決したようにも思えた。

 ただ、一発の出やすい東京ドームは、最後にホームの巨人に味方した。「1球しかない。初球を思い切り振ろうと思った」。武田久が投じた代わり端の第1球目を5番・亀井義行が積極的に振り抜く。打った瞬間、それとわかる打球。ライトスタンドのジャイアンツファンの中に飛び込む起死回生の同点ソロ。このシリーズ、打率1割台だった5番打者の一振りで巨人が土壇場で試合を振り出しに戻す。

「確信があった。このゲームはとったと思った」
 原辰徳監督以下、勢いに乗ったジャイアンツの面々はもう誰にも止められなかった。1死後、亀井にとっては中大の先輩、阿部慎之助が武田久のカーブを叩くと、白球はライトスタンドへ一直線。劇的なサヨナラアーチが生まれ、観客席は静まりかえるレフトの一角を除いてオレンジのタオルが無数に舞った。

 悲願の日本一にあと1勝と迫った巨人だが、昨年の日本シリーズでも王手をかけながら、あと一歩届かなかった苦い思い出がある。「必ず北海道で(日本一を)奪回します!」。原監督は力強くファンに誓った。 
 敗れた日本ハムはレギュラーシーズンも含めて、守護神に初めて黒星がついた。ただ救いは残り2戦、北海道の大声援を受けて試合ができることだ。

 一気に巨人か決めるのか、それとも日本ハムが逆王手をかけるのか。1日の移動日を挟み、今年の日本シリーズはいよいよ札幌ドームで最終章に突入する。