17日、南アフリカワールドカップグループリーグB第2節がブルームフォンテーンで行われ、ギリシャ(FIFAランキング13位)とナイジェリア(同21位)が対戦した。両者にシュートチャンスがなく静かな立ち上がりとなった試合は前半16分、ナイジェリアがフリーキックからMFカル・ウチェ(アルメリア)のゴールで先制する。しかし、ナイジェリアに退場者が出ると、流れは一気にギリシャに傾く。一方的に攻めると44分にDFディミトリオス・サルピンギディス(パナシナイコス)が強烈なシュートを決め同点に追いついた。後半もギリシャが主導権を握り26分、MFヴァシリオス・トロシディス(オリンピアコス)が勝ち越しゴールを決め逆転に成功。そのまま試合は終了し2対1でギリシャがW杯初勝利を収めた。

 W杯初ゴール、初勝利を手中に(ブルームフォンテーン)
ギリシャ 2−1 ナイジェリア
【得点】
[ギ] ディミトリオス・サルピンギディス(44分)、ヴァシリオス・トロシディス(71分)
[ナ] カル・ウチェ(16分)

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 互いに初戦を落として臨んだ試合は、序盤から慎重な立ち上がりを見せた。ここで勝ち点を積み重ねなければグループリーグ敗退が決定的になるだけに、まずは失点しないことを両チームともに考えたようだ。

 だが、先制点は意外に早い時間で決まる。前半16分、ナイジェリア左サイドからのフリーキックをウチェがゴール前に送る。一瞬、フリーになったFWピーター・オディムウィンギ(ロコモティフ・モスクワ)がヘディングを試みるもこれはヒットせず。しかし、その動きにつられたギリシャGKアレクサンドロス・ツォルバス(パナシナイコス)はヘディングに備えたため、クロスへの反応が遅れる。その結果、誰も触れることのなかったボールは、ギリシャゴールへ吸い込まれる形になった。ナイジェリアがセットプレーから1点を奪い、その後も試合を優位に進めていく。

 一方のギリシャは初戦と同様、セットプレーの場面で早い時間に先制を許してしまった。オットー・レイハーゲル監督は、3バックに加え中盤の左右にサイドバックを配置する、ほぼ5バックのような守備的布陣で試合に臨んでいた。失点をしないことを考えての布陣だったが、前半にあっさりと点を決められてしまう。この失点でゲームプランは崩れ、ギリシャには苦しい展開となるはずだった。

 試合の流れを覆す出来事が起こったのは24分だった。ナイジェリア右サイドのタッチライン外でMFサニ・カイタ(アラニア・ウラディカフカス)とトロシディスが小競り合いをする。トロシディスがボールを持ちながらカイタを押し、カイタはスパイクの裏を見せながらトロシディスに蹴りを食らわせる。トロシディスがピッチに倒れこむと、主審はすぐさまカイタにレッドカードを提示、ナイジェリアは10人での戦いを余儀なくされる。1点リードの場面であるまじき軽率なプレーをみせたカイタによって、ナイジェリアは守勢に回ることになる。

 数的優位な立場になったギリシャの指揮官は、すぐさまDFソクラティス・パパスタソプーロス(ジェノア)に替えてFWゲオルギオス・サマラス(セルティック)を投入し、3バックから4バックに変え、一気に攻撃の姿勢を見せる。中盤ではMFゲオルギオス・カラグニス(パナシナイコス)が積極的にパスを出し、立ち上がりよりも高い位置をキープしたMFコンスタンティノス・カツラニス(パナシナイコス)がシンプルにボールを繋いでチャンスを演出する。39分にはカラグニスからカツラニスとダイレクトで繋いでゴール前に飛び出したサルピンティギスがシュート。これはGKヴィンセト・エニェアマ(ハポエル・テルアビブ)の好セーブに阻まれるが、24分を境に別のチームになったギリシャがナイジェリアゴールに迫る。

 同点ゴールが生まれたのは44分だった。PA内に侵入したカツラニスがDFを引きつけて後ろに空いたスペースへボールを出す。そこに走りこんだサルピンティギスが豪快にシュートを放つと、ボールはDFに当たりコースを変えゴールネットを揺らした。ギリシャは初出場となった94年アメリカ大会で1ゴールを奪うことなく敗退し、今大会は16年ぶりの出場。このゴールはギリシャにとってW杯初ゴールとなる記念すべき1発となった。

 後半に入ってもギリシャが圧倒的に攻める図式は変わらない。いつ得点が入ってもおかしくない場面が続いた。そこで素晴らしいプレーを見せたのはGKエニェアマだ。度重なるピンチにも好セーブを連発し、ギリシャに勝ち越しゴールを与えない。特に8分、右サイドからのクロスに合わせたDFソティリオス・キルギアコス(リバプール)の放ったヘディングは確実に枠をとらえていたが、これもエニェアマがスーパーセーブを見せた。初戦でアルゼンチンのリオネル・メッシ(バルセロナ)が放ったシュートをことごとく止め、敗れながらもマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた守護神が、この試合でも存分に存在感を示した。

 ナイジェリアに起死回生のチャンスが生まれたのもエニェアマのスーパーセーブからだった。14分、ゴール前でクリアボールを拾ったFWテオファニス・ゲカス(ヘルタ・ベルリン)がフリーで放ったシュートをエニェアマがセーブしクリアすると、前がかりになったギリシャDF1人に対し、ナイジェリアは2人がゴール前に入っていく。途中出場のヒネドゥ・オバシ(ホッフェンハイム)が左に開いたFWアイエグベニ・ヤクブ(エバートン)へラストパスを出す。ヤクブはシュートを放つが、これはツォルバスが左手で弾く。そのボールを再び拾ったオバシが無人のゴールへシュートを放つが大きくゴール右に逸れ、この日最大のチャンスを逃がす。退場者を出してからチャンスらしいチャンスのなかったナイジェリアにとって、手痛いシュートミスとなってしまった。

 このプレーは素晴らしい守備を見せていたGKにも影響を及ぼした。26分、クリアボールを拾ったアレクサンドロス・ツィオリス(シエナ)の放ったミドルシュートをエニェアマがまさかのファンブル。そこへ詰めたのはトロシディスだった。やっとのことでゴールをこじ開けたギリシャが2対1と勝ち越しに成功する。ここまで好守をみせたエニェアマもややブレながら飛んできたボールをしっかりと抑えることができず、痛恨の失点を許してしまった。

 その後は1点を守ったギリシャが逃げ切り、勝ち点3を獲得した。この勝利はギリシャにとってW杯初勝利だ。2試合終えての勝ち点は韓国と並び、決勝トーナメント進出に望みをつないだ。一方、2連敗となったナイジェリアはグループリーグ敗退がほぼ確定。レッドカードを受けたりケガ人が続出するなど厳しい戦いとなり、最後までらしさを見せることはなかった。最終節で韓国相手に一矢報いる戦いをしたい。

(大山暁生)

【ギリシャ】
GK
ツォルバス
DF
パパドプーロス
キルギアコス
パパスタソプーロス
→サマラス(37分)
MF
アヴィントラ
トロシディス
ツィオリス
カツラニス
カラグニス
FW
サルピンギディス
ゲカス
→ニニス(79分)

【ナイジェリア】
GK
エニェアマ
DF
ヨボ
シットゥ
タイウォ
→エチジレ(55分)
→アフォラビ(77分)
オディア
MF
アルナ
エトゥフ
カイタ
ウチェ
FW
ヤクブ
オディムウィンギ
→オバシ(46分)