26日、南アフリカワールドカップ決勝トーナメント1回戦がルステンブルグで行われ、アメリカ(FIFAランキング14位)とガーナ(同32位)が対戦した。立ちあがりに先制したのはガーナだった。前半5分、MFケビン・プリンス・ボアテンク(ポーツマス)がゴールを奪う。前半は圧倒的なガーナペースで試合が進んだ。後半に入ると陣形をかえたアメリカが攻めの形を作り17分にPKで追いつくと、勝ち越しを狙いガーナゴールへ迫る。しかし90分間でスコアは動かず1対1のまま延長戦に突入。延長開始直後にFWアサモア・ギャン(レンヌ)の豪快なゴールが生まれガーナが勝ち越しに成功すると、残り時間をしのぎ切り2対1で勝利を収めた。ガーナは同国初のベスト8入りを果たし、準々決勝では4強をかけウルグアイと対戦することとなった。

 決勝T唯一のアフリカ勢、意地のベスト8入り(ルステンブルグ)
アメリカ 1−2 ガーナ
【得点】
[ア] ランドン・ドノバン(62分)
[ガ] ケビン・プリンス・ボアテンク(5分)、アサモア・ギャン(92分)

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 グループリーグでイングランドを抑えて首位通過を果たしたアメリカはベスト4までにシード国と当たる可能性はなく、ランキングでも同じブロックに入った4カ国の中で最上位にいる。日韓大会のベスト8が過去最高のW杯成績だが、史上初のべスト4入りも視野に入る位置につけていた。司令塔MFランドン・ドノバン(LAギャラクシー)がここまで好調を維持しチームを引っ張る。アメリカ代表の顔がどのような活躍を見せるのか。

 一方のガーナはアフリカ6カ国の中で唯一のグループリーグ突破を果たし、開催大陸からの期待を一身に受けている。ただ、グループリーグでの内容は決して褒められたものではない。得点はPKの2点のみ。ギャンのワントップで中盤を厚くしているものの、最後でシュートの精度を欠いた。トーナメントを勝ち抜くには当然ゴールが必要だ。一つでも上に行くためにまずは決定力不足を解決する必要がある。

 試合は開始早々にいきなり動いた。5分にガーナが中盤から激しいプレスをかけボールを奪うと、パスを受けたのはK・ボアテンクだ。ピッチ中央から一気にドリブルでアメリカ陣内に侵入し、DF2人に囲まれながら左足でシュート。ボールはニアサイドへとコントロールされゴールネットを揺らした。これまで流れの中で得点のなかったガーナがいきなりの先制点をあげ、1点のリードを奪った。

 前半は完全なガーナペースで進んだ。中盤の底に入ったアンソニー・アナン(ローゼンボリ)が好守の起点としていい働きをみせる。必ず彼を経由してからガーナは攻撃を仕掛け、その後に前線のギャンへとボールを送る。ギャンからサイドに開く選手へ大きな展開をみせ、アメリカに守備の時間を与えない作戦だ。ボールをワイドに動かしたガーナがペースを掴んだまま前半を終了する。

 後半に入ると、アメリカが反撃に出る。前半はあまりボールを持つことができなかったドノバンが積極的にボールへと絡み決定機を演出する。2分には右サイドへ開いたドノバンがクロスを上げるとFWジョジー・アルティドール(ハルシティ)がゴール前で繋ぐとDFをひきつけ、最後はベニー・ファイルヘイバー(オーフス)へ。ファイルヘイバーがシュートを放つもGKリチャード・キングソン(ウィガン)がスーパーセーブを見せゴールにはならない。徐々にパスを繋ぎ出したアメリカがガーナゴールへと向かっていく。

 攻撃が実を結んだのは17分。右サイドのドノバンからスルーパスを受けたMFクリント・デンプシー(フルアム)がPAへ侵入しDFをかわすとシュート体勢に入る。そこへDFジョナサン・メンサー(グラナダ)が対応するも、思わずファウルを犯しPKを献上。このチャンスにドノバンがGKの動きをみて落ち着いてシュートを決め同点に追いつく。ドノバンの代表通算47ゴール目で試合は振り出しに戻った。

 その後はアメリカがペースを握り攻撃を仕掛けるものの、守護神キングソンが素晴らしいセーブを連発し得点は許さない。前の試合からアメリカは中3日、ガーナは中2日と強行日程が組まれている。そんな中、各選手は奮闘をみせるものの運動量は確実に落ちていき後半終了間際には互いにチャンスを作ることはできなかった。スコアは1対1のまま、今大会初の延長戦に突入した。

 インターバルを挟んだ延長開始直後に、いきなり勝ち越しゴールが生まれる。2分、中盤のクリアボールをうまくトラップしたギャンがドリブルでゴール前に持ち込むと、激しいチェックにきたDFオクチ・オニェウ(ACミラン)に身体をぶつけながらもボールをコントロール。さらにDFジェイ・ディメリット(ワトフォード)がクリアに入るも、ギャンが優れたボディーバランスをみせ左足でシュートを打つ。力強く放たれたシュートは豪快にゴールネットを揺らし、ガーナに虎の子の勝ち越し点が入る。その後はアメリカが総攻撃に出るものの、ファインセーブを連発してきたキングソンの牙城を崩すことはできず2対1のまま試合終了となった。

 アメリカは後半の押している時間で得点が入らず、延長の立ち上がりで集中を欠き痛恨の失点を喫した。グループリーグでは最終節のロスタイムに奇跡的なゴールを決めたものの、今日は最後まで2点目が遠かった。運動量のあるサッカーは魅力的ではあったものの、延長にもつれ込むと最後まで体力は残っていなかった。取れるべき時にゴールを奪う。やはり、これがサッカーの鉄則といえよう。

 一方のガーナは、少ないチャンスを確実にものにした。2つのゴールは決して相手守備陣を崩したゴールとはいえないものの、アフリカ勢らいしい豪快なものだった。準々決勝の相手はウルグアイ。ここでもアフリカの人々の大声援を受けることは確実だ。完全ホームの環境を味方につければさらなるステップアップが望める。アフリカ勢がベスト4へ進出した例は過去にない。史上初の快挙に向けてあと1勝だ。ウルグアイとの決戦は6日後の2日に開催される。

(大山暁生)

【アメリカ】
GK
ハワード
DF
ディメリット
ボカネグラ
チェルンドロ
ボーンスティーン
MF
ブラッドリー
クラーク
→エドゥ(32分)
デンプシー
ドノバン
FW
フィンドリー
→ファイルヘイバー(46分)
アルディドール
→ゴメス(90分)

【ガーナ】
GK
キングソン
DF
ジョン・メンサー
ジョナサン・メンサー
サルペイ
→アディー(72分)
パントシル
MF
アナン
アサモア
A・アイエウ
インコーム
→ムンタリ(112分)
K・ボアテンク
→アッピアー(78分)
FW
ギャン