
19日から22日にかけて、2018/2022年FIFAワールドカップ視察団による日本での調査があり、22日に総括記者会見が行なわれた。視察団団長のハロルド・マイネニコルス氏(チリサッカー協会会長)は「日本サッカーの仕事のしかたにプロフェッショナルを感じた。サッカーに対する伝統、新しい技術に環境問題、世界を一つにという理念がバランスよく組み込まれている」と日本の招致活動を高く評価した。これを受け2022年FIFAワールドカップ日本招致委員会の犬飼基昭委員長は「短い時間の中、見てもらいたい、聞いてもらいたいことは達成できた」と招致成功へ自信をのぞかせた。今後、視察団は18、22年大会に立候補している他の9つの国・地域(共催を含む)を視察し調査内容のレポートを作成する予定で、各立候補地は12月2日に最終プレゼンテーションをFIFA理事会で行ない、それを受けた32名の理事の投票で18年、22年大会の開催地が決定する。
(写真:FIFAフラッグを交換するハロルド団長と犬飼招致委員長) 2022年大会に絞ってW杯開催に立候補している日本へFIFAの視察団5名がやってきた。19日からの3日間、マイネニコルス氏をはじめとする5名は大阪・さいたま・東京を巡り、スタジアムやトレーニング施設、輸送手段や関係者のホテルなどをチェックした。昨日は首相官邸で夕食会を行ない、菅直人内閣総理大臣をはじめ、政財界の主要人物も多く集まり、日本国内で招致活動を盛り上げていることをアピールした。
最終日となった22日の午前中には、視察団の前で招致委員会が2度目のプレゼンテーションを行なった。日本開催のアピールポイントは「ファンフェスタの開催、新しい技術の提案、次世代教育」の3点。日本は開催コンセプトとして『208smiles(208の笑顔)』を掲げている。この試みはFIFAに加盟する208の国と地域の子供たちを大会期間中に6000名を招待することを約束している。その際は大会を観戦するだけでなく、ホームステイや異文化交流、さらに日本でしかできない平和学習なども盛り込まれていく予定だ。
南アフリカW杯でも見られたようにFIFAでは『Say no to racism』という人種差別撤廃運動や『Football for Hope』といった子供たちの権利を守る運動を盛んに行なっている。そんな中、日本が掲げた“次世代教育”という点で、視察団は日本サッカー協会が長年行ってきた『心のプロジェクト』を非常に高く評価したという。プレゼンテーションを行なった田嶋幸三専務理事は「心のプロジェクトをW杯招致のためだけでなく、それ以前から数えて1745回も実施してきた。この活動はFIFAの理念にも通じるものがある。さらに『smile208』はW杯での収益をもとに基金を設立し、世界へ拡げることも考えている」と日本サッカーが取り組んできた活動に対し手応えを感じていた。
また、ファンフェスタについては208の全ての国と地域で3D映像を作成することを提案した。さらに、フィールド上のどこからでも視点を設定できる『フリーポイントビュー』などの試作機をプレゼンテーションで用い、22年大会ではフィールドと同じサイズの平面上で裸眼で3D映像を楽しめる技術の実現を目指すとしている。
全立候補地の中で、視察団は先頭を切って日本に訪れた。今後、FIFA視察団は9つの立候補地(共催を含む11の国と地域)を2カ月にわたり世界中を回る。全てを視察した後、FIFA理事の判断材料となるレポートを作成する。このレポートが公表されるかは未定だ。
日本サッカー界がこれまで地道に行ってきた次世代への教育がFIFAから高い評価を得たことは特筆に値する。2022年は2002年の日韓共催から20年しか経っていない大会であり、再び日本で開催する特別な意義を示さなければならない。幸い、日本は長年トヨタカップやFIFAクラブワールドカップの開催実績があり、運営面ではFIFAからの評価は高い。国民がサッカーに対する関心を持っていることも、大きなプラス要素となっている。南アW杯では代表が決勝トーナメントに進出したこともプラスに働くはずだ。その上、子供たちへの教育などでプラスアルファが表現できれば、開催へと近づく。
ただし、この猛暑の中で視察団が来日したことは不運だったかもしれない。田嶋専務理事は「大阪で行なわれたガーデンパーティーは夕方だったものの、カラッとした空気の中で行なわれた。ハロルド団長は2002年にも来日しており、開催時期の気候を知っているので問題ない」と強調した。それでも、南アW杯決勝からわずか1週間後に行なわれた視察で、この気温に接した視察団は減点こそするものの加点評価は与えないだろう。
招致委員会は「高温多湿の環境でもW杯を開催したい」とFIFA理事に思わせる決定的な材料がほしい。それが次世代教育であり、日本にしかできない技術提供になるはずだ。今後、ロビー活動は11月末まで続く。投票権を持つ32名にいかに日本開催の意義を伝えることができるのか。そこに勝負の行方はかかっている。