先日、遠方へ取材に出かけた際、電車の中で席に座っていました。冬の車内は暖房が効いており、それが眠気を誘い、少しウトウトしてしまいました。

 ハッと目が覚めると、時間的にはそろそろ目的の駅に到着している時間、慌てて電車から降りました。降りてから“ここはどこだ?”と、ひとりおぼろげでいると、さきほどの電車は次の駅と向かって行きました。

 すぐそばの階段を上り、ちょっと見慣れないホームの感じに、一抹の不安を感じていました。そして駅の改札口で、駅名を知った時にはもうすでに遅し。

 どうやら慌てて降りた駅は、目的の駅の1つ前の駅だったのです。当然、ここで私に選択が迫られるわけです。電車の本数は少ない駅なので次の電車を待つのはリスクが高過ぎます。そうして三択を頭の中で用意しました。

(1)歩くor走る
(2)タクシーやバス
(3)諦める

 もし(3)を選んでいたとしたら、私がこうやってコラムを書いてはいないでしょう。(1)と(2)のどちらか。ここで頭をもたげたのが、“編集長ならどうする?”。当コーナーでも何度か紹介されていますが、編集長も時々、うっかりミスを起こすことがあります。ただ、そこから機転を利かせ、軌道修正。それで何度、窮地を凌いだか。そのリカバリー力にはいつも恐れ入ります。

 そんなわけで、“編集長ならどうする?”と、考えた時に走っているイメージが湧かない。“タクシーに違いない!”と直感して決断。タクシー乗り場へと走りました。

 乗り場には先客がおり、ちょうどタクシーが1台。人も車も行列はできていませんでした。先客を唯一のタクシーが運んで行き、私は乗り場にひとりぼっちに。ここからは時計とにらめっこしながら、タクシーを待つ時間です。時計の針は刻一刻と進み、取材時間まであと15分を切りました。

 迎車を頼もうとタクシー会社に電話をかけるも10分はかかるとのこと。取材場所までは歩いても20分以上はかかる見込みでした。つまりはもう走っていくか、待つか。その二択といっていいでしょう。“編集長ならどうする?”。やはり、どうしても編集長が走っている姿がイメージできませんでした。

 すると、白馬の王子様ならぬ黒い個人タクシーがやってきて、私を拾っていきました。道も空いていたため、取材にも遅刻せずに間に合いました。この日の私の“決断”は吉と出たわけです。編集長への私の偏ったイメージに今回は助けていただいたのでした。めでたし、めでたし。

(スタッフT.S)
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