今年7月の参議院選挙でみんなの党から静岡選挙区で出馬した河合純一氏。当選は果たせなかったが、「夢や目標をもって前向きに生きることのできる国づくり」への情熱は変わらず、現在も政治活動を展開している。河合氏は生まれつき左目が見えず、右目も15歳で失明した。それでも5歳から始めた水泳で、パラリンピックにはバルセロナから5大会連続出場し、計21個ものメダルを獲得した。その一方で教師という、もうひとつの目標も実現させた。そして、次なる目標とは。今回は当サイト編集長・二宮清純が河合氏にロングインタビューを敢行。日本スポーツ界の問題点について語り合った。
(写真:対談では活発な意見が交わされた)
二宮: 7月の参議院選挙では残念ながら落選してしまいましたが、初めての選挙活動はどうでしたか?
河合: 選挙活動を通して学んだことは多かったですね。落選はしましたが、全国に私の考えをより広められたという点では大きな意味があったと思っています。
 
二宮: 現在、日本では同じスポーツなのに、一般スポーツは文部科学省、障害者スポーツは厚生労働省と所管が分かれていることで弊害が起きています。
河合: はい、そうですね。その対策として「スポーツ庁、スポーツ省」と言われて久しいわけですが、全く環境は変わっていない。もう本当に泣けてきますよ。先月、文科省から「スポーツ立国戦略」が発表されましたが、これは案の段階で既に怒りを覚えましたね。

二宮: どの部分に最も怒りを感じられましたか?
河合: 「スポーツ立国戦略」ではまず最初に、「5つの重点戦略の目標」として「国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する」「成人の週3回以上のスポーツ実施率が3人に2人(65パーセント以上)となることを目指す」などが記載されているんです。にもかかわらず、その施策の内容の部分では、障害者スポーツについては「障害者スポーツとの連携強化」の一項目で完結しているんですよ。これでは国が、「国民」や「65パーセント」に障害者を含めているのか、疑問を抱かざるを得ない。もちろん含まれているとは思いますよ。だったら、障害者に対してだけ「連携強化」で終わらせるのはおかしな話です。

二宮: 国民の税金でつくられたはずのナショナルトレーニングセンターがオリンピック選手が利用できて、パラリンピック選手が利用できないというのも変な話ですね。
河合: おっしゃる通りです。これについても「スポーツ立国戦略」で触れられているのですが、「(パラリンピアンの利用については)メリット、デメリット、実現可能性等について、日体協、財団法人日本オリンピック委員会、中央競技団体等の意向も踏まえながら検討する」と記載されているだけなんです。これなら「検討した結果、やっぱり使用することはできません」と言ってもいいわけですよね。改善しようという積極性が全く見られない。これでは「国民」には障害者は入らないのか、と言いたくもなりますよ。
 発表された「スポーツ立国戦略」はあくまでも文科省の所轄している中でのビジョンでつくっているに過ぎません。これを国としてのスポーツビジョンだと認めて、「スポーツ基本法」のベースにするのはあまりにも危険です。ですから、根本的な見直しは不可欠だと思っています。

二宮: 現在、障害者スポーツを管轄している厚労省の考えは?
河合: それについても明確にはされていません。8月27日に「厚生労働白書」が公表されました。「障害者の地域生活の支援」ということで「障害者自立支援法」については明記されていますが、ここにも障害者スポーツのことには一切触れられていないんです。所管であるはずの厚労省の報告書になければ、障害者スポーツへの認知度が高まるはずもありませんし、予算は減らされてしまいます。こういう状況下では国は障害者スポーツを見捨てていると言わざるを得ない。やはり日本のスポーツ行政を進めていくには内閣府の管轄下に置くべきかなと思いますね。

二宮: 仮にいくら立派な政策をたてたところで、現在のような"ねじれ国会"では、超党派でやっていかなければ何も通りませんよ。
河合: そうなんです。ところが、ある党では今後、超党派の会合には参加せずに独自でやっていこうという動きがあるとか。国民的視点から議論していかなければいけないはずなのに、そういう環境ですらない。これは非常に困った状況です。



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