今季の明治安田生命Jリーグも佳境を迎えてきました。J1リーグのセカンドステージは、残すところ5試合。上位陣はここからはいかに取りこぼしをせずに勝ち点を重ねていけるかがカギとなるでしょう。

1位・サンフレッチェ広島、3位・浦和レッズとファーストステージでも上位の両チームの間に、僕の古巣・鹿島アントラーズがいます。広島とは勝ち点差3の2位。8位だったファーストステージとは打って変わって、好調です。

その要因のひとつに石井正忠監督の就任がありました。ファーストステージ終了後、前監督のトニーニョ・セレーゾからバトンを受け取った石井監督は元々、コーチを務めていたこともあり、選手たちにとっては兄貴的存在です。指揮官の交代もスムーズに移行できたのではないでしょうか。

石井監督は前監督が禁じていた紅白戦でのスライディングを解禁したと言われています。これには戦う姿勢を強調し、「闘志を表に出そう」というメッセージが込められており、チーム内での競争を激しくさせるものとなったのでしょう。

まだ物足りない部分はありますが、試合を見ていて、球際の激しさであったり、ボールを追う姿勢から選手たちの意識の変化は感じられます。ファーストステージは2試合だった完封勝利も、セカンドステージは既に倍増しました。戦う集団への意識改革は、ディフェン面で効果が表れたんだと思います。

上位との対決を終え、残り5試合は中位のクラブと対戦します。ここから求められるのは内容よりも結果です。取りこぼさずに勝ち星を重ねていくことが、優勝のためには必要となってくるでしょう。

 ハリルホジッチの色が見たい

日本代表に目を向けると、9月はカンボジア、カザフスタンとの連戦がありました。埼玉で行われたカンボジア戦は3-0で勝利したものの、厳しい評価を下す声も少なくありませんでした。格下と見られる相手に多くのチャンスを作りながらの課題の決定力不足は解消されていなかったからです。それでも僕は、W杯予選はまず勝つことが最優先だと考えます。僅差であっても勝つことが大事。初戦でシンガポールとスコアレスドローを演じたことにより、選手たちもその思いは強かったはず。試合の入りも硬かったように見えました。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は就任して半年も経っていない中で、代表監督に与えられる時間は決して多くはありません。監督が標榜するサッカーの実現は、なかなかできることではないでしょう。まずは勝ち点3を取ったことで、チームとしての自信を得ることができたはずです。

イランでのカザフスタン戦は、6-0と久々のゴールラッシュが見られました。カンボジア戦での勝利により、選手たちも前向きになれたのでないでしょうか。前回の反省点を踏まえ、攻撃にも幅があったように思えます。先制点を挙げるなど、2得点の活躍をしたMF香川真司も、これで吹っ切れたようにも見えました。この快勝でチームとして、さらにまとまれる要因となるでしょう。

来月のシリア戦は、中立地オマーンで行われます。次のステップは、短期間の中でいかに課題を修正できるか。そして、どのようなかたちでゴールを奪うのか。1つのスタイル、チームとしての意思を出してもらいたい。ハリルホジッチ監督が目指すサッカーを、そこで見せてほしいと思います。

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)<PROFILE>

元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima-hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。
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