
柔道のロンドン五輪日本代表を決める最終選考会となる全日本選抜体重別選手権が12日、13日の2日間、福岡国際センターで開催される。この五輪から柔道の五輪出場権は世界ランキングによって割り振られ、男子は22位以上、女子は14位以上に入った選手が対象となる。日本は男女合わせて全14階級で、この要件をクリアした選手が複数出ており、その数は37名。ただし、五輪に出場できるのは各国・地域で各階級ひとりで、誰を代表に選ぶかは当該国・地域の連盟に委ねられる。各階級たった1枚の代表切符をかけた最後のアピールの舞台だけに、激戦は必至だ。
(写真:“ポスト谷”へ最も近い女子48キロ級の浅見) 63キロ級は上野が有力、決め手欠く78キロ超級 〜女子〜 全14階級で最も注目を集めるのは女子48キロ級だろう。この階級では現在、参議院議員の谷亮子が5大会連続で五輪に出場し、金2個、銀2個、銅1個と輝かしい成績を残してきた。谷がロンドン五輪の選考に不参加を表明し、“ポスト谷”争いで先行していたのが、福見友子(了徳寺学園職)だ。谷には02年、07年と2度勝利。09年の世界柔道も制し、頂点に立った。
しかし、そこへ割って入ったのが浅見八瑠奈(コマツ)である。翌年(10年)の世界柔道、浅見は決勝で福見に対し、指導2つで有効を得て勝利する。さらに福見との再戦となった昨年の世界柔道決勝も大内刈で有効を奪い、連覇を達成した。この4年間で外国人相手に敗れたのは1回のみと国際大会にも強く、現状では浅見がロンドン行きへ一歩リードしている状況だ。
ただし、浅見はこの1月に左ヒザを痛め、状態が気がかりだ。この大会で福見が圧倒的な強さを見せれば逆転選出の可能性は十分にあるだろう。両者の直接対決は4勝4敗と全くの五分。海外にライバルのいない同級においては、2人の戦いは事実上の金メダル決定戦である。
次いでハイレベルな代表争いを繰り広げているのは、女子52キロ級だ。本命は北京五輪銅メダリストの中村美里(三井住友海上)。09年、昨年と世界柔道を2度制しており、実績は一番だろう。しかし、今年に入って西田優香(了徳寺学園職)が調子を上げてきた。1月のマスターズではライバルの中村に一本勝ち。2月のグランドスラム、先月のアジア選手権を制し、世界ランキング上は1位になっている。
西田には苦い過去がある。4年前の北京五輪の選考会だ。頭ひとつ抜けていながら選抜体重別で初戦敗退を喫し、優勝した中村に代表の座を奪われた。今回は逆に追う立場になったが、同じ轍は2度と踏むまい。直接対決で決着がつくかたちになるだろう。
57キロ級はランキング1位の松本薫(フォーリーフジャパン)と同2位の佐藤愛子(了徳寺学園職)が競る。佐藤は昨年の世界柔道を制しているが、松本は昨年末のグランドスラムと今年1月のマスターズで優勝しており、国際大会での成績では上回る。63キロ級ではランキング1位の上野順恵(三井住友海上)が有力。4年前の選考では、五輪で金メダルを獲得した谷本歩実に勝利しながら、代表に選ばれなかった。だが09年以降、世界柔道で金2個、銀1個と安定しており、初の五輪は目前だ。70キロ級は田知本遥(東海大)と國原頼子(自衛隊)の争い。78キロ級は緒方亜香里(筑波大)の代表入りが濃厚だ。
混戦に拍車がかかったのが最重量級の78キロ超級。ランキング1位の田知本愛(ALSOK)と10年の世界柔道を制している杉本美香(コマツ)の一騎打ちだが、選考会を兼ねた4月の全日本女子柔道では、両者とも五輪出場資格のない山部佳苗(山梨学院大)に敗れた。過去の国際大会を踏まえれば杉本が優位と言えるが、決め手を欠いただけに選抜体重別の内容によってはどうなるか分からない。
90キロ級は三つ巴の混戦、73キロ級は中矢か秋本か 〜男子〜 男子は100キロ級の穴井隆将(天理大職)の選出はほぼ確実。60キロ級は2大会連続出場を狙う平岡拓晃(了徳寺学園職)がリードしている。とはいえ、昨年末のグランドスラム、1月のマスターズはいずれも3位に終わっており、周囲を納得させる試合が見たい。66キロ級では昨年の世界柔道金メダルの海老沼匡(バーク24)がロンドンに最も近い。一昨年の世界柔道覇者・森下純平(筑波大)が逆転するには結果と内容の両方が求められる。
最大の激戦区は90キロ級だ。ランキング2位の西山大希(筑波大)、3位の西山将士(新日鉄)、4位の小野卓志(了徳寺学園職)が3つ巴で1枠の出場権を争奪する。3人のなかで勢いがあるのは西山将だろう。1月のマスターズでは世界柔道を連覇中のイリアス・イリアディス(ギリシャ)を破り、優勝した。西山大は、そのイリアディスにいずれも敗れているものの、2大会連続で世界柔道銀メダルと安定感がある。31歳の小野は経験が強み。北京の81キロ級に続く出場を狙う。

73キロ級は中矢力(ALSOK)と秋本啓之(了徳寺学園職)が雌雄を決する。やや優勢なのは中矢か。昨年の世界選手権では準決勝で秋本に大外刈りで技ありを奪って勝ち、初出場初優勝。1月のマスターズも判定で秋本を下した。この試合で秋本は左足甲に全治3カ月のケガを負っており、不安材料がある。とはいえ、秋本も一昨年の世界柔道覇者。直接対決の結果が代表の行方を左右しそうだ。
(写真:得意の寝技のみならず、立ち技にも磨きをかけて初出場を目指す中矢) また選考が難航しそうなのが、最重量の男子100キロ超級だ。出場資格を得ているのは上川大樹(京葉ガス)、高橋和彦(新日鐵)、鈴木桂治(国士舘大教)の3名。ところが選考会を兼ねた4月の全日本選手権では誰ひとりとして決勝まで残れず、低調な結果に終わった。唯一、準決勝まで勝ち上がった鈴木は右肩鎖関節を脱臼し、強行出場の模様だ。上川は一昨年の世界柔道で金メダルを獲りながらも、昨年は初戦敗退と波がある。今大会でもふがいない内容だと、手負いの鈴木が実績を考慮されて、代表入りする可能性が出てくる。