3日、ヤマザキナビスコカップ決勝が東京・国立競技場で行なわれ、鹿島が清水を2−1で下し、2年連続、5度目の優勝を果たした。連覇達成は大会史上3クラブ目。鹿島はスコアレスで迎えた後半28分、MF柴崎岳のPK弾で先制する。しかし32分、FW大前元紀にPKを決められ、1−1のまま試合は延長戦へ。迎えた延長前半3分、再び柴崎のゴールで勝ち越した。その後、前がかりにくる清水の攻勢をしのいだ。MVPには決勝点を含む2ゴールをあげた柴崎が選ばれた。

 西、値千金の決勝アシスト(国立)
清水エスパルス 1−2 鹿島アントラーズ
【得点】
[清水] 大前元紀(77分)
[鹿島] 柴崎岳(73分、93分)
 20歳の柴崎が鹿島に16冠目をもたらした。ルーキーだった昨年に続くファイナルの舞台。オフェンスでは積極的にボールに絡み、果敢な攻め上がりから2ゴールを奪った。守りでも献身的にプレスをかけ続けた。

 序盤は拮抗した時間帯が続いた。両チームともにボールを回して攻撃を組み立てるものの、お互いになかなかシュートまで持ち込めない。特に中盤での奪い合いが激しく、お互いにファールを取られる場面が見られた。
 そんな前半14分、鹿島がピンチを迎える。右サイドからのクロスのこぼれ球を、FW高木俊幸に右足ボレーを許す。叩きつけられたボールがゴール右へ飛ぶが、GK曽ヶ端準が右手で弾きだした。26分にも、左サイドからのクロスがこぼれたところを高木にシュートされたが、DF岩政大樹が体を張ってブロックした。

 反撃したい鹿島は柴崎とMF小笠原満男からのロングボールに、FW大迫勇也が清水のDFと競り合うかたちでゴールに迫る。しかし、競り合った後の周囲の反応が遅れ、セカンドボールを拾えない。再び清水に押し込まれるようになり、柴崎も守備に追われる時間が多かった。しかし、ゴール前では強固なブロックを形成し、ゴールを割らせない。結局、0−0のままで試合を折り返した。

「焦らず、最後のホイッスルまで心身のバランスを維持しろ」
 ハーフタイムでジョルジーニョ監督は選手たちにこうアドバイスを送った。そして、後半開始からMF興梠慎三に代えてMFドトゥラを投入。攻撃的な選手を入れて流れを掴みにかかった。すると、チームは前半と一転してボールを支配し、次々とチャンスをつくりだしていく。後半1分、大迫が右サイドからDFラインとGKの間にクロスに、ドトゥラが合わせた。11分には、DFラインの裏へパスにまたもドトゥラが抜け出し、PA内右サイドからシュート。いずれもゴールには至らなかったが、主導権を握ることに成功した。

 すると、28分、鹿島が待望の先制点を奪う。柴崎が自らが倒されて得たPKを決めた。右サイドに開いたドトゥラにパスが通ると、スピードを上げてオーバーラップ。PA内右サイドでボールを受けると、清水のDF李記帝にユニホームを引っ張られた。本人が「自分で取ったPKだったので、思い切り蹴れた」と振り返るキックは、完全にGKの逆を突いてゴール右へ吸い込まれた。

 ところが4分後、今度は鹿島がCKの競り合いの中でファールを犯したとして、清水にPKが与えられた。鹿島の選手たちは主審に詰め寄り、ゴール裏の鹿島サポーターも大ブーイング。しかし判定は覆らず、FW大前元紀にゴール左に決められた。鹿島が嫌なかたちで追いつかれた。この後、互いに決定機をつくるには至らず、90分が終了。鹿島は昨年に続いて延長戦を戦うことになった。

 迎えた延長3分、鹿島が勝ち越し点を奪う。決めたのは、再び柴崎だった。PA手前で右サイドのDF西大伍からパスを、ワンタッチ目で前方に蹴り出してプレスに来たDFを抜き去る。PA内右サイドからの右足シュートがゴール左下に突き刺さった。ベンチ前ではジョルジーニョ監督が飛び跳ねて喜びを表した。

 勝ち越した後は清水の攻勢に押し込まれた。しかし、守備陣がクロスを跳ね返し、中盤の選手がセカンドボールを拾って連続攻撃を許さない。逆に前がかりになった相手に対し、カウンターを仕掛けてチャンスをつくる試合巧者ぶりを発揮。リードを保ったまま、試合終了のホイッスルを聞いた。柴崎は最後まで運動量を落とさず、フル出場で勝利に貢献した。

「(リーグ戦で)良くない状態の試合展開が続いていても勝てるという鹿島らしさは出ていた。他人事のようだが、すごいなと思う」
 MVPを獲得した柴崎は、冷静な口調で試合を振り返った。リーグ戦では13位で残留争いを演じているが、タイトルのかかった試合で勝負強さを見せた。その中心にいたのが彼だった。

 今年2月にはA代表に初選出されたものの、出場機会はなかった。だが、今回の活躍は視察に訪れたアルベルト・ザッケローニ監督にインパクトを与えただろう。柴崎は「相応の実力がついてくれば自然と呼ばれると思う。あまり先を見据えずに、地に足をつけてやっていきたい」と謙遜するが、ジョルジーニョ監督は「まだ若いが、日本のフル代表で活躍できる選手だと思う。将来的には日本のサッカーを背負っていく選手のひとりになるだろう」と太鼓判を押した。

「このまま鹿島を引き継ぐというのだけでは足りない。全員が先輩を超えるという思いを持っていかないと、僕らの成長につながらない。経験豊かな先輩たちを見ながら、僕ら若手は積極性を出していきたい」
 弱冠20歳にして王者の風格が漂い始めた柴崎が、名門にさらなる栄光をもたらす。