テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が3日、敵地でのヒューストン・アストロズ戦に今季初登板し、9回2死までパーフェクトに抑える快投をみせた。27人目の打者にヒットを許し、惜しくも日本人初となるメジャーリーグでの完全試合達成はならなかったが、9回3分の2、111球を投げて自己最多の14奪三振をあげ、チームと自身に今季初勝利をもたらせた。
 本当に、あとひとりだった。
 7−0とレンジャーズが大量リードして迎えた最終回、スタンドの視線はマウンド上の背番号11にすべて注がれていた。異様な雰囲気の中、先頭のジェーソン・カストロは2球目を打ってショートゴロ。続くカルロス・コーポランは初球を打ってセカンドゴロ。偉業達成の瞬間はあっという間に訪れるかと思われた。

 だが、9番マーウィン・ゴンザレスに投じたこの日111球目が、やや甘く入った。打球はダルビッシュの足元を抜け、センター前へ。日本人初のパーフェクトゲーム、野茂英雄(2度達成)に続くノーヒットノーランの夢は、最後の最後で潰えた。

「あそこまで行ったらアウトを取りたいですよ」
 苦笑いを浮かべながら右腕は振り返ったが、この日のピッチングは完璧と言える内容だった。「フォーシームは投げていない」と明かした微妙に変化するカットボール、キレのあるスライダー……。相手打線からおもしろいようにアウトを重ねた。

 立ち上がりを連続三振でスタートすると、2回は4番からの中軸を三者連続三振に切ってとる。特に6番のジャスティン・マクスウェルに対してはストレートで3球三振。アウトローの厳しいコースにズバズバ決まり、バットを1度も振らせなかった。4回も1番からの好打順で、この日2度目の3者三振を奪う。最終回にヒットを打たれるまで、打球が外野へ飛んだのは1度しかなかった。

「フルカウントになってもスライダーを振ってくれた」と本人が語るように、3ボールになっても危なげはなかった。ストライクからボールゾーンに逃げていくスライダーにバットが空を切る。パーフェクトが見えてきた8回は先頭のクリス・カーターにフルカウントから粘られながらも伝家の宝刀で空振り三振に仕留めた。

 大記録への期待が高まる中、打線も終盤にダルビッシュを援護。1−0の投手戦が続いた7回には、イアン・キンスラーが2ランを放ち、突き放す。8回にもネルソン・クルーズのタイムリーなどで2点を加え、完全試合達成のお膳立ては整っていた。

 メジャー1年目の昨季は試行錯誤しながら、徐々に内容が安定し、16勝(9敗)。迎えた2年目の今季は、さらなる進化を感じさせる初登板になった。「まだ完全試合をするピッチャーではないということ。もう一歩足りないということでしょう」とダルビッシュは語る。メジャーでも着実にレベルアップしている最強右腕が、再び偉業に挑む日は近い将来、きっとやってくるはずだ。

<岩隈、今季初先発で初勝利>

 シアトル・マリナーズの岩隈久志が3日、敵地でのオークランド・アスレチックス戦に今季初先発し、6回2安打1失点で勝ち投手になった。試合は7−1でマリナーズが快勝した。

 完全試合目前までいったダルビッシュの陰に隠れたかたちだが、こちらも2年目の飛躍を予感させる好投だ。持ち味である低めへの制球力が光った。2回こそ4番のヨエニス・セスペデスにスライダーをスタンドまで運ばれたものの、高めに浮くようなボールはほとんどなく、順調にアウトを増やしていく。与えた四死球はゼロで、4回には被弾したセスペデスを空振り三振に仕留めるなど、奪った三振も7つを数えた。

 東北楽天から移籍した昨季はオープン戦で結果を残せず、開幕当初は中継ぎに回されて登板機会がなかなか巡ってこなかった。それでも夏場に先発転向後はペースをつかみ、最終的には9勝まで勝ち星を伸ばした。2年目の今季はローテーション投手として開幕2戦目を任され、ベンチの信頼度は高まっている。初登板で上々のスタートを切り、昨季以上の活躍が見込めそうだ。