5日、日本学生陸上競技対校選手権大会初日が埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた。日本短距離界期待の桐生祥秀(東洋大)は400メートルリレー予選にアンカーとして出場。東洋大は39秒76で5組2位となり、タイムでも拾われず、惜しくも決勝進出を逃した。そのほか男女100メートルは予選、準決勝を行い、山縣亮太(慶應義塾大)、藤森安奈(青山学院大)と桐生とともにアジア大会代表に名を連ねるスプリンターが順当に決勝へとコマを進めた。この日行われた決勝では、男子400メートルで加藤修也(早稲田大)が、男子三段跳びは山本凌雅(順天堂大)が優勝。ともに7月の世界ジュニア選手権に出場し、推薦枠でアジア大会代表になった大学1年生が結果を残した。
(写真:追い上げ届かず悔しそうな表情でゴールする桐生)
 6月の日本選手権で男子100メートルを制し、世界ジュニアでは同種目で銅メダルを獲得した桐生。今大会は、ケガの影響もあってか100メートルの出場は回避した。この日は400メートルリレーの予選のみの出場となったが、まさかの予選落ちとなった。

 400メートルリレーが始まるころには、陽は沈み、黒い雲が空を包んでいた。暗雲立ち込める中、予選5組に登場した東洋大。東洋大は、第1走者から他校にリードを許すと、最後まで先頭をとらえることはできず、39秒76で2位に終わった。アンカーを務めた桐生は「追いつけなった」と肩を落とした。

 予選は各組トップが通過し、2位以下はタイム順上位3チームまでが決勝へと進める。早大、慶大などは順当に予選を突破。タイムで拾われる3校には中京大が39秒50、法政大が39秒55、関西学院大が39秒68で入った。コンマ8秒届かなかった東洋大は予選落ちが決定した。

 今シーズンの桐生は、春先に好記録を連発したものの、ケガに悩まされた。6月には2大会の出場をキャンセルした。100メートルで銅メダル、400メートルリレーで銀メダルを獲得した世界ジュニアでも、足の痛みを抱えていてのものだった。今大会は無理をせず、400メートルリレーと200メートルの出場にとどめた。

 種目を絞った上での敗戦に悔しさも大きいはず。残りは明日以降に組まれている200メートルのみだ。同種目には日本選手権を優勝し、アジア大会代表に選ばれている原翔太(上武大)も出場するほか、橋元晃志(早大)、大瀬戸一馬(法大)ら強敵ぞろいである。桐生は「200は勝ちに行く。ベストを狙いたいです」と力強く語った。現役日本最速スプリンターの明日からの巻き返しに期待したい。

 桐生不在の100メートルで存在感をアピールしたのが、最後のインカレとなる山縣だ。ケガの影響で冬季に満足のいく練習を積めず、春先はなかなか結果が出なかった。それでも焦ることなく、照準はアジア大会に置いていたという。

 30度を超える暑い日差しの中行われた予選では、「中盤の加速を、大事をとってセーブした」と、余裕をもって10秒32で通過した。約2時間後の準決勝では、「加速をもう一段上げた」とギアの違いを見せつけ、先頭に立つと最後は流してフィニッシュ。追い風も0.1メートルと、それほどない中でも10秒14の好タイムをマークし、決勝へとコマを進めた。

 過去2年は日本インカレでケガに泣き、結果を残せていない。「インカレでポイントをとれる選手になること」を目標に置く山縣にすれば、それは許し難いことに違いない。400メートルリレーでは第2走者として、トップ通過に貢献。2種目で決勝に進み、慶大のポイント獲得にも寄与している。

 100メートル準決勝のレース後、大学の応援席からは「9秒台!」のコール。山縣は、それに笑顔で応えたが、準決勝での好タイムを考えれば、条件さえ整えば決して不可能ではないと思わせる。やはり日本陸上界の歴史を変えるのは、この男かもしれない。

(文・写真/杉浦泰介)