5月に入って3勝5敗1分。連戦が続く中、計算できるピッチャーの枚数が少なく、リーグ最下位と苦しい戦いを強いられています。助っ人として期待していた外国人は軒並みコントロールが悪く、自滅しています。
ここまで狙ったところに投げられない状況では、キャッチャーのリードも何もありません。今季は前期が終わると2カ月のインターバルがありますから、その間に新しい選手を加え、投手陣は再編成するつもりです。既に代理人を通じ、米国にも話をしていますし、韓国からもサウスポーがテストを受けに来る予定です。
日本人でも柱として期待していた
平良成が腰痛で一時、戦線を離脱し、復帰後も力任せな投球が目立ちます。そのため制球がままならず、カウントを稼ぎにいって狙い打たれるパターンの繰り返しです。4月25日の愛媛戦では、正田樹と投げ合い、6回途中2失点とまずまずのピッチングをしたかと思えば、5月1日の香川戦は2回6失点KO。翌日の徳島戦にリリーフで起用したところ、最初の2イニングは0に抑えました。前日の反省を生かしてくれたと思いきや、3イニング目に10失点と大崩れしてしまったのです。
いいピッチングをなぜ継続できないのか。それは具体的なテーマや課題を持ってマウンドに上がれていないからです。「前回と同じイメージで」といった漠然とした発想では、良い時、悪い時の状態を自分なりに把握し、修正できません。出たとこ勝負のピッチングに終始してしまうのです。これではプロとして成績を残すことはできません。
平良を例に出しましたが、他の選手にも同じことが言えます。もっともっと突き詰めて野球に取り組まなくては先はありません。我々も口うるさく徹底していくしかないと考えています。
コマ不足の中で希望の光を探すとすれば、新人の
秋山陸(國學院栃木高−BBCスカイホークス)と4年目の
松本英明です。秋山はストレートの球速は130キロ台ですが、粘り強く投げています。現状、1勝(2敗)と勝ち星は少ないものの、防御率は1.50。7試合に登板して四死球が12個と少ない点が安定したピッチングにつながっています。
同じく松本も丁寧さが際立っています。球速は140キロちょっとながら、スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、無傷の4連勝。こちらは7試合に投げて四死球はわずかに7個です。この2人を見ても、ピッチャーはコントロールが大事なのが一目瞭然です。現状、前期優勝は厳しくなってきましたから、何とか2人が投げる試合をモノにしながら、投手陣を立て直したいと思っています。
野手では台湾人の4番・
蔣智賢が打線の軸になっています。ここまでリーグトップの6本塁打。打率.342もリーグ2位です。NPBからも注目されており、もしかしたら助っ人としてシーズン途中にオファーがくるかもしれません。
もちろん、独立リーグとNPBの1軍クラスのピッチャーでは球のスピード、質が全く異なります。インコースの速球に対応できるかも未知数です。それでも、このリーグのバッターとしては抜けた存在であることは間違いないでしょう。
問題は蔣の前後を打つバッターです。開幕前に打の中心として紹介した
河田直人や
金城雅也が打てば打線はつながるのですが、現実はそうなっていません。2人に共通している悪い点は、せっかくのバッティングカウントでもタイミングが外れたような打ち方をしてしまうこと。これは狙い球の絞り方が悪いか、集中力を欠いているとしか思えません。繰り返しになりますが、漠然と打席に立っていてもコンスタントにヒットは出ません。意識や考え方をもう一度、見直さないと昨季以上の結果は残せないでしょう。
今季のアイランドリーグは投高打低の傾向が強くなっています。各チーム、好投手が多いというよりも、打線が弱いのが実情でしょう。これまでの試合を振り返っても、ピッチャーが踏ん張りさえすれば互角に戦えています。後期に向けて、もう一度、チームづくりをやり直し、勝ち星が増やせるようにしていきたいです。
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弘田澄男(ひろた・すみお)プロフィール>:高知ファイティングドッグス監督
1949年5月13日、高知県出身。高知高、四国銀行を経て72年にドラフト3位でロッテに入団。163センチと小柄ながら俊足巧打の外野手として活躍し、73年にはサイクル安打をマーク。74年には日本シリーズMVPを獲得。75年にはリーグトップの148安打を放つ。84年に阪神に移籍すると、翌年のリーグ優勝、日本一に貢献した。88年限りで引退後は阪神、横浜、巨人で外野守備走塁コーチなどを歴任。06年にはWBC日本代表の外野守備走塁コーチを務め、初優勝に尽力した。12年に高知の球団アドバイザー兼総合コーチとなり、14年より監督に就任する。現役時代の通算成績は1592試合、1506安打、打率.276、76本塁打、487打点、294盗塁。ベストナイン2回、ダイヤモンドグラブ賞5回。
(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)
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