参議院選挙が告示され、選挙戦がスタートしました。投票日の7月11日まで、僕も候補者の応援で愛媛中をまわることになりそうです。今回の参院選のテーマは何か。少なくとも昨年8月の総選挙とは異なり、「政権選択」ではありません。「政治とカネ」や「普天間問題」ばかりが取り上げられてしまいましたが、55年間続いた自民党中心の政治を大掃除する作業はまだ始まったばかり。政権を安定させ、さらに大掃除を進めるためには有権者のみなさんの後押しが必要です。その推進力をどのくらいいただけるのかが焦点となるでしょう。
 その前に、まず鳩山由紀夫首相の辞任に関しては率直にお詫びをしなくてはいけません。僕たちは野党時代、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と1年ごとに首相が交代した際、「首のすげ替えだ」と批判をしてきました。どのような理由にせよ、1年も持たずまた総理大臣が辞める事態になってしまったことは言い訳のしようがありません。

「総理大臣が代わると、その都度、方針が変わる。そちらは党の都合かもしれないけど、実際に行政をする立場はついていけないですよ」
 地元の自治体のみなさんからはそんな厳しい言葉もいただきました。国内のみならず、こんなにトップが代わる国では海外の首脳との関係性も築けず、交渉もうまくいきません。それがひいては国民のみなさんにご迷惑をかけることにつながります。個人的には、今でも鳩山さんは辞める必要はなかったですし、辞めるべきではなかったと考えています。ただ、こればかりはご本人の決断ですからどうしようもありません。鳩山内閣で進めたこと、やり残したことを踏まえ、もう一度リスタートをさせていただきたいと思っています。

 鳩山首相が退陣するという知らせは、当日のニュース速報で知りました。朝、急遽、両院議員総会開催の連絡が入り、「何か大きなことがあるな」とは薄々感じていましたが……。議員総会での鳩山さんの演説は辞任を決断していたせいか、本音を聞けた思いがしました。「友愛」「新しい公共」など、理念を持って政治に取り組んだ鳩山さんの姿勢は決して間違ってはいません。ただ残念なのは、それを現実に落とし込むだけの手法や体制を築けなかったこと。普天間基地の移設問題にしても、「基地のない沖縄」を理想として問題提起をしたことは評価されてもよいでしょう。しかし、実際に課題をどう解決するかは別問題です。鳩山さんが最終決断した辺野古移設に関しては沖縄のみなさんを中心に強い反発があります。いかに多くの方に納得していただける解決策を示すかは僕たちに残された宿題です。

 代わって就任した菅直人首相は「最小不幸社会」をスローガンに「強い経済、強い財政、強い社会保障を実現する」ことを目標に掲げています。その意向を反映する形で、今回のマニフェストには「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議」を開始することが盛り込まれました。確かに国の財政は今年度予算で国債発行額が税収を上回るなど非常事態を迎えています。新しい政策を進めていく上で、税制の見直し論議は避けて通れません。とはいえ、先の総選挙で僕たちが「消費税は4年間上げない」と訴えてきたことも事実です。もし、その約束を変更するのであれば、菅首相も示唆しているように衆議院を解散し、みなさんの判断を仰がなくてはならないでしょう。

 メディアでは「10%」という税率だけがひとり歩きしている感がありますが、単に消費税を引きあげるだけでは「強い財政」は実現できません。5%アップしたとしても増える税収は12兆円。今年度の国債発行は44兆円ですから、使途を明確にしないと単なる赤字の穴埋めになってしまいます。まずは年金の充実など、何のためにアップ分を活用するのか、徹底的な議論が必要です。さらには所得税、法人税など、他の税制にも手をつけることも求められるでしょう。もちろん、国民のみなさんに”痛み”をお願いするわけですから、ムダづかいの撲滅や議員定数の削減といった公約を先に実現することも不可欠です。そう考えると消費税の増税は短期間でできる話ではないように思います。いずれにしても菅首相が提案している「超党派の協議」を行うことが大切です。

 さて、今回の参院選のマニフェストでは、昨年の総選挙に続き、スポーツ政策について記載することができませんでした。自民党が「スポーツ基本法の制定」などを明記している中、これは非常に残念です。実は鳩山政権下で、マニフェストづくりを進めていた際には、「スポーツ基本法の制定」「スポーツ庁の設置」といった文言が入る予定になっていました。参議院には衆議院より任期が6年と長く、解散もありません。それだけに長期的スパンで取り組むべき政策のひとつとしてスポーツは取り上げられていたのです。

 ところが首相交代の影響で、マニフェストの中身は菅首相のメッセージを大きく打ちだす形に変わらざるを得ませんでした。内容が改定される中、スポーツの項目もなくなってしまった……。これが実情です。当然、マニフェストにないからといって、民主党がスポーツ政策を進めないというわけではありません。スポーツ基本法の制定、スポーツ庁の設置、底辺の拡大、育成とトップアスリートの強化――。新しい政治にふさわしいスポーツ政策を実行しようと考えている議員は党内に大勢います。

 奇しくも参院選の投票日はサッカーW杯の決勝戦。これほどスポーツと縁のある選挙はないでしょう。「最小不幸社会」の中でスポーツをどう位置づけるべきか。その戦略をみなさんとともに練るキックオフの日にもしたいものです。「投票を済ませて夜はサッカー」。ぜひ有権者のみなさんには、大切な一票を行使していただきたいと願っています。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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