現状、愛媛は11勝22敗2分の最下位。首位・香川や2位・徳島からは大きく水を開けられ、高知にも抜かれてしまいました。この低迷はひとえに監督である僕の責任です。守りを重視した堅実な野球を目指し、失策数こそリーグ最少の24個と面目を保ったものの、肝心なピッチャーのチーム防御率はワーストの4.07。先発、抑えの役割分担が明確にできないまま、ずるずると来てしまいました。
負けが込み、最下位の可能性も出てくると、選手たちには「勝たなくては」との思いが余計に強くなっていきます。これがかえって力みにつながり、結果が出ない悪循環に陥っているのは明らかです。それでも何とかテコ入れして、チーム状態を上げるのが監督の仕事ですから、力不足を痛感しています。
最大の誤算はエースの
小林憲幸に続く、先発ピッチャーを確立できなかったこと。ドミニカ人左腕のミゲル・サンフレールがまずまず試合をつくってはいるものの、他のピッチャーは計算が立ちません。最終手段と考えていたベテランの
河原純一にたびたび先発を託さざるを得ない状況です。
また抑えは
ミッチェル・ウィルハイトが期待外れでした。ボールに力はあるものの、ランナーが出ると慌ててソワソワしてしまい、自滅を繰り返す……。これでは大事な場面を任せられません。先発での起用も試してみましたが、やはり走者を背負った場面でのピッチングは不安定でした。
広島から派遣された育成選手の
辻空も防御率6.20と芳しくありません。彼を最初に見た時はボールの勢いが素晴らしく、経験を積めば化けると期待していました。ただ、実際にシーズンが始まってみると、腕の振りに思い切りがなく、コントロールもばらついています。原因は技術よりもメンタルの問題が大きいのではないでしょうか。アイランドリーグで数多く実戦で投げられることをプラスにとらえ、もっと1回1回の登板を大切にしてレベルアップに励んでほしいと感じます。
後期に向けて投手陣の整備は急務。というわけで、元NPB左腕の
正田樹と、昨年徳島でプレーした
ホセ・バレンティンを補強しました。正田は現時点では中継ぎですが、後期からは先発での起用も視野に入れています。バレンティンに関してはクローザーを務めてもらう方針です。
先発と抑えが固まれば、残りのピッチャーでつないでいくスタイルがみえてきます。リードを奪って、
高原和弘、
橋本直樹のルーキ両右腕からバレンティンで締めくくる。勝ちパターンができると、もう少し競った展開をモノにできるはずです。
橋本直樹はここまで14試合に登板し、防御率0.96と結果を残しています。球速は130キロ台ながら、コントロールが良く、またボールの出どころが見にくいのが持ち味です。緩急を使い、うまくバッターのタイミングを外しています。今後も特徴を生かしたピッチングを続ければ、シーズン通して活躍できるでしょう。
投手を含めた守りが改善されれば、次はいかに点を取るかがテーマになってきます。4番のザック・コルビーは日本の野球に慣れ、5月は4割以上の打率で月間MVPに輝きました。また得点圏打率も高く頼りになる主軸です。コルビーの前にどうやってランナーをためるか。これが得点力アップには欠かせません。
そこで開幕からトップバッターには昨季の3割打者で盗塁王の
高田泰輔を起用してきました。しかし、前回も指摘したように、彼には調子の波が大きすぎます。代わりに他の選手を1番に据えた試合もありましたが、やはりチーム内で最もリードオフマンにふさわしいのは高田です。オーダーが固まらないと、それぞれの役割も定まらず、落ち着いて攻撃ができません。前期同様、後期も高田がチームの命運を握っていると言っても過言ではないでしょう。
また、ひとりひとりをじっくりと指導するべく、少しチームの人数も減らすことにしました。僕がリーグでの監督1年目ということもあり、球団には選手を多めに採用してもらっていましたが、前期も終わりに近づき、こちらも見極めができてきました。指導者は私も含めて3人ですから、目の行き届く範囲の人数にすることで、練習の質もよりアップするはずです。
1位の香川、2位の徳島と比較すると、投打とも走者が出た時の集中力に差を感じます。香川や徳島はチャンスでたたみかけることができる一方で、愛媛はあと1本が出ません。香川や徳島はピンチで粘れるのに対し、愛媛は踏ん張り切れず、失点してしまいます。各球団を見ていて、選手個々の能力はどのチームも大差ありません。しかし、大事なのは、ここぞという時に結果を残せるかどうか。プロとして最も求められる要素が異なれば、成績に大きな違いが生じるのは当然でしょう。
これらを劇的に変える特効薬はありません。選手たちが自ら変わり、自信をつけなければ勝負強さは身につかないと思っています。一朝一夕ではどうにもならない部分だけに、後期も厳しい戦いが続くかもしれません。しかし、前期の反省を踏まえ、一歩でも二歩でも前進できるよう全員で頑張ります。引き続き、よろしくお願いします。
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弓岡敬二郎(ゆみおか・けいじろう)プロフィール>:愛媛マンダリンパイレーツ監督
1958年6月28日、兵庫県出身。東洋大姫路高、新日鐵広畑を経て、81年にドラフト3位で阪急(現オリックス)に入団。1年目からショートのレギュラーとなり、全試合出場を果たすと、84年には初の打率3割を記録してリーグ優勝に貢献。ベストナインとダイヤモンドグラブ賞を獲得する。87年にもゴールデングラブ賞に輝き、91年限りで引退。その後もオリックス一筋で内野守備走塁コーチ、2軍監督、2軍チーフコーチ、スカウトなどを歴任。13年をもって33年間在籍したチームを退団し、愛媛の監督に就任した。現役時代の通算成績は1152試合、807安打、打率.257、37本塁打、273打点、132盗塁、240犠打。
(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)
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