最下位に沈んだ前期から一転、後期は首位争いを演じています。その要因は何といってもピッチャー陣の充実が大きいでしょう。途中加入した正田樹が先発の柱となって後期は4勝(1敗)をあげ、小林憲幸と2本柱ができました。広島の育成選手で派遣された辻空も、ようやくNPBの実力を発揮してきており、先発陣が充実してきました。
 先発がゲームをつくり、リードすれば、最後は抑えのホセ・バレンティン。勝ちパターンが固まったことでチームがひとつになって戦えています。

 正直、チーム状態は夏場の連戦が続き、決して良くありません。8月12日からの5試合では、得点はわずかに6。それでも、3勝1敗1分と勝ち越せたのは、ひとえにピッチャーの踏ん張りのおかげです。そんな中、17日の高知戦で櫟浦大亮がサヨナラホームランを放ったように、前期にはなかった勝負強さを選手たちが身につけてきています。

 ピッチャー陣を引っ張る上で、キャッチャー宏誓のリードぶりも評価できます。前期はなかなか勝てなかった反省を踏まえ、他球団の攻略ポイントを自分なりにつかんでくれました。リードが上達するに伴い、バッティングも相乗効果で良くなっています。相手の配球を読み、7月は38打数20安打、打率.526。バットを振ればヒットという状態で月間MVPに輝きました。

 結果が出ていることで、いい意味での余裕ができ、好プレーにつながる。そんなサイクルが生まれているのでしょう。この暑さで少し調子は落ちていますが、残り試合も彼が扇の要として頑張ってくれることを期待しています。

 また前期はトップバッターだった高田泰輔は後期から3番に打順を替えました。彼は昨季の盗塁王でもあり、当初はリードオフマンとしての役割を求めていましたが、一発長打もある特長を生かすため、クリーンアップを任せることにしました。

 代わりに3番だった藤長賢司を1、2番に上げ、バッティングの調子が上がってきたこともプラスになっています。昨季の首位打者は前期、打率.283と苦しんだものの、今や.320近くまで上げ、2年連続の首位打者を狙える位置にきています。彼の出塁が増え、クリーンアップ以降で得点するパターンが確立されたことも勝ち星に結びついているのでしょう。

 5番には新たに補強したグレゴリー・ベロスが入っています。彼はオリックスの育成選手として指導していたこともあり、一発長打を見こんで獲得しました。4本塁打を放っている一方、打率は.250を切っており、オリックス時代同様、確実性には欠けます。ただ、ボールをよく見て、つなぎの意識を持ってくれているのは救いです。

 40試合のうち、半数を消化し、優勝に向けて心配なのはケガ人が出ること。夏の暑さで疲労が溜まっている時期だけに、細心の注意を払わせたいと考えています。9月になれば残り10試合になり、少々疲れていても優勝が目の前なら自然と体は動くものです。

 ポイントになるのは、そこまでの8月の戦い方です。先述したようにチーム状態は若干バテがきていますから、ここを何とか五分以上で乗り切る。そのために、選手をうまくやりくりしながら戦っていきたいです。

 ここまでくれば、キーマンは全員です。ひとりひとりが力を出し切らないと頂点には立てないでしょう。1戦1戦、目の前の試合を全力で取りにいき、このまま後期を制覇したいと考えています。引き続きの応援、よろしくお願いします。 


弓岡敬二郎(ゆみおか・けいじろう)プロフィール>:愛媛マンダリンパイレーツ監督
 1958年6月28日、兵庫県出身。東洋大姫路高、新日鐵広畑を経て、81年にドラフト3位で阪急(現オリックス)に入団。1年目からショートのレギュラーとなり、全試合出場を果たすと、84年には初の打率3割を記録してリーグ優勝に貢献。ベストナインとダイヤモンドグラブ賞を獲得する。87年にもゴールデングラブ賞に輝き、91年限りで引退。その後もオリックス一筋で内野守備走塁コーチ、2軍監督、2軍チーフコーチ、スカウトなどを歴任。13年をもって33年間在籍したチームを退団し、愛媛の監督に就任した。現役時代の通算成績は1152試合、807安打、打率.257、37本塁打、273打点、132盗塁、240犠打。

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)


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