13日、キリンチャレンジカップ2008が神戸・ホームズスタジアムで行われ、日本代表はシリアに3−1で勝利した。

 08年国内最終戦を白星で飾る(ホムスタ)
日本代表 3−1 シリア代表
【得点】
[日] 長友佑都(2分)、玉田圭司(26分)、大久保嘉人(62分)
[シ] アルジノ(76分)
 W杯アジア最終予選のカタール戦を6日後に控える日本代表は、中東勢のシリアと国際親善試合を行った。カタールと同地区の相手に本番前にどのような試合運びを見せるのか注目された。

 今までチームを引っ張ってきたGK楢崎正剛(名古屋)、DF中澤佑二(横浜)が負傷で不在、海外組とガンバ大阪勢はクラブの試合日程から合流が遅れている。25名を招集した代表だったが、この日のベンチ入りは17名にとどまり、厳しい台所事情となっていた。特に中盤の選手が不足しており、先発メンバーでMF登録の選手は中村憲剛(川崎F)と阿部勇樹(浦和)の2人だけだった。

 試合は開始早々に動き出す。立ち上がりの2分、センターサークル付近で相手のパスをカットしたDF長友佑都(F東京)が自らドリブルでPAの少し外まで上がり、強烈なミドルシュートを放つ。ボールは低い弾道を描きゴール左隅に決まり、相手守備陣がマークを確認する間もなく日本に先制点が入った。長友は得点後も左サイドから再三、鋭い上がりを見せた。ウズベキスタン戦直前にケガで戦列を離れていたが、今日の試合では存在感を十分アピールした。

 前線に入ったFW大久保嘉人(神戸)、岡崎慎司(清水)、田中達也(浦和)、玉田圭司(名古屋)の4人は「4−2−3−1」でいう「3−1」の部分でポジションチェンジを繰り返し、シリアDFを混乱させた。4人で分厚い攻撃を展開し、前半だけでシュートは10本以上放った。そのうち一本が26分には、右サイドから崩し、中村憲剛(川崎F)のクロスボールに、オフサイドラインぎりぎりから飛び出した玉田が左足であわせ、ゴールネットを揺らす。相手守備陣が完全に後手に回り、しっかりと攻撃の形を作っていた。

 中澤の負傷でチャンスを得た寺田周平(川崎F)はセットプレーで存在感を見せた。前半だけでも2回ほど決定的なヘディングを放っている。189cmの長身を活かし、空中戦では十二分に通用することを見せた。しかし、田中マルクス闘莉王(浦和)との連係には不安が残った。DFラインから前に出てボールを追いかけがちな闘莉王の裏をうまくカバーできず、ゴール前で相手にマークがつききれない場面も見られた。ここは次戦にむけての課題になるだろう。

 後半開始から日本はMF今野泰幸(F東京)、香川真司(C大阪)、佐藤寿人(広島)を投入する。前半から多くのチャンスを作っていた左サイドを香川が攻め上がり、シリアゴールに迫っていった。12分には右サイド内田のクロスボールから香川が相手DFラインの裏へ抜け出し、GKと1対1となる。ボールをトラップしループシュートを狙うが、惜しくも枠の上に外れてしまう。しかし、積極的に前に出る動きを見せ、好機を演出していった。

 日本に3点目が入ったのは17分だった。ここでは左サイドをオーバーラップした長友が中央の大久保嘉人(神戸)にパスを出すと、トラップから素早くシュートを放つ。相手DFに当たったボールがゴールに吸い込まれ3−0。大久保の素早い判断が生んだ追加点だった。

 3ゴールを挙げ、残り30分を無失点で終えたいところだったが、徐々に疲れからか日本の守備は後手に回りだす。後半30分にはシリアにカウンターを許す。ドリブルでアルファミナを香川がPA内で倒し、PKを与える。これをアルジノに冷静に決められ、3−1となった。細かいパスを回し全体で押し上げてきたシリアに対し、日本DFラインはズルズルと下がる一方となり、1対1の場面でも遅れを取っていた。このシーンでのシリアは、まさに“仮想カタール”と呼べるものだった。日本がもっとも気をつけなければならない形だ。6日後のシミュレーションということを考えればPKを与えたシーンは収穫のある場面といえるかもしれない。

 一方、攻撃陣も残り30分を過ぎてから、長いボールを縦に放り込む場面が多くなり、ボールが前で収まらなくなった。前半の攻撃はFWの選手を4人起用しての、いわば「押せ押せの状態」での攻め上がりだった。相手に得点を許し、少しでも押され気味になると、チームのバランスの悪さを露呈する形になった。中盤が手薄な布陣では陣形が徐々に間延びすることは避けられない。試合終盤は海外組とガンバ勢の不在を強く感じさせる展開となってしまった。

 結局試合は3−1で終了し、スコア上は勢いのつく形で中東に乗り込むことになった。 試合後、岡田武史監督は「選手は高いモチベーションを持って戦ってくれた。前回のウズベキスタン戦では気持ちで臆する場面があったが、今回は積極的にボールに向かっていた。しかし、この試合の勝利でカタール戦に何の保証にもなってくれない。W杯予選はどの試合も落とせないので、一戦一戦アウェーでも関係なく勝ちにいきたい」と、選手たちの戦いぶりへの評価と次戦への意気込みを語った。

 選手の戦いぶりは評価できるが、監督の選手起用には疑問を感じた。駒不足とはいえ、アウェーでの試合を前に、FW登録の選手を4人も先発させる必要があったのか。少なくとも中盤の選手は今野、香川ともに試合に出られる状態にあった。後半開始からピッチに立ったのであれば、この2人は先発させるべきだった。

 アウェーでの追いかける展開を想定して、後半開始からFWを4人にするということならば話はわかる。しかし、最初からゴール前に張り付いた相手に、敵地では考えられないような前線の分厚いサッカーを展開した。これでは貴重なシミュレーションの場を一つまざまざと捨ててしまったような印象がある。岡田監督の采配が来週のアウェー戦で、裏目に出ないことを祈りたい。

 注目のW杯最終予選カタール戦は11月19日(水)に日本時間深夜1:30にキックオフされる。

<日本代表出場メンバー>

GK
川口能活
DF
寺田周平
→今野泰幸(46分)
田中マルクス闘莉王
→高木和道(56分)
内田篤人
駒野友一(78分)
長友佑都
MF
阿部勇樹
中村憲剛
大久保嘉人
→巻誠一郎(68分)
岡崎慎司
田中達也
→香川真司(46分)
FW
玉田圭司
→佐藤寿人(46分)