
11日、都内ホテルで第2回2018/2022年FIFAワールドカップ日本招致委員会(委員長・犬飼基昭日本サッカー協会会長)・招致連絡協議会が開催された。これまで2018年、2022年の両大会での立候補を目指していたが、22年大会のみに立候補する意向を犬飼委員長が各委員に伝え了承を得た。さらに5月14日にFIFAに提出される招致ブックについて、試合開催を提案するスタジアム13カ所、チームベースキャンプ地の候補となる64カ所が明らかになった。
(写真:「22年に絞ったことで、他の候補地と横一線になった」と犬飼委員長) 02年日韓共催W杯以来のワールドカップ招致を目指す招致委員会は、2018年との両睨みではなく、2022年大会一本で招致活動を行うことを決定した。この背景には、18年大会はヨーロッパでやりたいというFIFAやUEFA(欧州サッカー連盟)の強い希望があるためだ。世界のサッカー勢力図の中心にヨーロッパがいることは疑いようのない事実であり、18年大会について、すでにヨーロッパから4カ国が立候補する意志を表明している。このような状況で、欧州のサッカー協会関係者は「“漁夫の利”を狙う他地区の候補が出てこないか」という懸念をしている。その漁夫となる可能性を秘めていた国の一つが日本だった。
先月から南米や欧州を訪れていた犬飼委員長は、「世界のサッカー界が18年は欧州でワールドカップを行なうという認識を持っていることを肌で感じた」と話した。「こちらから何も言っていないのに、アルゼンチンやブラジルのサッカー協会は“日本は22年の交渉に来たんだろう”と言われた」とも明かす。もはや18年はヨーロッパで、というのがワールドスタンダードな考え方なのだ。
では、この時点で22年に一本化したのは、日本にとって大きな出遅れはなかったのか。その点について第1回委員会直後に、FIFA理事であり、日本サッカー協会副会長の小倉純二がこう語っている。「日本が18年、22年という両方のカードを持つことで、18年に立候補している国に対し、“18年は譲るから、22年に日本へ投票して欲しい”と意思表示することもできる。様々な可能性を残しておくためにも、両方で考えているという姿勢を見せることが大切なんです」。招致ブックをFIFAに提出する直前での一本化は、タイミングとしては絶好と言える。他候補地が日本の動向に注目する期間に、欧州関係者へ向けて「18年の欧州開催について、日本は協力的」というメッセージを発信することに成功したのだ。
そう言っても、日本にとってまだ22年の招致はスタートラインに立ったばかり。22年大会には同じアジア連盟から韓国、カタール、オーストラリアが立候補を表明し、北米のアメリカ合衆国も開催に手を挙げている。カタールは潤沢なオイルマネーを武器に世界各国の協会へ売り込みを行なっており、オーストラリアにはアジア連盟加盟国ながら“オセアニア初”という大義名分がある。韓国との共同開催とはいえ、2002年にワールドカップを行なっている日本にとって、“なぜ日本で開催する必要があるのか”を示さなければならない。2016年東京オリンピック誘致では発信できなかった課題を、ワールドカップ招致でどう表現できるかが大きなポイントとなる。
14日にFIFAへ提出されるまで、立候補国の参考資料となる招致ブックの中身は明かされていない。ただし、招致ブックに記載された競技会場については10自治体の13スタジアムが発表された。2002年大会で決勝戦が行なわれた日産スタジアムなど8会場は22年大会でも利用し、それらに加えて味の素スタジアム(東京都)、国立競技場(東京)、豊田スタジアム(豊田市)、ユニバー記念競技場(神戸市)の4会場が22年会場として名乗りを上げた。さらに大阪市に新設される予定の“大阪エコ・スタジアム(仮称)”も招致ブックの中に盛り込まれている。現在、大阪エコ・スタジアム以外は「開幕戦・決勝戦は8万人以上のスタジアムで行う」というFIFA規定を満たしていないため、現行のままであれば開幕戦・決勝戦ともに大阪で行うことになる。
2018年とともに、2022年ワールドカップ開催地が決定するのは今年12月。残り7カ月の間、招致活動で成功を収めるには、犬飼委員長をはじめとした委員会メンバーが世界各国を回りつつ票を集めて行く他に方法はない。「2002年大会で日本の観客が分け隔てなく、各国に温かい声援を送っていたことを評価してもらえる」と会見で口にした犬飼委員長。日本は極東の地でありながら、長年トヨタカップ、クラブワールドカップとFIFAの主催する大会を成功してきた実績があり、FIFA内部でも日本サッカーに対する評価は決して低くない。これまで積み重ねてきた経験と実績をいかにアピールできるか。6月の南アフリカW杯や今後行なわれるFIFA理事会での交渉が大きく影響を及ぼす。岡田ジャパンだけでなく、招致委員会にとっても負けられない戦いが本格的に始まろうとしている。