12日、南アフリカワールドカップグループリーグC第1節がルステンブルグで行われ、イングランド(FIFAランキング8位)とアメリカ(同14位)が対戦した。前半4分にスローインからのボールをうまくつないだイングランドがMFスティーブン・ジェラード(リバプール)のゴールで先制する。一方のアメリカも中盤から激しくプレスをかけ徐々にペースを握る。40分、MFクリント・デンプシー(フルアム)が放ったシュートをGKロバート・グリーン(ウェストハム)が後逸するという信じられないミスでアメリカが同点に追いつく。後半は動きのよくなったイングランドペースで進み、一方的に攻めあがるもゴールを奪うことができず1対1で試合終了。両者痛みわけの勝ち点1という結果となった。
GK痛恨のミスで勝ち星を逃す(ルステンブルグ)
イングランド 1−1 アメリカ【得点】
[イ] スティーブン・ジェラード(4分)
[ア] クリント・デンプシー(40分)
全64試合詳細レポートと豪華執筆陣によるコラムはこちら 同じ英語圏の国であり、多くの選手が英・プレミアリーグに籍を置く2カ国のゲームは、お互いを知り尽くした者同士の対決となった。
試合は前半4分にいきなり動く。右サイドのスローインをMFフランク・ランパード(チェルシー)からFWエミール・ヘスキー(アストンビラ)とつなぎ、PA外からゴール前へ走りこんだジェラードへ絶好のスルーパスが出る。ジェラードはシュートをアウトにかけてうまく流し込み、イングランドが先制点をあげる。ヘスキーが体を張ってボールを落とし、ジェラードが冷静にシュートを決めた。どちらがペースを握るか探っている最中での、いきなりのゴールだった。
しかし、1点目のゴール以降、素晴らしいサッカーを披露したのはアメリカだった。中盤の底に入るマイケル・ブラッドリー(ボルシアMG)とリカルド・クラーク(フランクフルト)が献身的な動きでイングランドにプレスをかけ、中盤で自由を与えない。ボールを奪うとすぐに司令塔のMFランドン・ドノバン(LAギャラクシー)にボールを預け、イングランド陣内に攻め込んでいく。16分には右サイドからドノバンがあげたクロスにFWジョジー・アルティドール(ハル)とデンプシーが飛び込む。惜しくもボールは逆サイドへ流れたが、ゴールへの可能性を感じさせる攻撃だった。38分にもドノバンがミドルシュートを放つも、これはゴール左に外れる。1点を追うアメリカがパスを効果的に通し、相手ゴールを脅かした。
積極的に攻めたアメリカが同点ゴールを記録したのは40分。しかし、それは意外な形で生まれた得点だった。ゴールほぼ正面、PA外からデンプシーが左足でミドルシュートを放つ。グラウンダーになったシュートはそれほど強烈ではなく、GKグリーンはキャッチしようとする。だが、ボールはグリーンの両手をすり抜けると、グリーンの右側を通り過ぎそのままゴールへ吸い込まれていく。あまりに不用意なプレーでイングランドはアメリカに同点ゴールを献上することとなった。今大会の使用球は非常に軽く、ボールに縫い目がないため変化がつきやすいと言われているが、グリーンのプレーはそうした原因とは結びつきそうもない。優勝を狙うイングランドの最大の弱点はGKと言われているが、それを裏付けるようなお粗末なプレーを大会初戦で披露してしまった。
前半は1対1で折り返すと、その後は一方的なイングランドペースになる。途中交代でピッチに入ったショーン・ライト=フィリップス(マンチェスター・シティ)やMFアーロン・レノン(トッテナム)がサイドからチャンスを作ると、前半はあまりいいところのなかったFWウェイン・ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド)が様々なレンジからシュートを放ち勝ち越しゴールを狙った。後半30分のシュートをはじめコーナーキックから惜しい場面を作り、2点目が入る予感もあったが、イングランドの前に立ちはだかったのはアメリカGKティム・ハワード(エバートン)だった。プレミアリーグ屈指の実力派が好セーブを連発し、イングランドの勝ち越しを許さない。残り15分を切ったところで長身FWのピーター・クラウチ(トッテナム)が送り込まれたが、それでもゴールは奪えず、1対1の引き分けに終わった。
イングランドからすれば、勝ち点3から1に減ったことで、2点を取りこぼしたようなドローであり、逆にアメリカからすれば拾った勝ち点1ということになるだろう。グループCはこの2カ国以外にスロベニアとアルジェリアが同居する。戦前からイングランドとアメリカが優位と言われており、直接対決がドローとなったことで残り2試合で、いかに得点を稼いて勝つかが重要なポイントとなる。グループ首位通過のチャンスは両国に残っている。大切なのは次節の戦いだ。特にミスで失点したイングランドは2度と失敗のないよう気持ちの面でしっかりと立ち直りを図りたい。
(大山暁生)
【イングランド】GK
グリーン
DF
テリー
キング
→キャラガー(46分)
G・ジョンソン
A・コール
MF
ジェラード
ランパード
レノン
ミルナー
→ライト=フィリップス(30分)
FW
ルーニー
ヘスキー
→クラウチ(78分)
【アメリカ】GK
ハワード
DF
オニェウ
ディメリット
チェルンドロ
ボカネグラ
MF
ブラッドリー
クラーク
デンプシー
ドノバン
FW
フィンドリー
→バドル(77分)
アルティドール
→ホールデン(85分)