23日、南アフリカワールドカップグループリーグD最終節がヨハネスブルグ・サッカーシティで行われ、ガーナ(FIFAランキング32位)とドイツ(同6位)が対戦した。攻守の切り替えが早い試合は、ともに決定機を迎えるもののスコアはなかなか動かない。後半に入ると、ドイツがボールを持ち始め15分にMFメスト・エジル(ブレーメン)の芸術的なミドルシュートで先制点を奪う。その後はガーナが反撃に出るも、ドイツ守備陣が踏ん張り失点を許さず、このままタイムアップ。1対0でドイツが勝利し自力での決勝トーナメント進出を果たした。ガーナは勝ち点4のままだが、オーストラリアを得失点差で上回りグループ2位を確保し、今大会でアフリカ勢として初のグループリーグ突破に成功した。
独、次戦はイングランドとの対戦に(ヨハネスブルグ・サッカーシティ)
ガーナ 0−1 ドイツ【得点】
[ド] メスト・エジル(60分)
全64試合詳細レポートと豪華執筆陣によるコラムはこちら グループCに続き混戦となっていたグループD。首位に立つガーナは1勝1分けで勝ち点4を獲得していたが、ゴールはPKの2点のみ。流れの中での得点はなく、首位にいても絶対的存在ではなかった。最終節でガーナと対戦するドイツは初戦では快勝劇を演じたものの、第2節のセルビア戦では退場者を出し0対1と敗れている。若い選手が多く精神的支柱となる存在がいないだけに、勝たなければいけないグループリーグ最終節で、チームの真の強さが問われる格好となった。
試合は序盤から一進一退の攻防となる。ガーナは高い位置からプレッシャーをかけ置いてボールを奪い速攻に転じる作戦をとった。ドイツ守備陣はボール回しにやや難があるとみて、FWアサモア・ギャン(レンヌ)やMFクワドォー・アサモア(ウディネーゼ)らが果敢にボールを追いかけチャンスを作る。一方のドイツはボールを持ちながら、斜めのロングボールを多用し、ピッチを広く使って攻撃を組み立てる。前半はMFトーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)がいる右サイドから突破を図る場面が多く見られた。
互いに決定機が生まれたのは前半25分。まずはドイツの攻撃、FWカカウ(シュツットガルト)のスルーパスに反応したエジルがGKリチャード・キングソン(ウィガン)と1対1になる。エジルは左足でコースを狙うものの、ここはキングソンが好セーブを見せ得点にならない。その1分後にゴールへ迫ったのはガーナだ。右サイドからのコーナーキックをMFアンドレ・アイエウ(アルル=アビニョン)がニアへ入れると、ギャンが高い打点からヘディングシュート。ボールは枠内に跳びGKマヌエル・ノイアー(シャルケ)も反応できなかったが、ゴールマウス前にいたDFフィリップ・ラーム(バイエルン・ミュンヘン)が落ちついて胸でトラップしボールをクリアする。攻撃を繰り返すものの両者ともに決め手を欠き、前半は0対0のまま折り返す。
後半に入るとドイツがボールを持ちながらチャンスをうかがう。エジルやMFルーカス・ポドルスキ(ケルン)がチャンスメイクし、徐々にガーナ陣内へ入っていく。
しかし、先に決定的な場面を作ったのはガーナだった。6分、ピッチ中央でスルーパスを受けたアサモアがゴール前に持ち込みGKと1対1になりシュート。これはノイアーがスーパーセーブをみせゴールを許さない。ガーナは一瞬のスピードでドイツ選手を上回り、シンプルなパスでドイツ陣深くにまで侵入していった。
ボールを持ちながらも攻めあぐねていたドイツにゴールが生まれたのは15分だ。人数をかけてパスを回し、徐々に相手DFラインを下げていく。そこで、右サイドにはたいたボールをミュラーがPA外に位置するエジルへパス。エジルはカットインしながらボールを持つと、やや浮いたボールに対し強烈に左足を振りぬく。シュートは一直線にゴール左隅を襲い、豪快にゴールネットを揺らした。GKが一歩の動けないほどコース、スピードともに文句なしのゴールでドイツが待望の先制点を手にする。このまま試合を終えると、ドイツが1位、ガーナが2位での通過という図式になった。
ガーナは1対1のままでも決勝トーナメント進出の可能性を残す、それでも、16強入りをより確実なものにするため、ここから反撃に出る。失点直後の16分、左サイドを突破したアイエウのクロスにファーサイドであわせたのはFWプリンス・タゴ(ホッッフェンハイム)。シュートは枠をとらえたが、マークについたDFイェロメ・ボアテンク(ハンブルク)がかかとでシュートをかきだしクリアする。さらに22分、右サイドからのクロスにゴール前でフリーになったアイエウがシュートを放つ。ここへカバーに入ったのはサイドバックのラームだ。主将の優れた危険察知能力でドイツはこのピンチも免れる。
その後は攻撃をゆるめお互いに様子をみた両者。他会場では得失点差で大きなビハインドのあるオーストラリアが2点をリードしていたため、両者ともに無理をする必要がなくなった。終盤にはドイツ中盤のキーマン、バスティアン・シュバインシュタイガー(バイエルン・ミュンヘン)が右足の筋肉を痛めピッチを去り、試合をさらにスローなものにした。
このまま90分が過ぎて、1対0で終了しドイツが勝利。もう1試合の結果でガーナがオーストラリアと勝ち点4で並んだものの得失点差で上回りグループ2位を確定させた。ガーナは今大会初のアフリカ勢の決勝トーナメント進出国となった。
ドイツは決勝トーナメント初戦でイングランドと、ガーナはアメリカとそれぞれ対戦する。ドイツは終盤にベンチへ下がったシュバインシュタイガーの足の状態が気になる。ミヒャエル・バラックを大会前の負傷で欠いた中盤で、シュバインシュタイガーまで失うとなると、厳しい状況になる。過去のW杯では強い精神力でトーナメントを勝ち進んできたドイツだが、やはりチームを鼓舞する存在がほしい。今日の試合で2回の決定機を防いだラームに牽引役としての期待がかかる。強敵を相手にするには、まず気持ちを強く持たなければならない。若い選手たちがゲルマン魂を見せてくれるのか。イングランドとの“欧州シード国対決”は好カード必至だ。
一方のガーナは流れの中での得点がないまま決勝トーナメントへ駒を進めた。アメリカは後半ロスタイムに大逆転をした勢いのあるチーム。対照的なグループ突破だっただけに、まずは相手を勢いづかせないために先制点を与えないことだ。ゴールこそないものの、ギャンやアイエウが仕掛ける攻撃には迫力がある。グループGのコートジボワールも決勝トーナメント進出が困難な状況にある。ガーナはアフリカの期待を一身に集める存在となるだろう。大声援を味方につけ、スタジアム全体でアメリカに重圧をかけたい。1回戦を突破すれば一気にベスト4入りも見えてくる。トーナメント分けに恵まれた千載一遇のチャンスをいかしたいところだ。
(大山暁生)
【ガーナ】GK
キングソン
DF
ジョン・メンサー
ジョナサン・メンサー
サルペイ
パントシル
MF
アナン
アサモア
A・アイエウ
→アディアー(90+2分)
K・ボアテンク
FW
タゴエ
→ムンタリ(64分)
ギャン
→アモアー(82分)
【ドイツ】GK
ノイアー
DF
メルテザッカー
フリードリッヒ
ラーム
ボアテンク
→ヤンゼン(72分)
MF
ケディラ
シュバインシュタイガー
→クロース(81分)
ポドルスキ
エジル
ミュラー
→トロホウスキ(67分)
FW
カカウ