23日、南アフリカワールドカップグループリーグD最終節がネルスプロイトで行われ、オーストラリア(FIFAランキング20位)とセルビア(同15位)が対戦した。前半はセルビアがMFミロシュ・クラシッチ(CSKAモスクワ)を中心に攻撃し押し気味に試合を進め、スコアレスのまま試合を折り返す。後半に入るとオーストラリアが反撃を仕掛け24分に試合は動く。MFティム・ケーヒル(エバートン)がヘディングでゴールをあげオーストラリアが先制する。勢いに乗るオーストラリアは直後に、途中出場のブレット・ホルマン(AZ)がミドルシュートを決めリードを2点に。39分にセルビアに1点を返されるが、そのまま2対1のスコアで逃げ切りオーストラリアが勝利した。オーストラリアは勝ち点を4に増やすもグループ3位となり2大会連続の決勝トーナメント進出を果たせなかった。

 セルビア、再三チャンス逃し最下位(ネルスプロイト)
オーストラリア 2−1 セルビア
【得点】
[オ] ティム・ケーヒル(69分)、ブレット・ホルマン(73分)
[セ] マルコ・パンテリッチ(84分)

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 序盤からセルビアが前節ドイツに勝利した勢いをそのままに攻勢を仕掛けた。前半6分、右サイドのクラシッチが突破しPA内に入るとニアサイドへシュートを打つ。ここはGKマーク・シュウォーツァー(フルアム)が鋭いセーブを見せボールを枠の外に弾き返す。12分には、スルーパスを受けたクラシッチがGKと1対1になり、シュウォーツァーをかわしシュートを放つが体勢を崩した分、枠をとらえきれない。ともに得点にはならなかったがセルビアが押し気味に進めた。

 23分にセルビアが3度目の決定機を迎えるが、またしてもゴールに立ち塞がったのは守護神のシュウォーツァー。右サイドのクロスからのDFブラニスラフ・イバノビッチ(チェルシー)のボレーシュートを右手一本で止める。セルビアは前半のチャンスを生かし切れず0対0で折り返した。

 対するピンチの連続だったオーストラリアはFWジョシュア・ケネディ(名古屋)の高さを生かして反撃を試みたが、チャンスらしいチャンスはロスタイムにMFブレット・エマートン(ブラックバーン)のクロスをケネディがヘディングで合わせたシーンくらいだった。

 後半に入るとクラシッチがボールを失うシーンが目立ち、セルビアの勢いも衰えを見せ始めた。これは前半自由に動いていたクラシッチをオーストラリア守備陣が封じ込め始めたからだ。

 するとオーストラリアが徐々にペースを掴んでいく。MFマルク・ブレッシアーノ(パレルモ)が14分にフリーキックから、17分にはミドルシュートでセルビアゴールを脅かす。ともにGKのセーブに阻まれるが得点の気配を感じさせた。

 オーストラリアのピム・ファーベック監督は、この流れに勢いをつけるため21分にホルマンとスコット・チッパーフィールドを投入し、フォーメーションを4−5−1から4−4−2に変更する。得点力の高い中盤のケーヒルをFWに配置し、より高いポジションでプレーさせる狙いが垣間見えた。

 この交代直後に試合が動く。24分、右サイドバックのルーク・ウィルクシャー(ディナモ・モスクワ)のクロスに頭で合わせたのはケーヒル。得意のヘディングシュートはゴールネットを揺らしオーストラリアが待望の先制点をあげる。さらに28分には交代出場のホルマンが中央でボールを持つと、PAの外から思い切りの良いミドルシュートを放つ。GKの前でワンバウンドしたボールはゴールに突き刺さり、オーストラリアのリードは2点に広がる。途中出場の選手がゴールを奪い、先制点に続きピム監督の采配がズバリ当たった形となった。

 対するセルビアもこのまま黙っては終わらない。決勝トーナメント進出を決めるためには、この試合を落とすわけにはいかない。その意地が形となったのは39分。クラシッチに代わって入ったゾラン・トシッチ(ケルン)が打ったシュートのこぼれ球を、マルコ・パンテリッチ(アヤックス)がつめて1点差に詰め寄る。ベスト16入りの可能性を残す引き分けまであと1点。セルビアはロスタイム4分間も必死に攻め続けたが、オーストラリアDF陣を崩すことは出来ず、タイムアップの時を迎える。2対1でオーストラリアが今大会初勝利を収めた。

 勝ったオーストラリアは前半の劣勢をシュウォーツァーの活躍により無失点で凌ぐと、後半に流れをつかんで2点を奪った。終盤に1点を返されたが、そのまま逃げ切り勝ち点3を獲得した。ピム監督の交代起用がうまくはまるなど最終節で好ゲームを見せたが、ドイツ戦での大敗が響き勝ち点で並んだ2位ガーナに得失点差で負けベスト16入りを逃した。

 一方のセルビアは前半の好機をものに出来ず、無得点で後半を迎えてしまったことがすべての敗因だった。好タレントを擁しセルビアとしての初の16強入りを有力視されていたが、厳しい局面で追いつく底力を持っていなかった。魅力的なサッカーは影を潜めたまま、セルビアは大会を後にした。

(杉浦泰介)


【オーストラリア】
GK
シュウォーツァー
DF
ニール
ビーチャム
カーニー
ウィルクシャー
→ガルシア(82分)
MF
ヴァレリ
→ホルマン(66分)
クリナ
エマートン
ブレッシアーノ
→チッパーフィールド(66分)
ケーヒル
FW
ケネディ

【セルビア】
GK
ストイコビッチ
DF
ビディッチ
ルコビッチ
イバノビッチ
オブラドビッチ
MF
スタンコビッチ
クズマノビッチ
→ラゾビッチ(77分)
ニンコビッチ
クラシッチ
→トシッチ(62分)
ヨバノビッチ
FW
ジギッチ
→パンテリッチ(67分)