90年代後半から世界トップクラスの車椅子ランナーとして活躍してきた廣道純。パラリンピックには3度出場し、得意の800メートルでシドニーでは銀メダル、アテネでは銅メダルを獲得した。2004年からは日本人では初のプロ車椅子ランナーとなり、日本の障害者スポーツ界を牽引してきた。その廣道選手に二宮清純がインタビューを敢行。ロンドンに向けての意気込み、競技の魅力などを訊いた。
(写真:ロンドンでは自身初の金メダルを狙う廣道選手<左>)
二宮: いよいよロンドンパラリンピックが近づいてきましたね。廣道さんはシドニー、アテネ、北京に続いての4大会目となりますが、いかがですか?
廣道: シドニーでは4種目、アテネでは6種目、北京では4種目と、これまでは可能な限りの種目に出場していたんです。それでも800メートルでシドニーでは銀メダル、アテネで銅メダルと結果を残せたのですが、北京ではメダルを逃してしまった。だから、今回のロンドンは2種目か3種目に絞っていきます。

二宮: 本命の種目は?
廣道:  800メートルです。まだ獲っていない金メダルを狙っていきます!

二宮:  800メートルでは、世界でどのくらいの位置にいるんですか?
廣道: 世界ランキングは5位です。

二宮: 上に4人いると。そうすると、この4人を追い抜かないと金メダルには到達しないということですね。
廣道: 自己タイムだけで言うとそうなのですが、レースの展開次第では、どの選手がトップに立ってもおかしくありません。

二宮:  800メートルはトラック2周ですから、駆け引きといっても、ポイントがたくさんあるわけではありませんよね。
廣道: はい。だからこそ、難しいんです。まずはスタートした時のポジション取りが大事になってきます。最初の100メートルで何番手に位置するかで、その後のレースに大きく影響するんです。それからラスト1周となった時に、どのポジションにいるかで、早くもそこから仕掛ける選手もいれば、残り300メートルのところのバックストレートで出てくる選手もいる。そして残り150メートル、3コーナーあたりで、かわしにいく選手もいますね。自分がどこで仕掛けるかは、レース展開を見極めながら、その時の自分のスピードやスタミナを考えて決めるんです。

二宮: なるほど。ここぞという時の勝負どころまで、ある程度、スタミナを温存しておかなければいけませんね。
廣道: そうですね。他の選手につられて、スタートからダッシュして必死に食らいついていくと、一番大事なところでスタミナ切れの状態になってしまいます。

二宮: "捲り"や"差し"があるというのは、まるで競輪のようですね。
廣道: もう完全に競輪と同じ駆け引きですよ。わずか2周の中で、先行逃げ切りを狙う選手もいれば、2番手、3番手にいて、最後に差しに行く選手もいます。ただ、競技用車椅子は長いですから、あまり後方にいると、ラストの直線で交わしに行こうとしても、一気に前に出るのは難しい。だからこそ、ポジション取りが重要なんです。


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