あと6年に迫った2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府、東京都が動き始めている。今年4月には、パラリンピックの管轄が厚生労働省から、オリンピックと同じ文部科学省に移管された。さらに政府の2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室は、パラリンピックのナショナルトレーニングセンター(NTC)設置について、既存の施設でオリンピックと共用する方針を発表。6月にはそのNTCの課題について意見を述べ合う有識者会議の第1回会合が開催されるなど、さまざまな取り組みが行われている。そこで今回は、第二次安倍内閣の官房長官を務める菅義偉氏をゲストに迎え、東京オリンピック・パラリンピック成功へ向けて話を訊いた。
伊藤: 2020年東京オリンピック・パラリンピックは、実に56年ぶりとなるわけですが、今回の大会の最大の特徴はどういう点にあるのでしょうか。

: 1964年当時は終戦から復興し、社会全体が右肩上がりに成長していた時代。オリンピックを契機に、高速道路や新幹線ができ、日本の成長した姿を世界に知らしめた大会となりました。一方、現在は成熟した国家のひとつとなりました。その中で、2020年東京オリンピック・パラリンピックでは世界が抱える環境問題や少子高齢化などの課題をどう克服していくのか、その進むべき方向性を示す大会にしたいと思っています。

二宮: 1964年はまさに「成長」をコンセプトとしたオリンピックでしたね。菅長官は、当時のことを覚えていらっしゃいますか?

: はい、鮮明に覚えていますよ。当時、私は15歳でした。白黒のテレビで観ていたわけですが、一番興奮したのは日本が金メダルを獲得した女子バレーボール。「あぁ、日本も世界とこんなに戦えるんだ」と子ども心に思ったものです。まさに“東洋の魔女”でしたね。

 強まるパラリンピック開催の意義

伊藤: 1964年の時も、オリンピックの後にパラリンピックが開催されていますが、ほとんど注目されませんでした。しかし、成熟した社会となった今、パラリンピックを開催する意義は大きいと考えます。

: おっしゃる通りです。世界的に障がい者の自立や社会参加が言われて久しいわけですが、日本においても少しずつ、そうしたことが根付きつつある。その中で開催するパラリンピックは、世界から注目されることは間違いありません。2020年パラリンピックは、障がいの有無に関係なく、みんなで一緒に社会を支え、笑顔で人生を歩むことのできる社会への契機となることを望んでいますし、また、そういう大会へと導いていかなければいけないと思っています。

二宮: 2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックでは、オリンピックもさることながら、パラリンピックへの評価が非常に高かった。まさに成熟都市としての姿を見せた大会だったと思います。つまり、ある意味、今後はオリンピック以上に、パラリンピックをいかに成功させるかが問われてくる。国をあげての支援や理解が重要になります。

: 日本も今年4月にようやくパラリンピックをオリンピックと同じ文部科学省の管轄に移管し、一本化されました。今後は、オリンピックとパラリンピックとの垣根が取り払われ、協力体制が築かれていくと期待しています。

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