ここまでは10勝5敗2分。ADVANCE-Westの首位に立っています。監督として1年目、開幕戦の北海道日本ハム2軍戦に勝利し、コーチ、選手に支えられて好スタートが切れました。
 チームを牽引しているのは、リーグトップの99得点を誇る攻撃陣です。トップバッターの渡嘉敷貴彦はオープン戦から調子が良く、打率はチームトップの.397。四球も14個選んで出塁率も良く、塁に出れば足を使って、チャンスを拡大してくれます。

 還す役割を果たしているのが4番のラウール・レイエスです。リーグトップの4本塁打、17打点。主砲として十二分の働きをしてくれています。性格もまじめで、外野の守備がうまくなれば、NPBから声がかかるかもしれません。

 また3番の宮澤和希も打率が3割を超え、高橋信二兼任コーチとの取り組みがかたちになっています。打てない日もありますが、今後もクリーンアップで使い続けるつもりです。高橋コーチは現状、指導に専念するかたちとなっていますが、5月は試合数が多く、選手たちが疲れてくる時期です。おそらく近々、試合で打席に入る姿が見られるでしょう。高橋コーチが選手として加わって、より打線に厚みが生まれると期待しています。

 攻撃が機能しているだけに、ピッチャーがもっと頑張れば勝ち星は伸びていきます。先発の軸になっているのはペドロ・リリアーノと有斗です。リリアーノは3勝0敗、防御率1.77。さすがメジャーリーグ経験があるところをみせています。

 彼の良さは制球力です。ストレートはもちろん、カーブ、ツーシーム、チェンジアップといった変化球が高めに浮きません。外国人にありがちなスピード一辺倒のタイプとは異なり、チームに勝ちをもたらすピッチングをしてくれます。テンポもよく、野手陣は守りやすいのではないでしょうか。投手陣にとって、彼は良きお手本になっています。

 左腕の有斗は今季をNPBへのラストチャンスと位置づけてシーズンに臨んでいます。球速は140キロ後半が出ており、奪三振(30個)はリーグ2位。ボール自体は十分、NPBクラスです。スカウトにもうひと押しするには、1年間きっちりローテーションを守り、安定した成績を残すことでしょう。今季はとにかく結果にこだわって投げ続けてほしいと思っています。

 今後は、この2人以外で勝てる先発投手をつくることがテーマです。元オリックスの甲斐拓哉にも谷間では先発に回ってもらってフルで投げてもらいたいと考えています。もう1度、NPBに戻るためにも、いろんな役割で投げられることを証明してほしいものです。

 リリーフ陣は右の伊藤一、左の中根龍也に、抑えではサイド右腕・小川武志が控えています。小川はサイドスローながら140キロ台後半の力強いボールを投げ、ラストイニングを託せる選手です。サイドスローのクローザーといえば、元ヤクルトの高津臣吾さん。夢は大きく高津2世を狙ってほしいものです。その可能性は秘めているとみています。

 監督をしていて、一番うれしいのは何といっても勝利の瞬間です。チーム全員で握手をし、ファンの方に「よくやった」と声援をいただく。この喜びはコーチ時代以上のものがあります。

 何よりありがたいのは、ファンの方から「今年は去年とは違う」「今年は活気がある」とお褒めの言葉をいただけていることです。これは選手たちの頑張りに加え、高橋兼任コーチ、松井宏次コーチが、しっかり選手を指導しているおかげととらえています。僕は打撃や守備、走塁は専門外ですから、この部分ではコーチのサポートなくして指揮を執れません。2人のコーチは選手をよく見て、熱心にアドバイスをしており、本当に感謝しています。

 まだシーズンは1カ月が経っただけですが、これからも一戦一戦、勝利への執着心を持って、諦めずに戦います。守りは1点でも失点を少なく、攻めでは1点でも得点を多くして、全員で優勝に向かって突き進みます。

 ファンの方から、今以上にお褒めの言葉をいただけるよう頑張ります。引き続き、応援をよろしくお願いいます。
 

岡本克道(おかもと・かつのり)>:信濃グランセローズ監督
1973年6月9日、大阪府生まれ。柳ヶ浦高(大分)時代には2度、甲子園に出場。東芝時代には日本選手権と都市対抗大会で優勝を経験した。97年にドラフト5位で福岡ダイエー(現ソフトバンク)に入団。1年目から抑えとして活躍し、19セーブをマークする。翌年には21セーブを挙げた。2003年には中継ぎで54試合に登板し、日本一に貢献する。06年に退団後、米国、台湾でプレーする。08年に四国・九州アイランドリーグ(現アイランドリーグplus)の長崎、09年には同香川で投手コーチを務める。10年には横浜(現DeNA)の投手コーチに就任。15年シーズンより信濃で指揮を執る。現役時代の通算成績は291試合、17勝16敗51セーブ、防御率2.98。
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