21日、女子ソフトボールの決勝が行われ、日本は五輪3連覇中の米国と対戦した。日本は昨日に続いてエースの上野由岐子が先発。その上野を打線が援護し、日本が終始試合の主導権を握った。投げては上野がピンチにも冷静なピッチングで要所を締め、米国をわずか1失点に封じて快勝。日本はソフトボールが正式競技として採用されて以来、目標としてきた待望の金メダルを獲得し、有終の美を飾った。
◇決勝
 エース上野、1失点完投勝利!
日本代表 3 = 0011001
米国代表 1 = 0001000
勝利投手 上野
敗戦投手 オスターマン
本塁打   (日)山田
       (米)バストス

 悲願の金メダルをかけて、宿命のライバル・米国との最後の戦いに挑んだ日本は、先発に昨日、318球を一人で投げぬいた上野をたてた。

 1回裏、その上野がいきなりピンチを迎えた。1、2番ともに打ち取った当たりが不運にも内野安打となり、無死一、二塁とされる。さらに内野のミスで1死満塁としてしまった。だが、上野は5番・クレッチマンをセカンドゴロ、6番・デュランをファールフライに打ち取り、無失点に抑える。

 ピンチのあとにチャンスあり。日本は3回表、2死三塁から1番・狩野亜由美の打球がショートへの内野安打となり、三塁ランナーが先制のホームを踏んだ。
 さらに4回表には先頭打者の3番・山田恵理のソロ本塁打で1点を追加し、打線が連投の上野を援護した。

 しかしその裏、米国のパワーが日本を襲った。先頭打者の4番・バストスがチョコンと当てただけの打球を右中間スタンドに軽々と運んだ。これで日本のリードは1点となった。この回途中で雨のために一時、試合が中断されたものの、日本は集中力を切らさなかった。

 6回から米国は、サウスポーのアボットにスイッチした。日本はこのアボットには予選でわずか1安打に抑えられ、5回コールド負け。さらに昨日の準決勝では8回を3安打1失点に封じられていた。この回、日本は無得点に終わる。

 その裏、日本は1死満塁と一打逆転のピンチを迎えた。しかし、上野は冷静だった。後続を凡打に打ち取り、無失点に封じる。
 ここ一番の正念場を乗り越えた日本は7回表、相手ミスもあり、今大会完璧に封じられたアボットからダメ押しとなる1点を挙げた。

 待ちに待った瞬間まで、あとアウト3つに迫った日本。7回裏、上野が先頭打者に安打を許したが、ここまで力投してきたエースをバックがしっかりと支えた。サード後方に上がったファールフライをショートの西山麗が全力疾走で追い、ギリギリのところでキャッチ。続いて抜ければ長打となる鋭いライナーをサードの広瀬芽が素早い反応を見せて好捕した。

 いよいよ、悲願の初優勝までアウト一つ。フーッと息を吐き、ゆったりとしたモーションから上野がキャッチャーミット目がけてボールを放り込んだ。バットに当てただけの打球はボテボテのサードゴロに。これを広瀬が一塁へ。送球はワンバウンド気味となったが、ファーストの佐藤理恵がうまくすくい上げた。

「アウト!」
 塁審が腕を振り下ろした瞬間、ファーストの佐藤はボールを高々と空に舞い上げた。マウンド上では昨日から大一番3試合を完投し、エースとしての仕事を果たした上野がチームメイトと喜びを爆発させていた。

 一度もリードを許さない完璧な勝利で悲願の金メダルを獲得した女子ソフトボール。球技で日本が金メダルを獲得したのは1976年モントリオール大会の女子バレーボール以来、実に32年ぶりの快挙となった。