現在、日本のボクシング界で最も注目を集めているのはフライ級ではないでしょうか。WBA王者坂田健史選手、WBC王者内藤大助選手と2人の日本人世界王者がいる階級は他にありません。そして、何かと世間を賑わせている亀田興毅選手も同じ階級です。
 その坂田・内藤の両選手のダブル世界戦(7月30日、代々木第一体育館)の開催が決定しました。スポーツ新聞には、「統一戦へ興毅戦へ夢広がる」という見出しが躍りました。
 統一戦とは文字通り、団体の枠を超え王者を統一する、“真のチャンピオン”を決める戦いです。もし坂田選手VS内藤選手の日本人王者同士が激突するとなれば期待が高まるのも当然です。
 亀田戦はどうでしょうか。内藤は弟の大毅を破った選手であり、坂田は協栄ジム所属で元同門。両者とも浅からぬ因縁があり、こちらも大きな注目を集めるのは間違いありません。

 さる5月19日、日本人史上3人目のライト級王者が誕生しました。このサイトのコーナー「水の力」にも登場していただいた小堀佑介選手です。ディファ有明という小さな会場ながら観客の大声援が小堀選手の背中を後押しし、逆転KO勝利という最高の結果をもたらしました。ジムの同僚や関係者の声援に応える小堀選手の姿を観て、僕は取材中にもかかわらず涙をこらえるのに必死でした。
 その後、小堀選手がメディアに大きく露出することはありません。ですが、少なくともディファ有明に詰め掛けた人にとって、新王者誕生の感動が色あせることはないでしょう。そのチャンピオンベルトの輝きは、歴代の名王者や統一王者のものと比較しても遜色ないはずです。

 ダブル世界戦、日本人王者同士による統一戦、亀田戦。
 いずれにしても、ボクシング史に残るような熱い戦いに期待します。観戦後に観る者が感動を覚える。そういった試合をしてこその世界戦であり、世界王者なのではないでしょうか。
 そして、その瞬間に立ち会うことができたら……。
 夢は広がります。

(T.M)
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