南アフリカW杯3次予選グループ2第5戦が、タイのラジャマンガラスタジアムで行われ、日本代表はタイ代表に3−0と快勝して最終予選進出を決めた。日本は前半23分、コーナーキックからDF田中マルクス闘莉王のヘディングシュートで先制。38分にもコーナーキックからDF中澤佑二が頭で押し込み、2点を先行する。後半はタイの反撃に苦しむ時間帯もあったが、88分にMF中村憲剛がゴールを決めてダメを押した。

 高さを活かし、今予選アウェー初白星(タイ・バンコク)
タイ代表 0−3 日本代表
【得点】
[日] 田中マルクス闘莉王(23分)、中澤佑二(39分)、中村憲剛(88分)
「今日は内容よりも勝つことに徹するサッカーをしたかった」
 勝ち点3がほしい岡田武史監督はスタメンを変えない決断を下した。4−2−3−1のシステムに変更はなし。右足首痛で出場が危ぶまれたMF中村俊輔も先発でピッチに立った。出場停止のFW大久保嘉人の代役には19歳のMF香川真司が入った。

 日本はキックオフ早々、MF長谷部誠が中盤でボールを奪い、そのまま持ち込んでシュートを放つ。「(ボールを)取られた後にすぐ守備に行く。そのコンセプトが前半はできた」と中村俊が手ごたえを感じたように、日本は立ち上がりから中盤でプレッシャーをかけ、相手陣内でボールを動かす。

 前半17分、コーナーキックのチャンスを迎えると、中村俊がファーに大きく蹴り出す。これを闘莉王が頭で合わせ、ニアに詰めていた玉田圭司もヘッド。相手DFに阻まれ、ゴールを割れなかったものの、2回目のコーナーキックを得た。これを再び中村俊がゴール前にボールを曲げて入れると、今度は中澤が飛び込んでヘディングシュート。相手GKの正面を突いたが、高さを活かした攻撃がタイを追い詰めていく。

 そして、待望の先制点はセットプレーから生まれた。前半23分、この試合5本目のコーナーキックを得ると、MF遠藤保仁が短く中村俊へ渡す。中村俊がボールを戻すと、遠藤はファーサイドにクロス。高くジャンプした闘莉王が相手DFに競り勝ち、頭で落とすとボールはバウンドして、ゴールネットを揺らした。

 さらに追加点も高さを活かしたもの。前半39分、再び遠藤のコーナーキックに今後は中澤が反応する。タイミングよく高い打点で頭を出すと、鮮やかにゴール左に突き刺さった。2−0。ボンバーヘッドの今予選3点目となるゴールで日本は前半から優位に試合を進めた。

 後半も立ち上がりは若い香川が積極的にシュートを放つなど、日本ペースが続く。ところが「前半飛ばしすぎて、後半バテた」(岡田監督)。時間が経つにつれ、中盤のプレスが弱まり、流れはタイへ。後半11分にはフリーキックであわやというシーンをつくられるなど、押し込まれる展開が目立った。日本は松井、中村俊の海外組に代えて、FW矢野貴章、MF中村憲剛をピッチに送り込むが、後半30分以降、シュートすら打てない状況が続く。

 しかし、得点をあげた闘莉王、中澤を中心にした守りも粘り強く、ゴール前で決定的な場面は与えない。我慢を重ねた末、ダメ押し点が入ったのは試合終了間際だった。左サイドにボールを持ち込んだDF駒野友一が前線へスルーパス。中村憲がうまく相手の最終ライン裏に抜け出し、そのまま右足でボレーを放った。勝利を決定付ける3点目。日本は今予選初めてアウェーゲームをモノにし、最終予選進出に大きく近づく勝ち点3を手中にした。

「後半はあと2点くらい取らなきゃいけなかった」
 勝利の喜びもそこそこに闘莉王は反省点を口にした。セットプレーで得点はあげたものの、流れの中で相手を崩す攻撃はあまりみられなかった。後半、ゲームの主導権は明らかにタイにあった。アウェーとはいえ、FIFAランキングで大きく劣る国に「内容よりも勝つこと」に徹さざるを得なかった岡田ジャパン。本当の勝負は9月からの最終予選であることを考えれば、やや物足りなさを感じるゲームでもあった。

 勝ち点を10に伸ばした日本は、15日未明に行われたバーレーン−オマーン戦が1−1で引き分けたため、2位以上が確定。3次予選通過が決まった。22日にはバーレーン(勝ち点11)をホーム(埼玉スタジアム)に迎え、グループ1位の座をかけて3次予選の最終戦を戦う。

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
駒野友一
田中マルクス闘莉王
中澤佑二
内田篤人
MF
遠藤保仁
長谷部誠
松井大輔
→矢野貴章(70分)
中村俊輔
→中村憲剛(70分)
香川真司
→今野泰幸(83分)
FW
玉田圭司