日本代表は14日に行われたアウェーでのタイ戦を快勝し、W杯アジア最終予選進出を決めた。日本は現在勝ち点10で首位のバーレーン(勝ち点11)を追い上げている。だが、3次予選でのグループ内順位は次ラウンドの組み合わせには影響されない。そのため、22日に行われる3次予選最終戦のバーレーン戦は、実質的には消化試合となる。
 しかし、バーレーン代表には3月に敵地で0−1の敗戦を喫しており、相手をホームに迎える今回の試合は勝利を収めたい。日本代表・岡田武史監督は「(敵地で敗戦の)屈辱は絶対に一生忘れない。僕のプライドと日本サッカーのプライドをかけた戦いになる」とあくまで勝負にこだわる姿勢をみせている。

 フォーメーションはタイ戦同様4−5−1になるだろう。FWはワントップで玉田圭司(名古屋)の起用が濃厚だ。中盤に目をやると、中村俊輔(セルティック)はケガの状態が悪く、松井大輔(サンテティエンヌ)と長谷部誠(ヴォルフスブルグ)はタイ戦までの累積警告がある。この3名の先発起用は避けられることになりそうだ。3試合の出場停止になった大久保嘉人(神戸)のポジションには山瀬功治(横浜)、右サイドに中村憲剛(川崎)、中盤の底には遠藤保仁(G大阪)と鈴木啓太(浦和)という布陣が予想される。

 注目したいのは、タイ戦に招集されていなかったメンバー。特に本田圭佑(VVVフェンロ)と安田理大(G大阪)の2選手だ。本田が左サイドMF、安田は左サイドバックでの起用が期待される。U−23五輪代表から選出された本田は出場すれば、W杯予選のピッチに初めて立つことになる。セットプレーでの正確なキックや鋭いドリブル突破から繰り出されるクロスボールは、フル代表に新しい攻撃のバリエーションを与える。中村俊や松井とは、また違う持ち味を出せるサイドMFだ。攻撃の武器が一つ増えることで中盤の厚みは増すだろう。

 左SBの安田は大胆な攻め上がりに期待したい。同ポジションのライバルである長友佑都(FC東京)がケガで代表から離れており、存在感を示したいところだろう。右サイドバックはこれまたイエローカードを受けている駒野友一(広島)に代わり、内田篤人(鹿島)の起用が有力だ。20歳コンビの若い両サイドバックが積極的にクロスを上げる展開になれば、中東の敵を圧倒することになるだろう。

 3次予選突破を決めたことで、22日の試合は最終予選に向けた新たな実験のチャンスが生まれた。最終予選では、出場停止やケガによる主力の欠場が大いに考えられる。選手層は厚ければ厚いほどよい。今回出番のまわってきた選手は、充実した内容をみせて岡田監督へアピールしてほしい。

 守備陣はアウェーのバーレーン戦で後半32分、一瞬のスキを突かれて失点した。今回は集中力を切らさず、90分間無失点で切り抜けてほしい。また攻撃面でも課題は少なくない。先日のタイ戦も3得点のうち、2点はコーナーキックからのものだった。セットプレーからではなく、流れの中での得点が求められる。相手ディフェンスを完全に崩してのゴールが見たい。

 アウェーで敗れた相手に“内容”と“結果”の伴った試合で勝ち点3を奪うこと。それがアジア最終予選、ひいては2010年へとつながるはずだ。