22日、サッカー日本代表は国際親善試合でカメルーン代表と戦い、2−0で勝利した。日本は前半25分、セットプレーからDF・田中マルクス闘莉王(浦和)のヘッドで先制。試合終了間際にはMF・山瀬功治(横浜FM)がミドルシュートを決めた。

◇8月22日、大分・九州石油ドーム
日本代表 2−0 カメルーン代表
【得点】
[日] 田中マルクス闘莉王(25分)、山瀬功治(89分)
 4位に終わったアジア杯後、初の試合を迎えた日本代表。FIFAランキング16位と格上のカメルーンに快勝し、再出発を白星で飾った。

 戦前の予想通り、日本は3トップの布陣を敷いた。センターフォワードに前田遼一(磐田)、右サイドに田中達也(浦和)、左サイドに大久保嘉人(神戸)が入った。またアジア杯は故障で出られなかった闘莉王と、中澤佑二(横浜FM)のセンターバックが復活して試合は始まった。

 まず、前線に勢いよく切り込んでいったのは大久保だった。左サイドからドリブルで突破。中へ入ることはできなかったが、1年10ヵ月ぶりのジャパンブルーのユニホームで存在をアピールする。
 負けじと右サイドから颯爽と飛び出したのが田中達だ。18日の甲府戦で2ゴールをあげた好調をそのままキープし、何度も高い位置にボールを運び、チャンスメイクした。
 ところが、いずれの攻撃も最後のシュートに持ち込むことができない。対するカメルーン代表も高い身体能力を生かして相手陣内に攻め込んだが、決定的なチャンスを得られないまま、時間が過ぎていった。

 試合が動いたのはセットプレー。前半25分、ペナルティエリアの左外で日本はフリーキックを得る。遠藤保仁(G大阪)のキックに前線に詰めていた闘莉王が頭で合わせた。「いいボールだったんで触るだけでした」。ジャンプした相手GKの指先をかすめ、ボールはゴールに突き刺さる。日本が幸先よく先制し、前半を1−0とリードして終了した。

 後半に入るとオシム監督は前線の選手を次々と変える。後半5分には大久保に代わり山瀬を、後半14分には高松大樹(大分)と佐藤寿人(広島)を投入した。
「前半のほうがはっきりと力は表れていた。後半になって選手が疲れたこと、選手交代によってバランスが崩れたこと、そしてカメルーンが前にプレッシャーをかけてきてミスが出たこと。これで相手のボールになってピンチを招いてしまった」
 イビチャ・オシム監督の総括のとおり、後半は徐々に流れがカメルーンに傾く。後半開始直後にはFCバルセロナに所属するエトーが遠い位置からシュートを放ち、GK・川口能活(磐田)の正面を突いた。一方、日本は中盤から攻撃をビルドアップすることができず、新しく入った3トップを生かせない。

 後半20分、途中出場のイドリスが左サイドから抜け出してシュート。これはゴール上にそれたものの、以降の時間帯はカメルーンが攻め続ける展開が続いた。
 しかし、闘莉王、中澤の長身DFコンビを中心に日本は守りきった。「人間とは思えない身体能力。抑えるのは大変だった」。闘莉王は相手の強さに舌を巻いたが、しっかり体を入れ、決定打を許さなかった。

 苦しい場面をしのいだ日本に、勝利の女神は再び微笑む。後半44分、MF・中村憲剛(川崎)のコーナーキックから、クリアボールを山瀬がペナルティエリアの外から豪快にミドルシュート。右足からの鋭いボールがゴール右隅に吸い込まれた。この得点は日本代表国際Aマッチ通算900ゴールとなるおまけつき。日本が2−0とアフリカの雄を打ち破った。

「観客の皆さんにとっても、選手にとってもいい経験になったと思う。強い相手に勝ってよかった。日本の実力をはかるにはいいゲームだった」
 オシム監督は結果を素直に評価した。アジア杯で失点を重ねたDF陣は、闘莉王の復帰で安定感を取り戻した。カメルーンの動きも本調子ではなかったとはいえ、絶体絶命のピンチを招かず試合を終えたことは好材料だろう。
 ただ、アジア杯のような流れるようなパス廻しは影を潜めた。2ゴールはいずれもセットプレーから。オシム監督が召集したフレッシュな攻撃陣が連動してスタンドを沸かせるシーンはあまりなかった。オシム監督が求めていた個人の突破も後半はみられなかった。

 攻撃力の向上――アジア杯でも浮き彫りになった長年の課題を抱え、オシムジャパンは9月上旬に欧州遠征を行い、オーストリア、スイス両代表と試合を行う。

<日本代表出場選手>
GK
川口能活

DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
加地亮
駒野友一
⇒今野泰幸(HT)

MF
阿部勇樹
遠藤保仁
⇒中村憲剛(63分)
鈴木啓太
⇒橋本英郎(74分) 
大久保嘉人
⇒山瀬功治(50分)

FW
田中達也
⇒高松大樹(59分)
前田遼一
⇒佐藤寿人(59分)