14日、日本サッカー協会(JFA)は8月22日のカメルーン戦に臨む日本代表メンバーを発表した。異例の12名のみの発表で、アジア杯を故障で欠場したDF闘莉王(浦和)が復帰を果たした。追加召集はJ1第21節(18、19日)終了後に行われる。
(写真:会見に臨んだオシム監督)
 記者に配られた名簿には、わずか12人の名前しかなかった。
 オシム監督は「これはサッカー協会が設定した記者会見です。しかし、メンバー選考の権利は私にあるので、こういうことになりました」と明かした上で続ける。
「今日、発表していないメンバーがいます。カメルーン戦の前に、Jリーグの試合が2節残っている。その結果を待ちたいと思っています。1節だけ見ても、その試合だけでアピールができたというのは十分ではない。ただし、3節というのも少し長すぎる。怪我をする危険が高まってしまう。だから、最低でも週末まで(2節の)様子を見ようと。その結果、はっきりしたビジョンが得られるでしょう」

 ギリギリまで枠を残しておくことで、Jリーグへの選手のモチベーションを引き出す。そして、その選手の実力を見極める。オシム監督が特に台頭を期待するのはFW。今回のメンバー発表では1人も選ばれていないポジションだ。アジアカップでは欧州組のFW高原(フランクフルト)が4ゴールを挙げて得点王に輝くなど気を吐いたが、国内組のFWは満足できるようなパフォーマンスを残すことはできなかった。

「攻撃的なポジションの選手については、恐らく、何人かは新しい名前が入るでしょう。しかし、最終的に誰になるかは、Jリーグの残り2節が終わってみないとわからない。ほぼ毎日行っているスタッフミーティングでも、かなりの数の候補が上がっている。『挙げろ』と言われれば、20人でも挙げられる。だが、20人全員を選ぶわけにはいかない。誰かに決めなければいけない」とオシム監督は選考に悩んでいる現状を告白。「残り2節だけで決めるわけではない」と話すが、揺れ動く指揮官が直近の2試合で心を動かされることもありうる。

 一方、FWとは対照的に守備的なポジションには、アジアカップの主力メンバーが名を連ねた。オシム監督は「4位に終わったアジア杯について失望している人もいるかもしれない。しかし、私個人としては、内容は順位よりよかったと思っている。だから、選手に対する信頼を失ってはいない。Jリーグで守備的なポジションでは、これらの選手がベストだと思う」と厚い信頼を口にした。中澤(横浜)、阿部(浦和)など核となる部分はできあがってきた。闘莉王も故障がなければ、アジア杯のメンバーに入っているはずだった選手だ。ただ、「DF、MFの選手たちもボーとしてはいられない」(オシム監督)とあるように、油断することはできない。

 今回対戦するカメルーンは、オシム体制になって対戦した国の中でFIFAランクが15位と最も高い。06年のスペインリーグ得点王(26ゴール)である世界的なストライカーFWエトー(バルセロナ)も来日予定。その強豪との一戦が国内組にとって生き残りをかけた舞台だ。

「カメルーン戦では最終的にフィールドプレーヤーが16人、GKが2人になる。(9月初旬の)オーストリア遠征には、もう少し多くの選手を連れて行こうと思う。今回選ぶ18人がオーストリアに連れて行ければいい。しかし、遠征には欧州組の選手を呼びます。今回、日本への長距離移動がないので、比較的疲れていない選手を欧州で見ることができる機会ですからね」

 オーストリア遠征では、今回外れた中村俊(セルティック)や高原だけでなく、しばらく代表から遠のいていたDF三都主(ザルツブルグ)らの招集もささやかれる。カメルーン戦では残り6つの枠を巡る争いが行われ、そして、その先の欧州遠征ではさらに絞り込まれる。国内組の本当の実力が問われようとしている。

<日本代表メンバー12人>

GK
川口能活(ジュビロ磐田)
楢崎正剛(名古屋グランパス)
DF
中澤佑二(横浜F・マリノス)
加地亮(ガンバ大阪)
田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)
駒野友一(サンフレッチェ広島)
MF
橋本英郎(ガンバ大阪)
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
鈴木啓太(浦和レッズ)
阿部勇樹(浦和レッズ)
今野泰幸(FC東京)