21日に行われる決勝戦は、南米代表のリガ・デ・キト(エクアドル)と欧州代表のマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)と試合になった。クラブワールドカップが現行のフォーマットになった2005年以来、4大会連続の南米・ヨーロッパ対決となる頂上決戦はどのような戦いになるのか。
 リガ・デ・キトは準決勝で北中米カリブ海代表のパチューカ(メキシコ)を2−0で下している。ボール支配率は34%と相手の数字を大きく下回ったが、これは試合前からのエドガルド・バウサ監督の狙い通りだった。しっかりとした守備から少ない手数で相手ゴールにカウンターをしかけ得点を奪っていくのがリガ・デ・キトの戦い方。これは決勝戦でも変わらないだろう。

 準決勝後「パスカットの狙い目は中盤の底の2選手だった」とバウサ監督は語っている。マンチェスター・ユナイテッドで中盤からパスを組み立てる選手といえばマイケル・キャリックだ。準決勝では出場機会がなかったが、これは決勝への温存と考える方が自然だろう。今大会で初めてピッチに登場するキャリックが執拗なプレッシャーを受けてパスミスをするような場面があれば、リガ・デ・キトにとって即チャンスにつながる。試合が落ち着く前にカウンターから得点を奪うような場面が見られれば面白い試合展開となる。

 一方のマンチェスター・ユナイテッドは準決勝ではアジア代表のガンバ大阪を5−3で下している。この試合で注目すべきは5得点ではなく3失点の方だろう。中盤の守備意識の低さが3失点を招いた。準決勝後、サーアレックス・ファーガソン監督は「守備面で修正しなければいけない点がある。後半は攻撃から守備への切り替えが遅かった」と語っている。攻撃的な選手を多く起用した準決勝とは違い、決勝ではダレン・フレッチャー、キャリックといった中盤で相手の攻撃の芽をつぶすことのできる選手を起用してくるだろう。彼らの守備が機能すれば、エクアドルからやってきた南米王者はマンUにとってさほど難しいにはならない。

 攻撃面では途中出場ながら準決勝で2得点を挙げたウェイン・ルーニーに注目したい。後半29分にピッチに登場し、16分間のみのプレーでも十分すぎるほど存在感を示していた。相手DFをかわす技術、ここ一番での決定率の高さはさすがといったところ。準決勝では短い出場時間だったが、決勝では先発出場が濃厚だ。次戦では90分間素晴らしいパフォーマンスを発揮してもらいたい。

 準決勝温存組では韓国の英雄、パク・チソンの活躍にも期待したい。残念ながら準決勝で京都サンガ時代でのチームメイト、遠藤保仁との直接対決は実現しなかったが、決勝のピッチではその姿を見せてもらいたい。優れたボディーバランス、豊富なスタミナを武器に、ルーニー、クリスティアーノ・ロナウドらとポジションチェンジを繰り返しながら相手ゴールへ迫っていく攻撃は迫力満点だ。パクにとって今回のクラブW杯はある意味、“凱旋試合”となる。日本のサポーターに成長した姿を存分に見せてほしい。

 マンUにとって死角があるとすれば、過密日程による疲労だろう。特にリガ・デ・キトよりも準決勝からの休養日が一日少ない。18日の試合では主力を何人かベンチスタートさせているが、それでも中2日の試合は厳しい。焦りと疲れが見えてくる試合終盤にリードを許しているようなことがあれば、マンUにとっては苦しい展開になるはずだ。延長戦に入る可能性もあるだけに、圧倒的な攻撃力を生かし早い時間に多くの得点を奪いたい。