28日、南アフリカW杯アジア最終予選第5戦が埼玉スタジアム2002で行われ、日本代表はバーレーン代表と対戦した。日本は玉田圭司(名古屋)、田中達也(浦和)、大久保嘉人(ヴォルフスブルグ)の3トップで試合に臨むも、決定機を作れず0−0で前半を折り返した。後半開始直後、玉田が倒されて得たフリーキックを中村俊輔(セルティック)が直接決め、日本が先制点を挙げる。その後はバーレーンゴールに迫るも追加点は奪えず、1−0で試合終了。流れの中での得点はないものの、最終予選で初めてホーム戦で勝ち点3を獲得した。

 勝ち点3得るも、セットプレーからの1点のみ(埼玉)
日本代表 1−0 バーレーン代表
【得点】
[日] 中村俊輔(47分)
 ここまでの最終予選でホーム戦での勝ち星がない岡田JAPAN。この試合では勝ち点3を獲得することが最低のノルマだった。「リスクを負ってでもゴールを奪いにいく」と語っていた岡田武史監督は、これまでとは違う3トップの布陣でバーレーン戦に臨んだ。

 前半から積極的な動きをみせた日本代表。特に前線の3人と中村俊が果敢にバーレーンゴールに迫った。決定機こそなかなか作り出せないものの、速いボール回しからバーレーン守備陣を崩していくシーンは数多く見受けられた。

 前半、もっとも得点に近づいたシーンは25分。右サイドからのコーナーキック。遠藤保仁(ガンバ大阪)からファーサイドの中澤佑二(横浜F・マリノス)の頭にピタリとあった。シュートはゴールマウス前に立つバーレーンDFにクリアされ、惜しくも得点にはならなかった。

 いくつかのシュートチャンスを作るも最後の詰めは甘く、0−0で前半を終了。日本は前半だけで8本のシュートを放ちながらも、ゴールネットを揺らすことができない。これまでのホーム戦2試合と同様になかなか点が決まらず、スタジアムには嫌なムードが漂いはじめた。

 その雰囲気を一気に吹き飛ばしたのは、後半開始早々。左サイドから玉田がドリブルを仕掛け、ゴール正面へ。たまらずバーレーンDFが倒し、フリーキックのチャンスを得る。ゴールまで約30メートル、キッカーは中村俊。左足から放たれたシュートは壁のDFに当たりながらも、バーレーンゴールの左上隅へ向かう。GKサイド・モハメド・ジャファルが必死のセービングを見せるも及ばず、ボールはゴールネットを揺らした。中村俊の最終予選2点目が、待望の先制点になった。

 立ち上がりに得点を決めたことでホームの重圧から解き放たれた日本は、前半よりも快調な動きを見せる。13分に中央でキープした中村俊から右サイドに開いた田中達へスルーパス。右足を勢いよく振りぬくが、ここはGKが好セーブをみせ、得点ならず。

 さらに19分にはコーナーキックからのカウンターで玉田がドリブルでゴール前に上がり、DFを引きつけながら、右サイドを駆け上がってきた内田篤人(鹿島)へ絶妙なタイミングでパスを出す。十分にGKの動きを見ながら内田がシュートを放つが、惜しくもゴールバーに弾かれる。

 幾度か決定的なチャンスを迎えながらも、追加点を奪うことはできずに試合は終了。最終予選では初のホーム戦での白星を挙げた日本だが、流れの中での得点はなく、攻撃面での課題を残す試合となった。

 試合後の会見で岡田監督は「最終予選で勝ち点3を取ることは、どんな相手であっても難しい。厳しい戦いだったが、選手は負けたくないという気持ちが強く、よくやってくれた。今日の勝ち点3は大きい。しかし、我々はまだ何も手に入れていないので、ウズベキスタン戦に向けてベストを尽くしていく」と力強く語った。

 この勝利で日本は勝ち点11とし、暫定ながらA組首位に立った。これで南アフリカW杯本大会出場には大きく前進した。「早く予選突破を決めて準備をしたい」と試合後に語ったのは中村俊。ここ1番で勝負強く決勝点を挙げた10番は、早くも南アフリカでの戦いに向け、照準を合わせ始めたようだ。

 次戦は6月6日のウズベキスタン戦(アウェー)。間を置かずに6月10日にカタール戦(横浜)、17日オーストラリア戦(アウェー)と行われ、この3連戦で最終予選は大詰めを迎える。余裕を持って出場権を獲得するためにも、敵地でのウズベキスタン戦でも勝ち点3を奪っていきたい。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
内田篤人
長友佑都
MF
遠藤保仁
長谷部誠
→橋本英郎(75分)
中村俊輔
FW
大久保嘉人
田中達也
→岡崎慎司(85分)
玉田圭司
→松井大輔(78分)