2日〜10日にファイナル4進出をかけて開催されるカンファレンス セミファイナル。9、10日にはイースタン・カンファレンス2位、2季連続でのファイナル進出を目指す東京アパッチと、昨季のカンファレンスファイナルで東京に敗れ、その雪辱を果たしたい3位の仙台89ERSが対戦する。果たして、どんな戦いが繰り広げられるのか。2チームのヘッドコーチ(HC)に意気込みを訊いた。

「接戦にこそいきるフリースロー」(東京アパッチ/ジョー・ブライアントHC)
 今季は41勝11敗でウエスタン・カンファレンスの首位に立つことができました。この躍進の要因には個人個人の能力の高さはもちろんですが、それ以上にチームワークが挙げられます。

 今季は開幕からチームがいい状態にあり、オールスターまでの前半は本当にうまくいっていました。しかし、その後は故障者が多く出てしまい、苦しい時期が続きました。それでもポジティブに考えれば、控えの選手に出場機会が多く与えられたことは、チームにとってプラスになったと思います。

 昨季はそれまでいなかったプロのリバウンダーであるCニック・デービスの加入がチームを変えてくれました。彼は経験が豊富ですから、自分が少し調子を落としてもリバウンドはきちんと取ってくれるんです。これはチームにとって非常に大きい。もちろん、今季もニックの活躍は欠かせませんでした。

 さて、セミファイナルでは仙台89ERSと対戦します。仙台はコーチングがいきわたっていて、とてもいいチームです。特にオフェンスは無理やりにシュートを打つ選手は一人もおらず、いいシュートを打てるポイントを選択してきます。レギュラーシーズンでは6勝2敗と勝ち越すことができましたが、1試合たりとも楽に勝った試合はありません。ですから、セミファイナルでも「絶対に自分たちが勝つんだ」という強い気持ちで臨まなければ、勝てないチームであることは間違いありません。

 前述したように仙台のシュートはほとんど失敗がありませんので、ディフェンスではまず相手にシュートチャンスを与えないように、しっかりと止めること。そして仙台はディフェンスもいいチームですので、オフェンスでは我慢しながら責め続けることがポイントとなってきます。加えて東京のベンチメンバーが仙台のベンチの選手よりも上回る得点を積み重ねること。これらができれば、自ずと勝機は見えてくるでしょう。

 昨年同様、キーマンの一人として挙げられるのがG青木康平です。彼は非常にタフネスで、何があっても崩れないという自信をもってプレーしています。それがあるからこそ、体のサイズでは他の選手に勝てなくても、彼がコートに入ることでチームの流れがガラリと変わる強さを持っているのです。

 また、フリースローにおいて康平はリーグで最も高い成功率を誇ります。フリースローは一見、地味なように思えますが、勝敗のカギを握る重要なものです。例えば試合終盤、5点差にまで詰め寄られたとします。そこでフリースローが与えられたにもかかわらず、2本ともミスしてしまえば、次に相手にシュートを入れられれば、3点差になってしまう。もう3ポイント1本で同点ですから、焦りが生じてきます。

 しかし、きちんとフリースローを2本決めれば、相手にシュートを入れられてもまだ5点差あるわけで、精神的にゆとりをもってプレーすることができます。仙台とは接戦が多く、セミファイナルでも僅差を争う激しいゲームとなることでしょう。そうなった場合こそ、フリースローがいきてきます。ですから、康平のように必ず決めてくれる選手がいるというのは、チームにとって本当に心強いのです。

 セミファイナルでは勝敗のみならず、会場に足を運んでくれた東京、仙台、両ブースターに満足してもらえるようなエンターテインメント性の高い試合をしたいと思います。


「ゴール下の攻防に注目!」(仙台89ERS/浜口炎HC)
今季は10人でスタートしたわけですが、開幕早々に故障者が出てしまい、苦しい状態が続きました。練習で紅白戦などの実戦練習をすることもままならず、試合では勝率5割をいったりきたり。結局、12勝14敗と借金2で前半戦を終えることになりました。

 後半戦に向けての補強ポイントとして一番にあげられていたのが4番ポジション(PF)の選手でした。そこで1月末に富山グラウジーズからPFロドニー・ウェブが新加入。これでようやく戦力が揃い、チームが上昇気流に乗り始めました。さらに、3月にはFジョシュ・ペッパーズが加入しました。彼の得点能力はライジング福岡、浜松・東三河フェニックスでお墨付きです。しかし、仙台のバスケットはこれまで彼がやってきたセットオフェンスではなく、モーションオフェンスを採用しているため、最初は少しとまどいが見られました。

 モーションオフェンスでは相手のディフェンスの動きを見て臨機応変に攻撃をします。1対1で勝負するのではなく、より精度の高いシュートができるよう、ノーマークの選手にパスを出すことが徹底されているのです。加入したばかりの頃は、モーションオフェンスに慣れるのにパスワークに専念せざるを得なかったジョシュでしたが、試合を重ねることでジョシュと他の選手が互いによさを理解してきたのでしょう。今では自分の強みをいかしながらチームの牽引役を果たしてくれています。

 さて、セミファイナルで対戦する東京アパッチですが、今季も個々の能力が高く、1対1に強いタレント揃いのチームに仕上がっています。1試合20点以上取れる選手が何人もいる強豪です。メンバーも主力はほとんど変わっておらず、チームとしての精度も高いものがあります。これまでは個々の力で勝ってきたという印象がありますが、今年はチーム力が感じられます。例えば自らどんどんシュートをねらいに行く“ヘリコプター”ことGジョン・ハンフリーもアシストするようになるなど、チームとしての機能がアップしているのです。

 その東京戦でのポイントはどちらがゴール下を支配できるかにあります。特にディフェンスリバウンドは重要で、センターポジションにおけるインサイドの攻防には絶対に勝たなければいけません。東京のニック・デービス、ジュリアス・アシュビーのセンター2人に対してCクリス・ホルムが機能してくれれば、勝機は見えてくるはずです。また、東京はスチールを得意としていますから、これにも要注意です。ファーストブレイクでのイージーなレイアップシュートは相手を乗せてしまいますし、やられる方はダメージが大きいもの。特にヘリコプターにやられると、東京はどんどん乗ってしまいますので、気をつけたいですね。

 昨季は東京にカンファレンスファイナルで破れ、最後のファイナルに進出することはできませんでしたが、今回はぜひその雪辱を果たしたいと思います。ルーズボール一つも無駄にせず、ダイブして「絶対マイボールにする!」くらいの気迫で臨む覚悟で戦いたいと思います!


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