2日〜10日にファイナル4進出をかけて開催されるカンファレンス セミファイナル。9、10日には新規参入ながら見事イースタン・カンファレンス首位通過を果たした浜松・東三河フェニックスと、3シーズンぶりのリーグファイナル出場を目指す4位のアルビレックスBBが対戦する。果たして、どんな戦いが繰り広げられるのか。2チームのヘッドコーチ(HC)に意気込みを訊いた。

「絶対的なマイケルの存在」(浜松・東三河フェニックス/中村和雄HC)
 今季は34勝16敗、イースタンカンファレンス首位でセミファイナルへと進出を果たしました。勝負ごとに1年目も2年目も関係ありませんから、設立1年目から首位に立ったことについては特に何も感じていません。とはいえ、最初はリーグ特有のルールや雰囲気にとまどいを覚えたのも事実です。しかし、慣れるに従って私も選手も、そして地元のブースターも楽しむことができました。また、開幕当初は身長236センチと驚異的な高さのある孫明明がマスコミに注目されましたが、これもプラスへと働き、チームを勢いづけてくれました。

 さて、セミファイナルでは新潟アルビレックスBBとの対戦です。新潟は終盤に向けてどんどん力をつけてきたチームです。オフェンスにもディフェンスにも速さがありますから、浜松がそれにどれだけ対応できるかが重要ですね。キーマンは何といってもGマイケル・ガーデナーですが、彼は諸刃の剣でもあります。うまく乗ってくれれば素晴しいプレーを見せてくれるのですが、その半面、乗らないときはお手上げ状態。しかも、どうすれば気持ちが乗るのか、どんな言葉をかければ意欲を出してくれるのか、HCの私にも未だにわからないのです。彼と話をしていると、まるで宇宙人と話しているかのような錯覚に陥ることがあります。扱いは非常に大変ですが、私からも見ても本当に面白い選手です(笑)。

 先日、こんなことがありました。ミーティングの際、セミファイナルに対して「オレは正直、不安だよ」と言ったところ、マイケルはニヤリと不敵な笑みを浮かべたんです。まるで「HC、何をご心配されているんですか?」とでも言いたいような顔をして……(笑)。まぁ、彼が本領を発揮さえしてくれればば、怖いものなしですから、とにもかくにも彼がいい気分で試合に臨んでくれることを願うばかりです。とはいっても、新潟もマイケルを自由にプレーさせはしないでしょう。2人、3人とつぶしにくるはずです。その時にマイケルが自分でディフェンスを跳ね返して強攻に出るのか、それとも自分をうまくおとりにして味方を使うのか。彼は本能のままにプレーしますから、どうするかは本番までわかりませんが、どちらにしても、マイケルが起点となることは間違いありません。

 チームはプレイオフ進出決定以降、ゾーンディフェンスなど、練習、実戦問わず、さまざまなことを試してきました。実際、セミファイナルではどう戦うか、これについては本番を楽しみにしていてもらえたらと思います。勝敗もさることながら、新潟とはぜひブースターの皆さんに「もう一度みたい!」と思わせるようなエキサイティングなゲームをしたいですね。NBAにも負けないほどのスピードと迫力、そしてダンクシュートなどプロならではの華麗なプレー、スタンドにまで汗が飛び散るくらいの激しさを満喫してほしいと思います!


「“走るバスケ”で浜松を倒す!」(新潟アルビレックスBB/廣瀬昌也HC)
 今季は24勝28敗、リーグ4位という成績でレギュラーシーズンを終えました。負け越してしまったことは残念ですが、一番重要なことはプレイオフ進出の切符をつかみ、チャンピオンになる権利を得ること。それを達成させることができた今は、とにかくプレイオフへの意気込みでいっぱいです。

 第一関門であるセミファイナルでは、地区首位の浜松・東三河フェニックスと対戦します。浜松はGマイケル・ガーデナーやGFマーカス・モリソンといった得点力のある選手に、シーズン途中からはFケビン・ミッケンズやFCスタンリー・オシティといったリバウンドに強い選手が加わりました。そのため攻めのディフェンスが可能となり、ますます攻撃力がアップしたという印象があります。

 その浜松と対戦するにあたってポイントとなるのは、やはり新潟らしい“走るバスケット”ができるかどうかです。正直、浜松の最大の得点源であるガーデナーにはどのくらい得点を奪われるかわかりません。20〜30点取られるのは覚悟しています。しかし、どれだけ取られても、こちらがそれ以上に取り返せばいいわけです。自分たちがしっかりと40分間走りまわり、速い展開にもっていくことができれば、必ず勝機はあると思っています。

 一方、ディフェンスのポイントも足を使うことにあります。1対1ではかなわない相手でも、周りの選手がヘルプすることでイージーなシュートチャンスは与えないようにする。つまり、1つのボールを1人に任せるのではなく、5人で守る。こうしたチーム意識をもって失点を防くことが重要でしょう。これが序盤ではなかなかできなかったのですが、今ではどの選手もボールを持っている相手選手にどんどん当たりにいく姿勢を見せてくれていますので、プレイオフでも期待できると思います。

 その「チーム全員で」と言う姿勢は何もディフェンスに限ったことではありません。今季の新潟は突出したエース格の選手はおらず、全ての面において「チーム全員で」というスタンスで戦ってきました。例えばオフェンスにおいて言えば、特別ハイスコアを挙げる選手はいない代わりに、2ケタ得点をマークする選手が何人もいます。ですからこれといった得点ポイントを決めつけることなく、チームとしてシュートセレクションしながら高い確率を狙っていく。これが新潟のオフェンスの強さですから、プレイオフでも確実に点を取りにいきたいと思っています。

 さて、ブースターの皆さんには嬉しいお知らせがあります。2カ月以上実戦が離れているPF/Cドクン・アキングベードの復帰です。207センチと長身の彼はリバウンドはもちろん、インサイドワークを武器とする選手です。彼が戻ってくれば、新潟にとっては攻守の両面でチーム力がグンと上がりますので、指揮官の私にとっても本当に嬉しいですね。とはいえ、彼にだけ頼ってしまえば、これまで大事にしてきた新潟のバスケットがたちまち崩壊してしまいます。前述したように誰か1人に委ねるのではなく、全員の力をうまく融合し、強い新潟をお見せしたいと思います。


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