23日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦が行われ、Jクラブ対決となった川崎フロンターレと名古屋グランパスの一戦はホームの川崎が2−1で先勝した。第2戦は30日に瑞穂陸上競技場で行なわれる。

 後半2得点で快勝(国立)
川崎フロンターレ 2−1 名古屋グランパス
【得点】
[川崎F]中村憲剛(60分)、ジュニーニョ(63分)
[名古屋]ケネディ(28分)
 一昨年は浦和レッズ、昨年はガンバ大阪が制したACLだが、今年の大会でベスト8に残った日本勢はわずかに2クラブ。しかも、川崎フロンターレと名古屋グランパスが準々決勝でいきなり潰しあいをする組み合わせとなった。第1戦をホームで迎えたのは川崎。ホームグラウンドの等々力競技場ではなく国立競技場での試合だったが、クラブ初のビッグタイトルを狙うためには必ず勝利したい一戦だった。

 試合立ち上がりから川崎がペースを握る。相手の中盤に対し中村憲らの積極的な守備からボールを奪い、ショートカウンターで名古屋ゴールを何度も襲った。しかし、なかなかゴールを奪うことができない。試合後「前半は動きが硬かった」と関塚隆監督が振り返ったように、いい形は作るもののゴールを奪うまでには至らなかった。

 対する名古屋は、前線のケネディを起点にゴール前へ高いボールをあわせた。先制点が生まれたのもそんなシーンだった。前半28分、右サイドを突破した田中隼磨からクロスが上がりゴール前に待ち構えていたのはケネディだ。高い打点から繰り出されたヘディングはゴール左隅に吸い込まれ、1−0と名古屋がリードを奪った。

 川崎も前半終了間際に立て続けに決定機を作るものの、名古屋DF陣の必死の守りに阻まれ得点を挙げることはできず、1点ビハインドのまま後半へ突入した。

 後半に入っても、主導権を握ったのは川崎。中村憲からの大きな展開に鄭大世、ジュニーニョ、レナチーニョの3トップや中盤の谷口博之がゴール前で絡み、ビッグチャンスを何度も演出する。

 川崎が同点としたのは後半15分。左サイドでレナチーニョが倒され得たフリーキックのチャンス。キッカーはもちろん中村憲だ。名古屋は2枚の壁を作ったが、彼は壁の間に速いボールを蹴りこんだ。シュートは壁の間をすり抜け、ゴール左隅に一直線。GK広野耕一が反応するも及ばず、ボールはネットを揺らした。

 さらにその3分後、右サイドを深くえぐった中村憲が左足の強烈なシュートを放つ。GKが懸命のセーブで弾き返すものの、右サイドでボールを拾った森勇介から再びクロスが入る。ゴール前で待ち構えていた谷口が強烈なヘディングシュート。これも広野が一旦はセーブするが、こぼれ球にジュニーニョがしっかりとつめて逆転弾を叩き込んだ。わずか3分間の逆転劇で、川崎が一気に試合をひっくり返した。

 その後は名古屋も必死に反撃するも、GK川島永嗣を中心とした守備陣を再び崩すことはできず、第1戦は2−1で川崎がものにした。

「後半になってからも、憲剛がFKを決めるまでは硬かったが、その後は自分たちの形が作れるようになった」と関塚監督は試合後に語った。前半から何度もあったチャンスをいかしきれず、悪いムードが漂いかけた時間帯に中村憲がゴールを決めたことが大きかった。結果的にはホームで1点差の勝利をものにし、2戦目に弾みをつける格好となった。

「初戦に勝ったからといって、次の試合で敢えてディフェンシブになる必要はない」と口にした中村憲。対する名古屋のドラガン・ストイコビッチ監督も「まだ90分間ある。次につながるゲームができた」と第1戦を振り返った。

 本当の勝負は1週間後、名古屋での試合となる。ホームチームが2−1で勝利という結果は、両クラブにとっても悪い結果ではない。あくまで180分間の半分が終わったにすぎない。名古屋での90分間も両クラブの意地がぶつかり合うスリリングな戦いが期待できそうだ。