7日、キリンチャレンジカップ2010が大阪・長居スタジアムで行なわれ、日本代表はセルビア代表と対戦した。日本は前半15分にDFラインの裏をとられて先制を許すと、続く23分にはこぼれ球を押し込まれて早々と2点を失う。後半に入っても15分に直接FKでダメを押され、攻撃でも見せ場をつくれないまま、0−3で敗れた。岡田ジャパンにとって、この試合はW杯代表メンバー決定前の最終テストを兼ねていたが、個々人のアピールどころか、不安だけが残る結果となった。

 若手主体の“2軍”相手に惨敗(長居)
日本代表 0−3 セルビア代表
【得点】
[セ]ドラガン・ムルジャ(15分、23分)、ネマーニャ・トミッチ(60分)
「W杯でベスト4」という指揮官の壮大な目標を達成するため、たとえわずかでも希望を見いだしたかった一戦だったが、岡田ジャパンにつきつけられたのは絶望と言っても過言ではない厳しい現実だった。

 日本は立ち上がりからボールを圧倒的に支配するが、決定機には至らない。すると前半15分、栗原勇蔵(横浜FM)の裏を取ったドラガン・ムルジャが縦パスで抜け出してゴールを決め、セルビアが先制する。

 その後、日本はコーナーキックからシュートチャンスをつくるなど、何度となくセルビアのゴールを脅かしたが、いずれも得点には至らず。迎えた前半23分、逆にセルビアに攻め込まれる。右サイドからパブレ・ニンコフの上げたクロスを一度は楢崎正剛(名古屋)が防ぐも、最後はムルジャが押し込んで追加点を上げる。完全にフリーの状態でクロスを上げさせており、大きな課題を残した失点となった。

 2点のビハインドを背負った日本だが、その後も得点する気配さえも感じられず、リスクを冒してでも攻めに転じようという姿勢は全く見られないまま前半を終えた。

 後半、日本は石川直宏(F東京)と玉田圭司(名古屋)を投入。石川はドリブル突破からのクロスや、DFラインの裏に走りこんでパスを引き出すなど奮闘した。しかし、2度の1対1のチャンスをいかすことができず、決定力不足を露呈した。

 その後も反撃の糸口がつかめぬまま迎えた後半15分、トミッチがFKからダメ押しとなる追加点を上げ、セルビアがほぼ試合を決定付ける。3点を追う状況になったにも関わらず、日本は相手ゴールから程遠いハーフウェイライン付近でのボール回しに終始し、攻めの姿勢が感じられなかった。

 終盤には山瀬功治(横浜FM)、矢野貴章(新潟)を投入し、状況の打開を図るが得点には至らず。3点はおろか1点を返すこともできず、主力抜きのセルビア相手に0−3という屈辱的な惨敗を喫した。

 期待された新戦力たちは、石川を除いてことごとく不発だった。栗原はコーナーキックから強烈なヘディングシュートで見せ場を作ったが、守備での不安定さを露呈した。山瀬はほとんどボールに触れず、矢野もコーナーキックからヘディングシュートを放ったがそれ以外では目立つシーンはつくれなかった。注目されていた大学生ストライカー永井謙佑(福岡大)に至っては最後まで岡田監督に呼ばれることはなく、ベンチで試合終了を迎えた。

 この試合で目に付いたのは日本選手の球際での弱さだった。相手のチェックを受けると簡単にボールを離してしまい、そのままカウンターに持ち込まれる。混戦状態になった時に相手にボールを拾われるシーンも多かった。フィジカルの問題以前に、日本の選手にはゴールへの執念やこの試合に対する情熱を感じることが出来なかった。
 試合終了のホイッスルと共に鳴り響いたブーイングは、日本代表に対する叱咤ではなく、諦めのようにさえ映った。果たして岡田ジャパンはどう立て直しを図るのか。W杯ベスト4を目指すチームにしては、あまりにも寂しい結果となった。

(杉原晋作)

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
栗原勇蔵
→石川直宏(46分)
徳永悠平
長友佑都
MF
中村俊輔
→山瀬功治(70分)
稲本潤一
遠藤保仁
→槙野智章(82分)
阿部勇樹
FW
岡崎慎司
興梠慎三
→玉田圭司(46分)
→矢野貴章(83分)