国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長が23日、来日し、今回の東日本大震災を受けたFIFAの支援策について日本サッカー協会の小倉純二会長らと話し合いの場を設けた。同日午前には高木義明大臣 夕方には菅直人首相を相次いで訪問。被災者へのお見舞いを表明するとともに、FIFAとしての復興支援を約束した。高木大臣からは12月に日本で開催が予定されているクラブW杯について「安心して行ってほしい」とのレターを受け取り、ブラッター会長は「日本で実施できる自信を持っている」と開催地を変更する考えがないことを表明した。
(写真:「やっと来日が実現して良かった」とブラッター会長(中央)は小倉会長(右)らと記念撮影)
「世界のサッカーファミリーを代表してサッカー界の団結を強調するためにやってきた」
 今回の来日の目的をブラッター会長はこう語った。会見の中ではFIFAの復興支援策として、特別基金を設ける考えを明らかにした。財政委員会と検討し、支援規模は100万〜300万ドル(約8200万円〜2億4600万円)になる見通しだ。

 また福島県にあるトレーニングセンター「Jヴィレッジ」が福島第一原発の事故で使用不能になっていることから、日本協会は、その再建と代替施設整備への支援を要請。ブラッター会長はJヴィレッジにあるJFAメディカルセンターがFIFAの「ゴール・プロジェクト」(各協会の施設面の整備に対する助成制度)でつくられていることから、財政援助の検討を約束した。

 ブラッター会長は津波により、被災地で多くのサッカー用具が流されたことに心を痛めており、FIFAのオフィシャルパートナーであるアディダス社の協力で、子どもたちにボールなどを提供する。クラブW杯の開催については、バレーボールや体操などの国際大会が予定通り日本で実施される点を挙げ、「スポーツ、サッカーが何らかの形で復興に貢献できる」と支障がないことを強調した。
(写真:欧州での内田や長友の活躍にも触れ、「日本のサッカーはこれからが始まり」と語った)

 FIFAでは現在、W杯招致をめぐる新たな不正疑惑が持ち上がっている。ブラッター会長は「FIFAに非はない」と発言。イングランド協会の前会長がFIFA理事から投票の見返りを求められたと証言をしている点についても、「何の証拠もない」と強気の構えをみせた。一方で、6月のFIFA総会ではピッチ内外でいかなる不正も認めない「ゼロ・トライアンス」が議題に上がっていることを示し、サッカー界以外のメンバーによる有識者委員会を設置する考えも示した。

 ブラッター会長は6月の総会で行われる会長選に4選を目指して立候補中。アジアサッカー連盟のモハメド・ビン・ハマム会長との一騎打ちになっているものの、再選は確実な情勢だ。会見では「(再選への)キャンペーンを行っているわけではない」としながらも、「継続性が重要。しっかりとした基盤の下に仕事をしていくべき」と自身が適任であることを強調していた。