日本サッカー協会(JFA)は27日、6月に行われるキリンカップ2011に出場する23名の日本代表を発表した。長友佑都(インテル)、内田篤人(シャルケ04)、本田圭佑(CSKAモスクワ)ら海外組は11名を招集。故障明けの香川真司(ドルトムント)はコンディションを考慮してメンバーから外れた。また19歳の宇佐美貴史(G大阪)、柴崎晃誠(川崎)、西大伍(鹿島)の3名が初選出された。日本代表は1日にペルー代表と新潟・東北電力ビックスワンスタジアムで、7日はチェコ代表と横浜・日産スタジアムで対戦する。
 東日本大震災により、3月の代表戦2試合が中止となり、7月のコパ・アメリカ(南米選手権)も出場辞退が決定した。9月の2014年W杯アジア3次予選までザックジャパンに与えられるのは3試合しかない。代表強化のスケジュールは大きく狂った。
「このうちの2試合。大切に戦わないといけない」
 アルベルト・ザッケローニ監督は、会見でそう語気を強めた。

「1秒たりともムダにはできない」と語った指揮官が選択したのは、1月にアジア杯を制したチームの底上げと、オプションとなるメンバーの見極めだ。「ベースの部分は変えない」とアジア杯制覇に貢献した選手がほぼ順当に選ばれ、DFでは安田理大(フィテッセ)、FWでは興梠慎三(鹿島)らがザック体制では初めて代表に呼ばれた。

 初招集は3名だが、注目の宇佐美をメンバーに加えた意図は将来を見据えたもの。昨季のJリーグでベストヤングプレーヤーに輝いた逸材も、今季は開幕からなかなかゴールが生まれなかった。6月にロンドン五輪アジア2次予選を控えるU-22代表ではなく、あえてA代表で選んだのは更なる成長を促すためだ。
「今のパフォーマンスでは代表チームに値しない」
 抜擢にもかかわらず、ザッケローニ監督は厳しい評価を下した。「早く完成形に近い選手になるよう努力してほしいと伝えるつもり」と代表では直接指導する考えだ。

「吉田(麻也)はアジア杯の前はレギュラーではなかったが、ほとんどの試合をスタメンで起用した。そんな例が出てくるといい」
 指揮官は新戦力の台頭に期待している。3月の代表戦の代わりに実施されたJリーグ選抜とのチャリティーマッチでは縦につなぐ速いサッカーで新しい戦術も試した。

「大切なのは過去よりも未来」
 強化の機会が少なくなったことを今更悔いても仕方ない。今回のペルー戦、チェコ戦を有効活用し、練習も含め、未来を見据える9日間にするつもりだ。

<日本代表メンバー25名>

GK
川島永嗣(リールセ)
東口順昭(アルビレックス新潟)
西川周作(サンフレッチェ広島)

DF
今野泰幸(FC東京)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(鹿島アントラーズ)
長友佑都(インテル・ミラノ)
槙野智章(ケルン)
安田理大(フィテッセ)
内田篤人(シャルケ04)
吉田麻也(VVVフェンロ)

MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
柴崎晃誠(川崎フロンターレ)
森脇良太(サンフレッチェ広島)
細貝萌(アウクスブルク)
家長昭博(マジョルカ)
西大伍(鹿島アントラーズ)

FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
李忠成(サンフレッチェ広島)
関口訓充(ベガルタ仙台)
岡崎慎司(シュツットガルト)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
興梠慎三(鹿島アントラーズ)
宇佐美貴史(ガンバ大阪)