当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が6月26日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各競技から一流たちをお招きし、トップを極めた技術と、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回は世界陸上男子400mハードルで2つの銅メダルを獲得している為末大選手をお招きします。
(写真:“為末先生”がレースでの戦略をボードを使って講義!)
 当サイトでは番組に先駆けて、為末選手とのインタビューの一部を紹介します。

二宮: 為末さんもあちこちケガをされましたけど、一番深刻なのは?
為末: やっぱり左ひざですね。完全には治ってないんで、未だに疲れると痛みが出てくるんです。あとは腰もやられましたし、股関節も……。何で言えばいいんでしょう? 痛みの総合商社みたいな感じです(笑)。

二宮: やはり左半身に負担がかかっているんでしょうか。
為末: ハードルを跳ぶ時には左足を出すことが多くて、その足を出して着く時に、体をねじこむ感じの動きをするんです。それを何度も何度も繰り返していくうちにねじれが出てくる。職業柄、仕方がないと言うのもあれですが、北京オリンピックの年に無理してやったところがあったので、その後の2年間は苦しみながら過ごす形になりましたね。

二宮: メスを入れても回復に時間がかかるでしょうから、ある意味、騙し騙し、うまく付き合いながら競技生活を全うすることになるんでしょうか?
為末: そうですね。今からのタイミングでは、手術うんぬんというのは難しいと思うんです。このケガで2年間にレース出れなかった間は、痛みとどういう風に付き合っていくかを学ぶ期間だった感じです。ようやく最近、少しわかってきて良かったと思っています。

二宮: 野球選手はヒジが痛いと歯も磨けないといったことがあります。ケガの痛みは本人しか分からないとは思いますが、言葉にすると、どのように表現できますか?
為末: たとえば真っすぐ階段を下りて、トンと足をつくとヒザが痛いんですね。だから駅とかの階段では(つま先を)斜めに向けて降りています。それに気圧にはすごく敏感で、飛行機である高度まで行くと、ヒザがズキズキし始めるんですよね。雨が降りそうになって気圧が変わっても、内側からうずいてくる。こういう経験は初めてだったので、最初は大変でしたね。

二宮: これは長い陸上人生での勤続疲労、蓄積疲労なんでしょうね。ただ、痛みと付き合うと言っても、練習に影響が出るでしょう? 朝起きて練習しようと思ったら、膝がうずく……こういう状況では心が晴れないのでは?
為末: ええ。痛みがずっと1週間、2週間と続くと気が滅入ってきたりしますね。思いっきり走れることが、ある意味、幸せだったと気づきましたよ。昔は、毎日走ってばかりでシンドイと思うこともありましたが、それはありがたいことだったんだなと。今は思いっきり走れるのが週に1回とか、月に何回とか、そんなものなんです。
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 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。今後も一流のアスリートたちが続々と登場予定です。どうぞお楽しみに!

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