サッカーの女子W杯は13日(日本時間14日)、ドイツ・フランクフルトで準決勝が行われ、日本代表はスウェーデン代表と対戦した。日本は立ち上がりに失点したものの、19分に川澄奈穂美(INAC神戸)が同点ゴールを決め、追いつく。そして後半15分、澤穂希(INAC神戸)がこぼれ球を押し込み、勝ち越し。さらに川澄がこの日、2得点目となるダメ押し点をあげ、初の決勝進出を決めた。
 
 世界大会初のメダルも確定(フランクフルト)
日本代表 3−1 スウェーデン代表
【得点】
[日] 川澄奈穂美(19分、64分)、澤穂希(60分)
[ス] オクビスト(10分)
 緑のピッチになでしこたちが鮮やかに咲いた。ミスで1点を奪われる重苦しい展開を挽回してのファイナリスト入り。北京五輪では突破できなかったベスト4の壁を圧倒的な強さで乗り越えた。

 立ち上がりから日本は高い位置でプレスをかけ、いつも通りの組織的なサッカーを展開する。ところが10分、自陣で澤の横パスが相手FWのオクビストに奪われ、そのままGKと1対1に。左足で豪快に叩き込まれ、スウェーデンに先制を許す。

 嫌な流れを断ち切ったのは、今大会初先発の川澄だ。縦への突破を期待されてスタメン起用された25歳は前半19分、その期待に応える。左サイドの宮間あや(岡山湯郷)がファーに入れたクロスに飛び込み、体でゴールに押し込む。宮間の正確なキック力、川澄のスピード、その両方がうまくかみ合った同点ゴールだった。

 これで息を吹き返した日本は優勢に試合を進める。154センチの大野忍(INAC神戸)が頭ひとつ抜け出た北欧の長身選手たちをものともせず、ドリブルを仕掛けて翻弄する。前半27分には、その大野の突破から、折り返しを受けた川澄がミドルシュート。これは相手GKの正面を突いたものの、相手陣内でプレーする時間帯が多くなった。

 スウェーデンは時折、ロングフィードで179センチのエースストライカー、シェリンにボールを集めようとするが、日本のDF陣がしっかりと対応。なでしこジャパンがペースをつかみ、試合を折り返した。

 ドイツ戦での120分間の激闘もあり、疲れが心配された後半。だが、それは全くの杞憂だった。まず立ち上がり、スウェーデンが前がかりになったところを大野が右サイドからミドルシュート。惜しくもバーに当たったが、相手に主導権を渡さない。なでしこたちは前線での突破はもちろん、サイドバックが攻撃参加し、スウェーデンゴールに迫る。

 そんな分厚い攻撃が勝ち越し点を生んだのは後半15分だ。まず大野が右サイド深くへボールを持ち込み、チャンスを演出。クロスが入ってこぼれたところを2列目中央から宮間がミドルシュート。さらにセカンドボールを鮫島彩(ボストン)が拾い、ゴール前へボールを供給する。混戦の中、詰めていたのはボランチの澤だった。相手GKがはじいたボールをしっかりと頭で押し込み、ゴール左隅へ。釜本邦茂を抜き、Aマッチ通算最多の78得点を決めているゴールハンターは今大会4得点目。得点ランキングトップに並び、得点女王も見えてきた。

 さらに4分後、日本の縦パスに対応しきれない守備陣にしびれを切らした相手GKが、自ら前に出てクリアしたスキを見逃さない。ボールを拾った川澄が落ち着いてループシュート。GKは戻りきれず、ボールは無人のゴールに吸い込まれた。まだ時間はあったとはいえ、運動量の落ちたスウェーデンにとっては完全なダメ押し点。残り時間もなでしこジャパンは危なげなく試合を進め、4万5000人を超える大観衆に強さを見せつけた。

 決勝(日本時間18日未明)の相手はFIFAランキング1位の米国。過去W杯では2度優勝しており、準決勝ではフランスを終盤に突き放して3大会ぶりの優勝を狙う。個々の能力はもちろん組織力も高く、まさに難敵中の難敵だ。日本は北京五輪でも準決勝で2−4で敗れ、5月の米国遠征では連敗を喫している。「米国は目標のチーム」と佐々木則夫監督が話せば、主将の沢も「米国と決勝をやりたいと思っていた」と語った。

 だが、ここまで来れば思いはひとつ。澤はこう付け加えた。
「金メダルを持ち帰りたい」
 ドイツのピッチで大輪の花を咲かせる時が、もうそこまで来ている。