14日、クラブW杯2011の準決勝が行われ、柏レイソル(開催国枠)がサントス(南米代表)と対戦した。柏は前半19分、FWネイマールにゴールを奪われると、5分後にも2点目を許す苦しい展開。後半9分、CKからDF酒井宏樹がゴールを決めて食い下がるものの、FKから3点目を喫し1−3で試合終了。日本勢初の決勝進出はならなかった。

  ネイマール、芸術的な先制ゴール(豊田ス)
柏レイソル 1−3 サントス
【得点】
[柏] 酒井宏樹(54分)
[サ] ネイマール(19分)、ボルジェス(24分)、ダニーロ(63分)
 王国の才能たちの前にはJリーグを制して勝ちあがった勢いも通じなかった。大会前から柏の選手たちが求め続けていた南米王者との一戦。だが、ピッチ上でひときわ輝きを放ったのは“ブラジルの宝石”と呼ばれるネイマールだった。

 サントスは序盤から予想通りネイマールにボールを集め、攻撃のリズムをつくろうとした。対する柏は守りに人数をかけ、激しく相手に体を寄せることで耐えしのぐ。厳しいプレッシャーに、さすがのネイマールも思うようにボールをキープすることができなかったが、徐々に実力の片鱗を見せ始める。

 前半8分、ピッチ中央左でパスを受けたネイマールがチェックに来た酒井を素早いフェイントから抜きにかかる。何とか食らいつく酒井を嘲笑うかのように足裏で切り返し、中央へパス。日本の若き才能に何も仕事をさせなかった。

 そして19分、この背番号11がサントスに先制点をもたらす。MFガンソからPA右手前でパスを受けると、前を向いて右足ですかさずシュート体勢に入る。柏の選手が左から滑りこんで防ごうとするが、ネイマールは振り上げた右足でボールを左にずらす。持ち替えた左足から放たれたボールは弧を描いてゴール左上に吸い込まれた。あまりにも美しいゴールだった。王国のレベルを見せ付けるような得点に柏選手は立ち尽くし、観客席からは感嘆のどよめきが起こった。

 さらにサントスは柏に息つく間を与えない。先制点からわずか5分後、追加点を奪う。左サイドからの低いクロスをボルジェスがPA手前でトラップし、右にスライド。わずかなシュートコースを見つけて右足を一閃した。ボールはゴール右上に突き刺さり、圧巻の個人技でリードを2点に広げた。

 苦しい展開に陥った柏は左サイドを起点に攻撃を仕掛けるものの、クロスの精度が低く、南米王者との差は歴然としていた。結局、決定機をつくることができないまま、前半を折り返す。後半開始からはFW工藤壮人に代えてベテラン・北嶋秀朗を投入。北嶋得意のポストプレーで攻撃の糸口をつかもうと試みる。この交代策は効を奏し、攻撃にリズムが生まれてくる。

 迎えた9分、ついに一矢を報いる時がきた。反撃のゴールを決めたのはサントスからラブコールを受けた酒井。左からのCKに、183センチの体躯をいっぱいにつかったヘディングで合わせる。ボールはGKが伸ばした左手をすり抜け、ネットを揺らした。世界規格の大型サイドバックが、ネイマールに負けじと世界にその存在をアピールした。

 1点差に詰め寄った柏は、勢いに乗って同点ゴールを狙いに行く。だが、王国の底力がそれを許さなかった。18分、約30mの位置で得たFKを20歳のDFダニーロが直接ゴールに叩き込む。“ネイマールだけじゃない”と言わんばかりの、こちらもスーパーゴールだった。

 再び2点差とされた柏は、20分にMF澤昌克を入れ、前線の活性化を図る。北嶋もポストプレーより前線へ飛び出すプレーが増えた。23分にはレアンドロからの浮き球に北嶋が抜け出す。ほぼGKと1対1の場面だったが、放ったシュートはバー上へ大きく外れた。柏はボールを支配し、何とかサントスゴールを脅かそうとするものの、フィニッシュの精度を欠いて時間だけが過ぎていく。

 37分には、右サイドからのクロスに対し、後は押し込むだけという状況で澤が痛恨のシュートミス。ロスタイムにも連続してCKのチャンスを得たが、得点に結びつけることができなかった。
 格上相手に守備的にならず、自分たちの攻撃サッカーを貫いた柏の戦いぶりは評価できる。しかし、日本サッカーの課題である世界との決定力の差は、クラブでの戦いでも浮き彫りになった。

 勝ったサントスは個々の選手が十分すぎる力を発揮していた。圧倒的な才能を日本で見せ付けたネイマールは、後半は試合から消える時間帯もあったが、随所で見せるドリブルやゴールへの嗅覚は本物だった。決勝での対戦相手は、順当にいけばバルセロナだろう。一日多い休養日を有効に使ってコンディションを整えられば、下馬評が覆る可能性はある。

 モンテレイ、打ち合い制して5位

 また同日、モンテレイ(北中米カリブ海)とエスペランス(アフリカ)の5位決定戦も行われた。試合は先制されたモンテレイが、メキシコ代表FWデニグリスのゴールなどで前半のうちに逆転。後半早々には3点目を奪って相手を突き放した。その後、PKから1点を返されるものの、リードを守りきり、5位で大会を終えた。

 守備崩壊のエスペランス、2試合で5失点(豊田ス)
モンテレイ 3−2 エスペランス
【得点】
[モ] ミエル(39分)、デニグリス(44分)、サバラ(47分)
[エ] ヤニク・ヌジェング(31分)、カレド・モウエルヒ(76分)