22日、ロンドン五輪アジア最終予選第5戦がマレーシア・クアラルンプールで行われ、U−22日本代表はU−22マレーシア代表と対戦した。日本は前半35分、DF酒井宏樹(柏)のゴールで先制。44分にはFW大迫勇也(鹿島)が追加点をあげ、後半も2点を重ねて4−0で勝利した。その後、行われた試合でシリアがバーレーンに敗れたため、日本は再びグループ首位に立ち、五輪出場に王手をかけた。

 齋藤、代表初ゴール(クアラルンプール)
U-22マレーシア代表 0−4 U-22日本代表
【得点】
[日] 酒井宏樹(35分)、大迫勇也(44分)、原口元気(55分)、齋藤学(60分)
 窮地に追い込まれたヤングブルーが敵地で快勝を収めた。勝利、そして大量得点が必要な試合で、流れの中で相手守備陣を崩し、セットプレーでもゴールを奪った。この快勝に大きく貢献したのは、代表復帰した左MF原口元気(浦和)と新戦力の右MF齋藤学(横浜FM)だ。

 原口にとっては昨年9月のホームでのマレーシア戦以来の代表戦だった。5カ月間、チームを離れたブランクを感じさせず、序盤からドリブルを積極的に仕掛け、裏への飛び出しで、攻撃を牽引する。前半10分、PA手前でパスを受けると、振り向きざまに右足でシュート。これは相手DFに当たり、得点には至らなかったが、マレーシアゴールを脅かす。

 日本に待望の先制点をもたらしたのは、その原口だった。ゴールを呼び込んだのは効果的な動き出しだ。35分、ピッチ中央前のスペースにうまく動き出して、MF東慶悟(大宮)のスルーパスを呼び込んだ。相手DFと競り合いながらPA内に侵入し、シュートを狙う。ボールが右にこぼれたところへ詰めていたのは酒井。右足でゴールに押し込んだ。これで勢いがでた日本は44分、大迫が右サイドからのFKに頭で合わせて追加点。リードを2点に広げて前半を折り返した。

 大量得点を狙う日本は、後半に入って、さらに攻勢を強める。3点目をあげたのは原口だ。後半10分、右サイド深くから上がった酒井のクロスに合わせた。ファーサイドに上がったボールに滑り込みながら左足を伸ばす。ゴールネットを揺らして、右拳を突き上げた原口は「チームにとっても個人にとっても大切な試合だったし、結果を出せて良かった」と振り返った。代表復帰を決断した関塚隆監督も、ガッツポーズでドリブラーの活躍を喜んだ。

 今予選では最多となる3ゴール目を奪った日本だが、攻撃の手をゆるめない。4点目を決めたのは予選初出場の齋藤だ。原口のゴールから5分後、MF扇原貴宏(C大阪)がPA外からミドルシュート。GKが弾いたところを左足で押し込んだ。初のスタメン出場で、いきなり結果を出した。
「今日は自分と(原口)元気のところで(攻撃の)スイッチを入れようと話していた」
 試合後にこう明かしたとおり、齋藤は中に切り込みながら積極果敢なドリブルとシュートをみせ、攻撃のリズムをつくった。原口とポジションをチェンジしながらプレーする時間帯もあり、連係面でも問題はなかった。昨季はJ2の愛媛FCでリーグ3位の14ゴールをあげ、“愛媛のメッシ”と呼ばれた。新しい力の台頭は今後に向けた大きな収穫だ。

 一方、シリア戦で2失点を喫した守備陣も最後まで集中を切らさなかった。前半こそカウンターから何度かシュートまで持ち込まれたものの、GK権田修一(FC東京)を中心に、決定的な場面をつくらせない。足が止まる後半の時間帯も全員で守り切り、3試合ぶりに完封勝ちを収めた。

 欲を言えば、もう1、2点欲しかったところだが、気温29度を超える高温多湿の環境で攻守ともに締まったゲームができたことは評価できる。関塚監督も「この暑さの中、足を止めずに最後まで選手たちはよくやってくれた」と選手たちに賛辞を惜しまなかった。

 シリアがバーレーンに敗れたため、勝ち点を12に伸ばした日本は単独首位に立った。最終戦のバーレーン戦(3月14日)を引き分け以上で終えれば、1位が確定し、五輪出場が決まる。会場の国立競技場は過去の予選において、シドニー、アテネ、北京と3大会連続で五輪出場を決めている縁起のいい場所だ。「次もしっかり勝って、気持ちよく(五輪出場を)決めたい」と原口は前をしっかりと見据えた。もう他国の動向を気にする必要はない。聖地・国立でロンドン行きの切符を自力でつかみとる。

<日本代表出場メンバー>

GK
権田修一
DF
酒井宏樹
鈴木大輔
濱田水輝
比嘉祐介
MF
山口螢
扇原貴宏
→山村和也(70分)
齋藤学
東慶悟
原口元気
→杉本健勇(83分)
FW
大迫勇也
→永井謙佑(59分)