8日、日本サッカー協会は五輪アジア最終予選最終戦(14日、国立)のU-23バーレーン代表戦に臨むU-23日本代表19名を発表した。2月の同マレーシア戦に出場したDF酒井宏樹(柏)、FW原口元気(浦和)らが順当にメンバー入り。一方、累積警告で出場停止のFW大迫勇也(鹿島)の代役として、FW工藤壮人(柏)がアジア大会以来の代表に選ばれた。2月のシリア戦直前に負傷離脱した清武弘嗣(C大阪)は、前回に続き招集を見送られている。協会は複数の海外組にも招集を打診しており、国内組も今週末のJリーグの試合を踏まえて、メンバーを追加する可能性がある。日本はバーレーン戦で引き分け以上の結果を残せば、グループ1位が確定し、五輪出場が決まる。
 7カ月に及んだロンドンへの切符をかけた戦いが、いよいよ最終章に突入する。バーレーン戦は引き分けでも出場権獲得となるが、2月のマレーシア戦後に選手が口にしていたのは、「勝って五輪出場を決める」こと。そのために必要となるのはゴールだ。そんななか、最終戦はこれまで予選5試合中4試合にワントップとしてスタメンを張り続けた大迫が出場停止。その代役は現状では工藤とFW永井謙佑(名古屋)のいずれかになりそうだ。

 今回、最終予選では初めて代表に呼ばれた工藤は2010年アジア大会(広州)の優勝メンバー。昨年は代表にこそ呼ばれていないが、所属する柏レイソルではリーグ戦25試合で7得点をマークして優勝に貢献している。年末のクラブW杯でも3試合1得点と結果を残した。「(前線)でボールを収めて、ゴール前でのシュートのうまさがある」と指揮官が語るとおり、ポストプレーができて、かつ動き出しもうまい工藤は大迫の代役にうってつけだ。

 もうひとりのワントップの候補、永井はポストプレーを得意とする選手ではないが、スピードはチームNo.1。彼が常に前線でポジションをとれば、相手は簡単にDFラインを高く保つことはできない。実際、2月のシリア戦ではワントップとして先発出場を果たし、途中から2列目にポジションを移したものの、カウンターからゴールも決めている。チーム発足時から常に招集されていることもあり、戦術理解度や連携面では一日の長がある。

 ただ、会見で原博実強化技術委員長は、週末に行われるJリーグの試合で調子を確認した上での追加招集を示唆している。前回のマレーシア戦で代表デビューを果たし、身長187センチと圧倒的な高さを誇るFW杉本健勇(C大阪)も、選出される可能性がある。バーレーンは守備を固めてくることが予想されるだけに、ワントップの役割はこれまで以上に重要になりそうだ。

 また、ワントップにボールを供給するボランチのポジションもカギを握る。以前はMF山村和也(鹿島)が不動のレギュラーだったが、昨年の負傷離脱を境に、MF扇原貴宏(C大阪)とMF山口螢(C大阪)がコンビを組むことが増えた。山村が復帰した2月のシリア戦は山口とのコンビでスタメン起用したが、うまく機能しなかった。一方、扇原と山口を組ませたマレーシア戦は、4−0の快勝。扇原が積極的に攻撃に絡み、山口が激しく相手のボールホルダーにプレスをかけることで、日本は中盤を支配していた。セレッソ大阪でも同僚ということもあり、連携面の不安はない。バーレーン戦も、C大阪コンビのスタメンが濃厚だ。

 バーレーンは昨年11月にアウェーで対戦した時から、監督が同国A代表も指揮するピーター・ジョン・テイラーに代わっている。昨年末のガルフ杯などでA代表を経験した選手も多く、2−0と快勝した時とは戦い方が違う可能性がある。関塚監督は「タテへの力強さに、パスワークが付け加えられている」と分析しつつも、「相手よりも、自分たちがどういう戦いができるかが大事」と語った。

 シリア戦ではロングボールを主体にした攻撃が機能せず、悔しい黒星を喫した。その教訓を生かし、マレーシア戦では、細かいパスワークから攻撃を組み立てる本来のサッカーで大勝を収めた。この1勝で、選手たちは自分たちのサッカーを展開すれば勝てると確信したはずだ。運命の最終戦。ロンドンへの切符は、日本らしいサッカーで掴みとる。

<U-23日本代表メンバー19名>

GK
権田修一(FC東京)
増田卓也(サンフレッチェ広島)
安藤駿介(川崎フロンターレ)
DF
比嘉祐介(横浜F・マリノス)
大岩一貴(ジェフユナイテッド千葉)
鈴木大輔(アルビレックス新潟)
吉田豊(清水エスパルス)
酒井宏樹(柏レイソル)
濱田水輝(浦和レッズ)
高橋祥平(東京ヴェルディ)
MF
山本康裕(ジュビロ磐田)
山村和也(鹿島アントラーズ)
東慶悟(大宮アルディージャ)
山口螢(セレッソ大阪)
扇原貴宏(セレッソ大阪)
FW
永井謙佑(名古屋グランパス)
齋藤学(横浜F・マリノス)
工藤壮人(柏レイソル)
原口元気(浦和レッズ)