28日、女子サッカー競技のグループリーグ(GL)第2戦が行われ、グループFの日本女子代表(なでしこジャパン、FIFAランキング3位)がスウェーデン女子代表(同4位)と対戦した。初戦を勝利したチーム同士の顔合わせはお互い決め手に欠き、スコアレスドロー。ともに勝ち点を4に伸ばした。得失点差でF組2位の日本だが、他チームの結果により、第3戦の南アフリカに結果に関わらず、決勝トーナメント進出を決めた。

◇グループF
 19歳・岩渕、五輪デビュー飾れず(コベントリー)
日本女子代表 0−0 スウェーデン女子代表
 勝負の決勝トーナメントへ攻撃面では不安が生じ、守備では自信を深めた試合だった。日本は世界ランク4位の強豪相手にボールを支配し、多くのチャンスをつくりだした。しかし、フィニッシュの精度を欠いて無得点。逆に、守りでは初戦で2得点したFWロッタ・シェリンに仕事をさせないなど、最後まで鉄壁を維持した。

 日本は立ち上がりからペースを握った。緊張で出足が重かった初戦とはうって変わり、連動したパスワークでボールを支配する。前半13分には、FW大儀見優季(ポツダム)がPA内での胸トラップからボレーシュートを放つなど、相手ゴールに襲いかかった。

 だが、20分以降、攻撃のリズムに狂いが生じだす。徐々に選手間の距離が遠くなり、小気味よいパス回しが見られなくなったのだ。コンパクトな布陣での素早いパス交換がなでしこの真骨頂。選手間の距離が長くなったことで、パスの出し手と受け手の動きがズレ、ミスが多く見られた。そして、奪われたボールを前線のシェリン目がけて放り込まれる展開が続く。

 ここで点を奪われればズルズルと悪い流れになりかねない場面。だが、日本の守備陣はそれを許さなかった。なかでもDF岩清水梓(日テレ)、DF熊谷紗希(フランクフルト)のセンターバック(CB)コンビの粘り強い対応が光った。37分には自陣でのパスミスをシェリンに奪われるが、DF岩清水梓が体を寄せてストップ。こぼれ球を拾ったMFキャロライン・セーゲルセゲルにシュートを打たれたものの、熊谷が体を張ってブロックした。彼女たちの踏ん張りもあり、日本は0−0で試合を折り返す。

 前半の途中から、なかなかチャンスをつくれなかった日本だが、後半開始早々、決定機を迎える。2分、自陣からのロングボールを大儀見が左サイドに頭で落とすと、受けたMF川澄奈穂美(INAC神戸)がPA内左に持ち込んでゴール右へ。シュートはGKの好守に阻まれるも、このプレーを引き金に日本は次々とチャンスをつくりだしていく。

 しかし、好機はあってもゴールが遠かった。14分、MF宮間あや(岡山湯郷)が左サイドからのサイドチェンジを受け、PA内中央へ切れ込んでシュートを放つも、ゴール上へ。20分には大儀見がGKとの1対1の場面を迎えたが、シュートはGKの正面を突いた。ベンチはラスト10分の場面でチーム最年少のFW岩渕真奈(日テレ)を投入するなど、活性化を図ったものの、スウェーデンの守りをこじ開けるには至らなかった。

 攻撃では結果を出せなかった一方で、守備は前半同様、CBの2人を中心に試合を締めた。26分には、ロングボールからシェリンに個人技でシュートまで持ち込まれたものの、GK福元美穂(岡山湯郷)がしっかりとセーブ。国際Aマッチ43得点という世界屈指のストライカーを最後まで抑え込んだ。佐々木則夫監督も「相手エースの8番(シェリン)に対して、2人のCB(岩清水、熊谷)がうまく守ってくれた」と高評価を与えた。これは同じく強力FWを擁する強豪国との対戦に向けて大きな自信になるだろう。

 なでしこは各組2位以上、または3位内での上位2チームに入ることが確定し、GL突破が決まった。第3戦の南アフリカ戦は“消化試合”となる。しかし、メダル獲得には勢いを得ることも必要だ。GL最終戦では、勝利とともにゴールラッシュで決勝トーナメントへ弾みをつけたい。

<なでしこジャパン出場メンバー>

GK
福元美穂
DF
近賀ゆかり
岩清水梓
熊谷紗希
鮫島彩
MF
阪口夢穂
澤穂希
→田中明日菜(59分)
宮間あや
川澄奈穂美
FW
大儀見優季
→安藤梢(90分+2)
大野忍
→岩渕真奈(80分)