わずかな準備期間、内容よりも結果 〜A代表〜

 岡田武史監督率いるサッカー日本代表が試練の2008年を迎える。07年12月に始まった新体制は、わずかな準備期間で2月からの南アフリカW杯アジア3次予選に臨まなければならない。
 同予選ではタイ、バーレーン、オマーンと同じグループに入った。最終予選への2枚の切符を4カ国で争う。W杯出場経験があるのは日本のみ。FIFAランキング(2007年12月17日発表)でも、日本の34位に対して、オマーン(84位)、バーレーン(102位)、タイ(121位)と差が大きい。実力的には日本が抜きん出ていると見ていいだろう。

 とはいえ、油断すれば足元をすくわれる。オマーンやサウジアラビアを指揮した経験を持つ“中東の魔術師”ことミラン・マチャラ率いるバーレーンは、アジアカップ2007で韓国を破るなど、ここぞという試合で勝負強い。ナイジェリアらアフリカ出身の選手を4人帰化させ、不気味な雰囲気を漂わせる。

 オマーンも警戒すべき存在だ。04年には、日本と3度対戦して全て0−1で敗れたが、どのゲームも堅守で日本を苦しめた。アジアカップ2007では豪州を相手にドローに持ち込んでいる。2月6日の初戦で戦うタイについても、ホスト国として参加したアジアカップ2007で俊敏性あふれるサッカーを見せつけるなど進境著しい。

 日本は15日から23日まで鹿児島県で合宿を行い、テストマッチのチリ戦(1月26日)、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1月30日)を経て、タイ戦に臨む。シーズンの只中で迎える第2戦バーレーン戦(3月26日)も含めて、準備期間の少ない中で、いかに結果を残すことができるか。

「15日からの合宿だけでチームを作り上げられるというほど僕は自信家ではない。まずは2月6日のタイ戦を戦って、一つ一つ前のゲームを振り返りながらステップアップする」(岡田監督)

 そして、6月には残りの4試合が一挙に開催される。「1カ月ほど選手を拘束できるので、ここである程度統一したものが作れるんじゃないかと思う」。岡田監督がそう語るように、結果を残すのはもちろんだが、ここでチームの骨格をつくり、9月からの最終予選につなげたい。

<2008フル代表スケジュール>

◆1月26日(土)
キリンチャレンジカップ チリ戦(国立)
◆1月30日(水)
キリンチャレンジカップ ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(国立)
◆2月6日(水)
南アフリカW杯アジア3次予選初戦 タイ戦(埼玉)
◆2月17日(日)
東アジア選手権 北朝鮮戦(中国)
◆2月20日(水)
東アジア選手権 韓国戦(中国)
◆2月23日(土)
東アジア選手権 中国戦(中国)
◆3月26日(水)
南アフリカW杯アジア3次予選第2戦 バーレーン戦(バーレーン)
◆5月下旬
キリンカップ 対戦国未定(会場未定)
◆6月2日(月)
南アフリカW杯アジア3次予選第3戦 オマーン戦(横浜)
◆6月7日(土)
南アフリカW杯アジア3次予選第4戦 オマーン戦(オマーン)
◆6月14日(土)
南アフリカW杯アジア3次予選第5戦 タイ戦(タイ)
◆6月22日(日)
南アフリカW杯アジア3次予選第6戦 バーレーン戦(埼玉)
◆8月下旬
親善試合 対戦国未定(会場未定)
◆9月〜2009年6月
南アフリカW杯アジア最終予選


チーム内外での経験、OA枠の活用が躍進の鍵 〜五輪代表〜

「『五輪は参加するのに意義がある』という言葉は非常に気に入らない。参加する以上はメダルに届くようにやるのが当然だ」
 サッカーU-23日本代表の反町康治監督は北京五輪最終予選最終戦のサウジアラビア戦後、はっきりとそう言い切った。

 8月、サッカーU-23日本代表は北京五輪に出場する。メダルを獲得すれば、実に68年メキシコ大会以来。ただ、最終予選の戦いぶりを見る限り、実現が難しいことは間違いないだろう。

 第4戦の敵地でのカタール戦では後半ロスタイムに勝ち越し弾を許した。最終戦のサウジアラビア戦にしても球際の弱さを露呈し、反町監督も「今日はドローだったが、(力関係は)サウジが上かもしれない」と力不足を嘆いた。ただでさえ、本大会には、2004年アテネ五輪金メダルのアルゼンチンを筆頭にブラジル、イタリア、オランダ、カメルーンと強豪国が集う。

 本番までにどれだけ経験を積むことができるか。それが五輪での躍進の鍵を握る。チームは2月下旬に予定されている海外遠征を皮切りに7月の壮行試合までテストマッチをこなす。特に2月と5月に予定される海外遠征は重要な強化の場となりそうだ。

 チームの外での成長も求められる。所属クラブでいかに出場機会を確保できるか。それはA代表についても同様のことがいえる。1月15日からの合宿にはU-23世代から7人が招集されたが、そこでも可能な限り多くのことを学び取りたい。

 また、オーバーエイジ枠(OA枠)の活用もチームの浮沈を占いそうだ。五輪の出場資格は原則として1985年1月以降に生まれた23歳以下の選手に与えられるが、24歳以上のOA枠が3人まで認められる。

 アテネ五輪では、アルゼンチンが史上初の無失点優勝を成し遂げた。その鉄壁の守備を支えたのがOA枠で招集されたDFロベルト・アジャラとDFガブリエル・エインセのA代表コンビだった。

 日本の場合、3人のOA枠は各ポジションにバランスよく散りばめたい。パワーに欠けるディフェンスラインには、屈強なDF中澤佑二、田中マルクス闘莉王の2人が有力だ。中盤には、タメをつくれるMF遠藤保仁、球際に強いMF今野泰幸などチームにいないタイプが欲しい。絶対的なエースストライカーがいない前線にはFW高原直泰、FW大久保嘉人ら個人技の高い選手を呼べば、得点力増が期待できるだろう。

 反町監督は、A代表の南アフリカW杯3次予選が終わる6月以降に、OA枠を招集する腹積もりのようだ。アテネ五輪ではMF小野伸二、GK曽ヶ端準の2人を招集したが、チームへの合流が遅れ、下の世代との融合が進まなかった。前大会の轍を踏まないように気をつけたい。

<2008五輪代表スケジュール>

◆2月下旬(予定)
海外遠征
◆3月26日(水)
親善試合 対戦国未定(会場未定)
◆5月(予定)
海外遠征
◆6月(予定)
親善試合 対戦国未定(会場未定)
◆7月(予定)
壮行試合 対戦国戦(会場未定)
◆8月8〜24日
北京五輪(中国)
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