2年後の「愛顔(えがお)つなぐ えひめ国体」優勝、そして日本リーグ制覇へ、強力助っ人の加入だ。 この4月、伊予銀行テニス部では26歳の片山翔プロと3年契約を結んだ。同行では史上初のプロ契約選手である。

「テニス部にとって大きなチャレンジ」
 秀島達哉監督はプロ選手の加入をそう位置づける。
「地域貢献という我々のビジョンを達成するためには競技力向上と継続して強いチームづくりは欠かせません。オールアマチュアのチームが、さらにレベルアップするにはプロにも勝っていかなくてはいけないんです。今回、プロ選手を迎えることで既存の選手とともに相乗効果で強くなっていければと考えています」

 片山選手はプロ4年目。170センチと小柄ながらパワフルなストロークが武器だ。地元の福岡県代表として国体出場経験もある。
「テニスへの取り組みがストイックで他の部員のお手本になると考えました。国体は8ゲームマッチと特殊なルールでやるだけに、それを経験しているのも大きかったですね」
 秀島監督はプロ契約選手として片山選手に白羽の矢を立てた理由を明かす。

 片山選手自身も愛媛オープンで優勝したことがあり、テニス部のことを「アマチュアチームの中では間違いなくトップクラス」とみていた。プロ契約の打診に「断る理由なんてなかった」という。

「実際にチームの一員となって練習を一緒にやることが多くなり、少なからず、皆の意識が高くなると思っています。それに僕も刺激されて、プロとかアマチュアとか関係なく、お互いがもっとガツガツして普段の練習からやっていければ、今までのチームよりももっと良くなるはずです」

 そう話す片山選手はプロとして国内外を転戦し、グランドスラム出場を目指している。並行して伊予銀行の一員としての日本リーグ制覇、えひめ国体優勝も大きな目標だ。

 当然、片山選手は既存の選手にとっては大きなライバルとなる。「自分たちの出場枠が減る分、強くならないといけない。いい意味で火がついて、いい競争ができているのではないでしょうか」と秀島監督は部内の変化を語る。

 5月16、17日に行われた国体県予選を兼ねた全日本選手権県予選では、佐野紘一選手が3連覇を収めた。「今年も彼がエース」と指揮官も信頼を寄せる25歳は、さらに腕を磨くべく片山選手とともにグアムの国際試合に出場するなど意欲満々だ。

 また女子では長谷川茉美選手が2年連続で優勝を飾った。展開力の速さが持ち味で、世界ランキング入りも視野に入れる。全日本選手権ではベスト8以上、国体では昨年の6位を上回る成績を狙う。

「まずは7月の国体ブロック予選。ここを落とすわけにはいきません。その後、10月末の日本選手権、日本リーグと続きますから、今は個々のレベルアップと経験値を積むことをテーマにしています」
 秋にはインカレシングルス優勝の実績を誇る近藤大基選手(慶應大)が入部し、より部内競争は激化することは確実だ。秀島監督が思い描く「強いチームづくり」は着々と進行しつつある。




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