内輪の話で恐縮だが、野球担当のSさんの言い間違いは破壊力抜群だ。
 先日、ルパン三世の話をしているとSさんがシラッと言った。
「ああ、フジミネコのことね」
 フジミネコ? いたっけ、そんなキャラクター? スタッフのみんなは一瞬、首をかしげた後に気付いた。そう、峰不二子のことである。
 20年以上生きてきたが、峰不二子をフジミネコと言った人は初めて聞いた。言われてみれば、どこかにフジミネコというお婆ちゃんがいてもおかしくはない気がする。あんなにセクシーな美女をお婆ちゃんにしてしまうのだから、Sさんはすごい。

 Sさんの勢いはとどまるところを知らない。この間は「こういう時の表現って何て言うんだっけ」と悩んだ末に、「そうだ、骨の馬だ」と言った。惜しいが外れた。正しくは「馬の骨」。しかし、骨の馬とは想像してみると実に空しいものがある。スタッフの間では彼女の言い間違いを「天才的」(Mさん)と評する人もいる。

 そんな天才的なSさんは、普段は言葉使いも丁寧だが、不意を突かれると村弁(本人いわく)が飛び出してしまう。
「Sさん、これって本当ですか?」(私)
「んだんだ」(Sさん)
「Sさん、これっていいですよね?」(私)
「だべぇ」(Sさん)

 ウーン、実に魅力的な人である。

(S.T)
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