今何かと事務所内のみで話題の「行列のできるケーキ屋さん」。
 意識しなければ通り過ぎてしまう一坪起業のような小さな店舗、看板がなく、お店が閉まっていると何屋さんかわからない不思議ちゃんぶり、昼間閉業夜開業の甘いものを扱っているとは思えない時間感覚の斬新さ、そして極めつけは店員がおじさんひとりという人員コスト削減能力。でも開店すると長蛇の列。何がそこまで客足を引き寄せるのか。
 外出するたびに「並んで買って来てくださいよ〜」とスタッフ同士でなすりつけあい、あまりの興味にストレスすら感じていた今日この頃、とうとう食べました! あのお店の味を!

 Mさんが列のない雨の日に買って来てくれたワッフルにスタッフ一同大歓声! ワッフルが話題のお店のようです。ふわふわのワッフルにすっきりとした味わいの生クリームがたーっぷり、その上にトッピングがしてあります。(私がいただいたのはマロン!)本当に幸せな気分になりました。

 食べながらも湧いてくる疑問、それは「なんでみんなあそこのお店がおいしいってわかるんだろう…」「なんであんなに並んでいるんだろう…」。

 そうか、あの長蛇の列が戦略か! 何度かケーキ屋さんの前を通りましたが、長蛇の列の先にはケーキがまばらに並ぶショーケース、そしておじさんの姿はなし。横目に見ただけでも長蛇の列から「何してるの?」という不満いっぱいの空気が感じられます。でもお客さんは減らないのです。
 
 スタッフ内では、昼間店を閉めている間おじさんがひとりでケーキやワッフルを作り、夜売っているのではないか、という予測になりました。そしてひとりではお客さんをさばききれず、どんどんお客さんがたまっていき、長蛇の列が途絶えず、肥大化すらしている。この悪循環は戦略なのではないか。

 何事も戦略って大事なんだな、と勝手に思いながら、ワッフルのやさしいおいしさに、「並んでも別の種類のワッフルを食べるのだ!」とおじさんの素晴らしき戦略(多分)にはまっていく私であります。
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