13日(米国時間)、井川慶投手(ニューヨーク・ヤンキース)がオークランド・アスレチックス戦で2度目の先発マウンドに立った。初回はチェンジアップがなかなか決まらず2四球出すも、後続を抑えて無失点で切り抜け、無難な立ち上がりを見せた。2回はわずか11球で3人で打ち取とると、3回も無失点に抑える。
 しかし、1−0で迎えた4回、先頭打者のピアッツァのライトへのフライを好守のアブレイユが珍しく落球。このエラーで3塁まで進んだピアッツァが次打者の1塁ゴロの間にホームに返り、同点とした。だが、井川に動揺は見られず、後続を抑え、最小失点にとどめた。5回もランナーを出しながらも追加点を許さず、ここまで82球を投げて、被安打はテキサスヒットの1本と好投を見せる。
 6回表にはヤンキース打線が火を噴き、無死から4者連続安打で2点を奪うと、四球押し出しで1点を追加し、4−1と再びリードを奪った。

 打線から3点をもらった井川だが、その裏、1死からピアッツァに2−1と追い込んだ4球目のストレートを左中間へはじかれ、この試合初めての長打となる2塁打を打たれピンチを迎えた。そして続く5番・チャベツに投げた5球目。キャッチャーのポサダはアウトコース低めにミットを構えるも、井川のストレートは逆球となり、内角よりの高めに甘く入った。これをチャベツが逃さず、ライトスタンドへの2ランを放った。1点差とされたところで、井川は降板。5回3分の1、95球を投げ、被安打3、3四死球、3三振。勝利の権利を得た井川だったが、3番手のファーンズワースが7回に同点ホームランを打たれ、期待されたメジャー初勝利は次回以降へお預けとなった。

 メジャーでのデビュー戦となった8日のボルティモア・オリオールズ戦ではカーブが抜け、ストライクを取りにいったストレートを狙い打ちされて本来のピッチングを見せることができなかった井川。しかし、今回の試合ではそのカーブがいいところに決まっていた。チェンジアップのコントロールが定まらず、ときおりカウントを悪くしてしまう場面も見られたが、ストレートやスライダーのキレも十分と、全体的にはいいピッチングといえる内容だった。

 今後、課題とされるのが、ヒザ元を狙ったインコース。メジャーではインコースへの判定が厳しく、日本ではストライクと判定されていた球が、ほとんどボールと判定された。このインコースのボールが決まり始めれば、さらにピッチングの幅が広がるだけに、勝利へのカギとなりそうだ。
 試合は、4−4の同点のまま延長戦となり、11回裏にアスレチックスが1点を奪い、ヤンキースがサヨナラ負けを喫した。
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