先週からついに欧州サッカーの祭典、UEFA・EURO2008が始まりましたね。
 6月4日、JFAアドバイザーに就任した際にイビチャ・オシム氏はEUROについて次のように語っていました。「フランス、イタリアが勝てば日本は学ぶことは少ない。サプライズがあればいい。ロシア、ルーマニア、あるいはクロアチアあたりがサプライズを起こすかもしれない」と。
 EUROではよく番狂わせが起きやすいと言われています。1992年のデンマーク、そして前回大会で優勝したギリシアには決して有名な選手がいたわけではないですし、大会前までにこの2国が優勝すると考えていた人は皆無に近かったはずです。

 ではなぜ彼らは優勝することができたのでしょうか。代表選手のほとんどが自国リーグに在籍しており、チャンピオンズリーグなどでぎりぎりまで精神をすり減らしている強豪国とは違い、日程的にも余裕を持って望めたこと。プレッシャーがあまりなかったことなども理由に挙げられますが、それだけではないでしょう。

 両チームを比べてみるとあるひとつの特徴が浮かび上がってきます。それは両チームともに堅守を基盤とした鋭いカウンターを武器にしていたことです。自分たちの力を見極めた上で、全員守備からのカウンターに活路を見出したことがこの両国が並み居る強豪たちを抑え、優勝した本当の理由ではないでしょうか。

 これは日本サッカーにも通ずるものがあります。日本はアジアサッカーの中では強豪国のひとつに数えられていますが、世界のサッカー強豪国に比べればプロリーグが始まってまだ15年の中堅国に過ぎません。その日本が世界の強豪国を相手にどう戦っていくか。そのヒントは94年のデンマークであり、前回大会のギリシアです。

 今大会ではクロアチアのサッカーがいい参考になるでしょう。クロアチアはテクニックとショートパスを主体にしており、日本のスタイルと似ている点があります。そういう点を考えながらEUROを観戦するのもおもしろいのではないでしょうか。

(N.I)
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