クライマックス・シリーズ進出を目指した昨季、あと一歩、3位・中日に及ばなかったカープ。ブラウン改革は今季こそ花開くのか? 新球場で広島の街は盛り上がるのか?
 08年12月15日、都内で『第5回東京カープ会』が開かれた。熱心なカープファン約280人と6人のパネリスト、ゲストが、愛するカープについてトークバトルを展開した。“最強赤ヘル軍団”も、今や万年Bクラスチーム。そろそろ復活の時だ!
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二宮: では、そろそろ時間となりましたので、最後に来年度の期待を一言ずつお伺いします。では、まず上田さんから。
上田: 僕が今、思い描いていることはとにかく2位になることですね。2位になったら新球場でのクライマックスシリーズ第1ステージの開催権が取れますから。そしたらまずは新球場で勝って、そのままリーグ優勝する。それで日本シリーズは元の市民球場でやりたいんですよ。というのも、9月28日に「もう一度戻ってくるよ」という約束をたった1日で反故にしちゃったんですから、それを果たすために日本シリーズでもう一度、市民球場でやるんです。そういうシーズンになってほしいなと思いますね。

二宮: なるほど。それはいい考えですね。川口さんはどうでしょうか?
川口: クライマックスシリーズに進むには大変な労力が必要ですから、厳しいことには違いないでしょう。2008年もいいところまでは行ったけども、結局はたどり着けなかったというのは、そこに何か壁があるからだと思うんです。つまり、プレッシャーがかかったときに、チームの中で何かがこけちゃっていた。それを選手がどう感じているかが非常に重要なんです。その壁を打ち破るには、僕らがやっていたような練習をしなければダメなんですよ。今の選手は、あまりにも練習しなさすぎ。この原点をもう一度見直していかないといけないのかなって思いますね。

二宮: それでは長嶋さん、一言お願いします。
長嶋: 僕は全体的に見させてもらおうと思うのですが、ジャイアンツはちょっと別格として、おそらく中日と阪神は今まで通りにはいかないと思います。中日は、やっぱりタイロン・ウッズの穴は大きいですよ。彼の穴は誰にも埋められない。ルーキーでセンターの選手(野本圭)を獲得しましたが、彼はどちらかというとアベレージヒッター。川上憲伸も出ちゃいましたし、これまでのような計算はほとんどできない状況で戦わなければならないでしょう。一方、阪神も監督が代わったことでテンションは下がっています。金本知憲、下柳剛、矢野輝弘といったベテランがいくら頑張っても野球は9人でやらなくちゃ勝てませんからね。ピッチャーも落ちてきていますし。上田さんが言われたように、カープが2位にいる可能性は十分にあると思います。そして川口さんが言われたように、選手がそのことをどう考えているのか、どういう気持ちで戦っていくかが重要ですね。

二宮: それでは最後に田辺さん、お願いします。
田辺: 今の話に少しデータで裏づけさせていただきたいんですけれども、08年のカープは巨人には勝ち越しているんですね。ところが、残念ながら阪神と中日には大きく負け越しているんです。しかもナゴヤドームではほとんど勝てていない。遠征に行くとダメなんですね。7月にはロードで7連敗を食らって、これが後から随分と響きました。
 ブラウン監督はどこが相手でもどの場所でもどのシチュエーションでも、同じように戦うと言っているのですが、選手の方が変に意識しているんです。だから、こうした顕著に偏ったデータが出てくる。どことも同じようにやれば、最低でも勝率は5割になって3位に入れるわけです。ですから、夏場までには5割近くにもっていって、そこからどんどん貯金を増やせるようにしたいですね。その頃には大竹も夏バテせずに連投して勝つと。そういう軸になるピッチャーが何人かいないといけません。

(Vol.14につづく。随時更新します)


長嶋清幸(ながしま・きよゆき)
1961年11月12日、静岡県出身。自動車工高(現・静岡北高)から80年、ドラフト外で広島に入団。勝負強い打撃と安定した外野守備で、カープの黄金時代を支えた。84年には巨人戦で2試合連続サヨナラ弾を放ち、日本シリーズでも3本塁打をマークして日本一に貢献。シリーズMVPに輝いた。91年より中日、93年に千葉ロッテ、94年から阪神と計4球団を渡り歩き、97年限りで引退。その後はコーチとして星野阪神、落合中日のリーグVに力を尽くした。通算成績は1477試合、1091安打、107本塁打、448打点、打率.271。ゴールデングラブ賞4度。今季から韓国・三星ライオンズの打撃コーチに就任。




川口和久(かわぐち・かずひさ)1959年7月8日、鳥取県出身。鳥取城北高校から社会人野球チーム・デュプロを経て、80年広島にドラフト1位で入団。長年、左のエースとして活躍する。87、89、91年と3度の奪三振王のタイトルを獲得。94年にFA権を得て、読売ジャイアンツに移籍。96年にリーグ優勝を果たした際には胴上げ投手となった。98年シーズン終了後に現役を引退。通算成績は435試合、139勝135敗、防御率3.38。現在、解説者の傍らテレビやラジオにも出演するなど、幅広く活躍している。





上田哲之(うえだ てつゆき)
1955年、広島県出身。5歳のとき、広島市民球場で見た興津立雄のバッティングフォームに感動して以来の野球ファン。石神井ベースボールクラブ会長兼投手。現在は書籍編集者。







田辺一球(たなべ・いっきゅう)1962年1月26日、広島県出身。スポーツジャーナリスト。カープ取材歴は約20年にのぼる。“赤ゴジラ”の名付け親。著書に『赤ゴジラの逆襲〜推定年俸700万円の首位打者・嶋重宣〜』(サンフィールド)がある。責任編集を務めた『カープ2007-2008永久保存版』も好評発売中。現在もプロ野球、Jリーグほか密着取材を行っている。スポーツコミュニケーションズ・ウエスト代表。
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